表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/21

14 初戦闘の相手はリカントでした

いつも閲覧ありがとうございます。

本日も更新しました。

「グオオオオッ!!」


 リカントは、勢いよく俺達に襲いかかってくる。


「やらせないっ!」


「グアッ!?」


 だが、アリアが冷静にリカントの攻撃を槍で対処した。

 槍に刺されたリカントは、思わず後退する。

 脇腹を押さえ、こちらを睨む。

 アリアも同様にリカントを睨む。 流石はBランクの冒険者としても活躍しているのか、リカントのプレッシャーに怯まない。


「たあっ!」


「グギャッ!?」


 アリアの次の攻撃をリカントはやはり避けきれず、右肩を刺される。 だが、リカントにとってはまだ致命傷ではない。

 魔物だからか、かなりタフだ。


「アリアちゃん、流石ですね」


「全くだな。 あのリカント相手にやりあってるよ」


 俺達は、アリアの立ち回りに見とれていた。

 なるべく、戦いの経験がない俺達に向かわないように、少しずつダメージを与えている。

 見たところ、リカントは素早い魔物のようで、先にスピードを封じる為に、槍で各部関節を狙っているみたいだ。

 でなければ、リカントを確実に倒せないだろう。 ただでさえタフなのだし。

 そんな事を考えていた時だった。


「しまった! お兄ちゃん!!」


「へ?」


「グオオオオッ!!」


 アリアの立ち回りを飛び越え、リカントが俺達の方に向かってきた。

 マジかよ…! 両腕や両脚の関節をやられてるってのに…!


「に、兄さん…!」


「くそっ!!」


「お兄ちゃん、お姉ちゃん!」


 アリアが阻止しようとするが、間に合わなさそうだ。 もう、なるようになれ!

 半ばやけくそで、俺は剣でリカントを突き刺した。


「グアッ!?」


「「あ…」」


 突きだした俺の剣は、リカントにしっかり刺さった。

 だが、突き刺した場所が…、何故かリカントの股間だった。 それを理解した瞬間、まるで時が止まったかのようにみんなが固まった。


「ピギャアアアァァっ!!」


「「うわぁ、痛そう…」」


 股間を刺されたリカントは、静寂を破るかのように甲高い悲鳴をあげながら、股を押さえて踞る。 その様子にアリアと有栖はややドン引きしつつリカントに同情のような眼差しを送った。

 そのリカントは、次第に呼吸困難になる程に息が荒くなり、奴の股間から流れる血が止まらないみたいだ。

 そして、何故かそのまま出血多量で息絶えたようだった。 その様子を見て俺達は別の意味で呆然とした。

 まさか、初戦闘がこんな形で終わるとは…。 それはアリアと有栖も同様の事を思っていたようで…。


「倒したは、倒したけど…」


「なんと言うか、締まらなかったなぁ。 刺した場所が場所だけに…」


「でも、倒したんだし、ヨシとしましょう。 私は何も出来ませんでしたが…」


 何とも締まらない形でリカントを倒したが、ひとまずこれで安心してギルドに帰還できるな。


「とにかく、村のギルドに戻ろうか。 採取依頼の完了とリカント襲撃の報告もしないといけないし」


「分かった、戻ろう」


「そうですね」


 これ以上は長居するわけにはいかない。

 早めに報告する為にも、村のギルドに急いで戻る事にした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ええっ!? 近くのグリーンフラワーの群生地にCランクのリカントが!?」


「うん、一匹だけだったけどね。 逃げたら村に入り込まれるから対処したよ」


 キルシュ村のギルドに戻り、グリーンフラワー採取依頼の完了報告と同時に、グリーンフラワーの群生地にCランクのリカントが現れた事をアリアが代表で受付嬢さんに報告していた。

 流石に倒し方があんなのだったら、報告しづらいよな。

 とはいえ、近くの群生地にリカントが現れたのは間違いはないけどな。


「しかし、スライムやビッグマウスならまだ分かりますが、リカントが…。 ひとまずマスターにも報告しておきますね」


「お願いね。 もしかしたら何か異変が起こるかもだし…」


 異変…ねぇ。

 できれば俺達にそういう事件は降りかかってほしくはないんだけどなぁ。 ここでゆっくり過ごしたい俺達にとっては。


「兄さん、何かフラグが立ちそうな事を考えてません?」


「な、ナンニモカンガエテマセンヨ…?」


「ホントですか?」


 何故か有栖がジト目で俺の方を見ていた。 ってか、人の心を読まないで!!


「あと、グリーンフラワーの採取依頼の完了処理をしますので、カードの提示をお願いします」


「あ、すみません」


 先にアリアがカードを提示し、それに続くように俺と有栖もカードを提示した。

 すると、スキャナーをカードに通された後で、再び俺達にカードを手渡した。


「これで採取依頼の完了の処理を終えました。 こちらが報酬となっています」


 受付嬢から手渡された報酬は、お金だった。 一人当たり銀貨1枚だった。

 だが、アリアは銅貨に両替させた後で、銅貨5枚ずつ俺と有栖で分けてもらった。


「いいんですか?」


「私はあくまでも二人のサポートだからね。 ギルドとしては形式上で私にも渡したけどね。 三人パーティとして」


「そういう訳か…」


 そういや、アリアは王女であり村長も兼任していたからある程度お金はあるんだったな。

 村の維持費による消費がでかそうだが。


「基本的な依頼の流れは分かったかな? 討伐の場合は、その魔物を倒した時に証であるものをギルドに持ってくることになるかな? ゴブリンならこん棒、スライムならコアになる魔石とか」


「巡回依頼の場合は、滞在しているギルドスタッフに時間ですよと言われた時点で依頼が完了となります」


 依頼の手順は、ひとまず理解した。

 そして、巡回依頼の場合は現場に滞在しているギルドスタッフが時間だと言われた時点で完了扱いらしい。

 村を守るためには、そういうのも必要なんだろうな。


「それじゃ、今日はここまでにしよう。 明日は討伐依頼で戦闘に慣れてもらうから」


「ああ、やっぱり…」


「仕方ないですよ。 私はまだ魔法なんて使えないですし…」


「ですよねー」


 明日は戦闘に慣れるために討伐依頼をこなす事になったようだ。

 とにかく疲れた…。 今日は帰ってゆっくり寝よう、そうしよう…。



よろしければ、評価(【★★★★★】のところ)か、ブックマークをお願いします。

モチベ維持につながるので…。

次回は明日に更新します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ