10 回想~有栖の卓への想い~
いつも閲覧ありがとうございます。
本日二回目の更新です。
今回は有栖のあの件の回想話です。
私は柊 有栖です。
柊 卓は、双子の兄です。
私は、その兄を幼少の頃から慕っており、あるきっかけから兄を異性としても好きになりました。
ですが、元の世界では近親婚は世間的にタブー視されており、双子の兄妹なので法律的にもアウトなのです。
なので、その想いを分散させる為に兄を含めたみんなに対し、クールな女を演じる事を余儀なくされました。
兄さんは気にしていなかった様子でしたが、私としては内心で心が痛かったのです。
そして、私と兄が異世界に飛ばされ、二度と元の世界に戻れないと知って多少驚きましたが、両親が死んだ事と、親族の集まりで起こった忌むべき出来事があったので、元の世界には未練がありませんでした。
ちなみに未練がなかったのは兄もでした。
エルネシアの第三王女であり、これから私達が第二の人生を歩む場所である村『キルシュ』の村長をも兼任しているアリア王女の屋敷で今夜は兄と一緒に寝る事にしました。
久しぶりの間近で感じる兄の温もりである出来事を思い出していました。
それは、忌むべき記憶であり同時に兄を異性として好きになったきっかけの出来事です。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それは、中学1年の時でまだ私達の両親が存命の時でした。
この時は、おじい様の誕生日のための親族の集まりがあり、私と兄さんも両親と共に参加していました。
おじい様は、厳格な性格である傍らで孫である私や兄さんには優しくしてくれていました。 ですが、それを気に食わない親戚もいるようで…。
しばらくして私は催してしまったので、兄や両親にトイレに行くと伝えました。
そして、トイレを済ませて兄さんの元へ戻ろうとしたときでした。
「きゃあっ!?」
突然、後ろから誰かが私を捕まえました。
「んー、んんーっ!!」
抵抗しようにも、相手の力が強く、口を塞がれてなすすべもなく別の場所に連れて行かれました。
連れて行かれた先は、倉庫のような場所でした。
「あうっ!」
そして、相手は私を手荒く倒してから、私を見て興奮しだしました。
「ふひひひ、有栖ちゃんは可愛いよねぇ」
「ひっ…!」
その相手の…私達の母親方の弟にあたる人、つまり叔父が私を性的な目で見て気持ち悪い笑みを浮かべて興奮していました。
私はなんとか立ち上がって逃げようとしましたが…。
「おおっと、逃がさないよぉ」
叔父が私を壁際に追い詰めたせいで、私はそのまま逃げられなくなりました。
「ひ、ぃ…!」
「おおっ、その表情そそるねぇ」
叔父に対する恐怖が、余計に叔父を興奮させていきます。
「さて、まずはこれかなぁ?」
「あ、きゃあぁぁっ!?」
「ふひひ、有栖ちゃんのパンツ可愛いねぇ」
そして、叔父は私のスカートを捲ったのです。
慌てて私はスカートを押さえますが…、タイミングが悪く下着を見られてしまいました。 その上、叔父は未だにスカートを捲り上げたままにして下着をじっくり見ています。
「い、いやぁ、やめて…やめてください…」
「ぐふふ~、まだまだお楽しみはこれからだよぉ」
そう言って、叔父はスカートに手を掛けてきました。
(ま、まさか…!?)
叔父がスカートをまず脱がして、その後で下着を脱がそうと考えていたようです。
「いや、や、やめ…!」
スカートが叔父によって脱がされようとしたときに、突然倉庫の扉が激しく開かれました。
その直後、人影の一人がこっちに勢いよく近づいて来たかと思えば…。
「ぐべぇっ!?」
叔父を思いっきり殴り倒しました。 そして、倒れた叔父に向けて…こう言ってきました。
「俺の…有栖に何をしやがったぁぁぁっ!!」
(兄さん…!)
倒れた叔父に罵声を浴びせたその人は、私の双子の兄の卓でした。
兄が私を探してくれたことと、スカートを脱がされそうになったタイミングで助けてくれた事で私は安堵し、へたり込んでしまいました。
「貴様、時雨くんの弟か…! よくも有栖ちゃんを酷い目に遭わせたものだなぁ」
すぐにおじい様が、兄の代わりに叔父の元に行き、叔父を制裁しだしました。
ちなみに、時雨とは亡くなった私や兄の母親の名前です。
そして、折檻されている叔父のだみ声の悲鳴を耳にしながら、私は兄がこっちに来るのを待ってました。 というか、安心した影響で動けないのです。
「有栖…!」
「兄さん…、兄さん! ううっ、怖かったです…!」
「無事でよかった…。 もう大丈夫だ」
兄さんは私を抱きしめ、そのまま頭を撫でてくれました。
私の兄は、どんな時でも頼りになる人です。 それは今回の件もそうでした。
この時に、私は兄に対し、異性として好きになり始めた瞬間でもありました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「兄さん…、寝ちゃってますね。 今日だけで色々ありましたから…」
そして今、私は兄と同じベッドの上で一緒に寝ている最中でした。
兄が先に寝てしまったので、先ほどの事を思い浮かべていたのです。 当然寝る前に兄にも話しました。
「それにしても、兄さんの寝顔…可愛いですね」
兄の寝顔を見て、微笑ましく感じます。
そして、本当に私も眠気が襲ってきました。 そろそろ寝ないといけませんね。
「今度こそ、おやすみなさい大好きな兄さん…」
そう呟きながら私も目を閉じて、眠りに入りました。
明日からの生活は、不安ながらも楽しみですからね…。
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