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04 村を案内してくれるそうです

いつも閲覧ありがとうございます。

「じゃあ、まずは村の案内をしなきゃね」


「あの、その前に…トイレはどこにありますか?」


 アリアが俺達に『キルシュ』の村を案内しようとした矢先に、有栖がトイレの場所を聞いてきた。

 よく見ると、スカートの裾を掴んでもじもじしていたようで、緊張の糸が解かれたと同時に催してしまったみたいだ。


「あ、そうか。 屋敷のトイレも場所を教えないとね。 アリスお姉ちゃん、こっちだよ」


「あ、はい…」


 アリアと有栖がトイレに向かうために部屋を出た。

 俺とクリスタさんは部屋に残ったのだが、会話しようにも話題が見つからない。


(話題が見つからないから…なんか気まずいな)


 そう考えていたら、アリアと有栖が戻って来た。


「すみません、兄さん。 戻ってきました」


「終わったのか?」


「はい、すっきりしました」


 笑顔で答える妹の有栖。

 余程緊張したまま、話を聞いていたんだろうな…。


「じゃあ、外に出て村を案内するよー」


「では、ついて来てくださいね」


 アリアとクリスタが先頭に立ち、俺と有栖がその後についていく形で屋敷を出た。

 彼女が治めている村がどんなのか、興味は尽きないしな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ここが『キルシュ』の村だよ」


「ここが…」


「結構のどかで自然豊かな村ですね」


 アリアの屋敷から出て徒歩三分くらいに、アリア自身が村長を務める村…『キルシュ』の村が見えて来た。

 有栖の言うように、のどかで自然が豊かな村と言う印象だった。

 村民の何人かは農作業に勤しんでおり、また何人かが剣や杖を持っているようだ。


「あの人たちは何をしているのですか?」


 後者の剣や杖を持っている人たちが気になったのか、有栖がアリアに尋ねた。


「あの人たちはこの村に移住してきた冒険者達だよ」


「冒険者…ですか?」


「うん。 この村は総合ギルドがあるからね。 そこで登録して冒険者活動をして生計を立てているんだよ」


 ファンタジーノベルやゲームなどでよく聞く冒険者という単語だが、実際に生で見るのは初めてだった。

 それにしても、移住してきた人もいるのか…。


「スグル様とアリス様は、冒険者にはならないのですか?」


「冒険者は…少し怖いですね。 何せ今まで平和な世界に住んでいたわけですし」


「私も兄と同じです」


「なるほど…。 確かにこの世界は魔物とかも徘徊している時もありますし、平和な世界に今まで住んでいたとなれば不安はありますよね」


 クリスタさんからは、冒険者にはならないのかと聞かれたが、俺達は今まで戦いとは無縁な世界にいたという事もあってか、不安と恐怖があったのだ。 有栖も同様だった。


「じゃあ、ひとまずギルドはスルーして、他の施設とかを案内してから、能力を見るために屋敷へ戻ろう」


「ごめんな、アリア」


「何か…すみません」


「いいよ、気にしないで。 そこら辺を考慮しなかった私がいけないんだから」


 ギルドはひとまず屋敷で能力を測定してからにするという事でまとまった。

 俺と有栖は、アリアに謝ったが当人は気にしないでと言ってくれた。 この優しさが心に響くなぁ。

 そして、俺達はギルド以外の村の施設を案内してもらう事になった。


「それにしても、活気がある村ですね」


「そうだなぁ。 まるで町にいるみたいだ」


「アリア姫様が治めている村は、住みやすいように色々と考えた結果なのです。 他の村は重税とか傲慢かつ何もしない村長のせいで廃れている場所もありますから」


「マジですか…」


 どうもアリアの治める村は、アリアがやる気になっているからこそ活気があるらしく、他の村は重税だったり、傲慢でやる気のない村長のせいで村が廃れているケースが多いらしい。

 どこの世界も、そういう奴らがいるんだなぁ…と思ってしまう。


「ここはよろず屋だよ。 村の中では規模が大きい方だけど、武器や防具、後は日曜雑貨品や食材など色々売ってるよ」


「へぇ、ここがそうなのか…。 で、アリア、この世界のお金の単位は?」


「あ、忘れてた! お金の事を説明してなかったね」


 武具や食材などが売っているよろず屋に案内してもらったが、ふと気になったお金のことについてアリアに聞いてみたところ、どうも説明をし忘れていたようだ。

 まぁ、俺も屋敷での話では聞く気力が湧かなかったからな…。 せっかくここで生活するわけだし、お金の単位くらいは知っておかないと買い物すらできないだろうしね。


「まず、この世界のお金は単位ではなく金貨と銀貨、そして銅貨として存在しているよ。 相場は金貨1枚で銅貨が30枚分かつ銀貨5枚分、銀貨1枚で銅貨が6枚分になるね」


「そうなのですね。 私達の世界とは違って枚数で支払うんですね」


「お兄ちゃん達の世界は、単位が存在していたの?」


「ああ、『円』や『ドル』とか、国によって違ってたな」


「国によって単位が違うとか、相場的にややこしいよね…」


「そう言った形では、この世界の方が分かりやすいでしょうね。 この世界のお金は世界共通ですから」


 確かに、この世界はクリスタさんが言うように国ごとに違う単位ではなく、金貨・銀貨・銅貨という世界共通のお金だから分かりやすい。

 アリアも俺達の世界のお金の単位が国ごとに違うのを聞いて、ややこしいという感想を抱いたくらいだ。


「お金は私が出すから、お兄ちゃん達の生活に必要な品物をここで買うようにね」


「何から何まで悪いな、アリア」


「本当にありがとうございます」


「大丈夫だよ。 じゃあ、よろず屋に入るよー」


 アリアがそう言うと先によろず屋に入る。

 俺達もそれに続くようによろず屋の中に入った。 さて、何を買おうか今から考えないとな…。



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