第五十四話 嫌な噂
私はエイベルのファンクラブの令嬢から恐ろしい話を聞きました。
エイベルが嫌がるルメラ様に迫ったと・・。
嫌ってましたよね・・?いつの間にかイチコロされましたの?
イチコロされてもエイベルですよ・・。
あのエイベルが・・?女心のカケラもわからない、子供の作り方も知っているか怪しいです。
性格的にも無理ですし、そんなことしたらビアード公爵に斬られます。そして私も沈めます。
呑気にお茶を飲んでいる場合ではないので退席させていただきました。エイベルとビアード公爵家にとっても醜聞です。噂が広がる前に迅速に片付けないといけません。
ルメラ様を探すと1年2組の教室にいました。
「ごきげんよう。ルメラ様、こちらで構いません。お話をさせてください」
「レティシア様・・・」
私をじっと見つめ小さく震え怯えた視線で見られていますが、慰める気はありません。教室に残っていた生徒達の視線を集めますが好都合です。
「エイベルが貴方に無礼を働いたことの説明をお願いします」
「わたし・・・」
「具体的にお願いします。」
「エイベル様に想いを告げられたんです。お答えできないと言ったら、無理矢理抱きしめられ・・。」
嘘ですね。エイベルにそんなことできませんわ。
「エイベルは令嬢と二人っきりになることはしません。また貴方から近づいたという情報もあります。貴方はマール様の恋人なら気をつけなさいませ。」
「マール様!?」
「リオ様?」
一部の令嬢達が嫌悪のこもった視線や呟きを向けてきますが今は気にしてる場合ではありません。
リオが二股かけられても私には関係ありません。
「エイベルに近づくご令嬢の情報は全て私に入ります。マール様とエイベルの二人を同時に恋人にすれば、令嬢達に意地悪されます。私もうちのお兄様を数多の恋人の一人にされるなど許しません」
「どうして私を信じてくれないの・・。私はエイベル様に」
うるんだ瞳で見つめられても私はイチコロされません。
一部の男子生徒から非難の視線が突き刺さります。きっとルメラ様の取り巻きの方々でしょう。
「エイベルは婚前に令嬢に手を出しません。まず無理矢理手を出すほど令嬢に不自由もしてません。残念ながら貴方は兄の好みでもありません。これ以上、エイベルを貶めるなら私も相手をしますわ。もう一度聞きます。エイベルが貴方に無礼を働きましたか?」
「そうよ。」
うるんだ瞳で見つめながら勝気に返答されるとは思いませんでした。
ルメラ様は何がしたいんでしょうか。
エイベルに手を出されて、責任を迫ってビアードに輿入れ?
うちよりもリオのほうが家格が高い。でもリオは公爵にはなれないから、ビアード公爵夫人のほうが魅力的かしら・・。
「レティシア様、私が調べます。お任せてください。」
いつの間にかアロマがいました。
ルメラ様は私の言葉は聞きませんので、アロマのほうが話しやすいでしょうか・・。
「反省し謝罪するなら情状酌量の余地はあります。これ以上エイベルに無礼を働くなら許しません。もし本気でエイベルの妻になりたいなら私が教育しますのでご相談ください。エイベルの妻は私が認めない方は迎え入れません。アロマ、無理はしないでください。」
私は力強く頷くアロマに任せることにしました。
ルメラ様の意図がわかりませんがここで私が否定しておけば、エイベルのファンはルメラ様に手を出したりしません。女性方面は全く頼りにならたいエイベルのために妻を目指す令嬢は私が見極めると学園では公言してます。私に認められないルメラ様の相手をするほど令嬢達も暇ではないでしょう。
アロマによるとエイベルがルメラ様に迫ったや恋慕を示した目撃情報はありませんでした。二人っきりで会った事実もありません。リオの気を引きたくて嘘をついたんでしょうか・・。
私はエイベルの噂の収束にあたりました。
「レティシア、変な噂流しただろう!?」
眉間に皺を寄せたエイベルに睨まれています。
「噂には噂で対抗するのが一番です。お兄様の恋人になるための条件を公言しましたわ」
「放っておけば消えただろうが」
やはりポンコツですわ。ビアードの嫡男が騎士道精神に反する行動をしたなど噂でも許されません。社交に疎いから仕方ありませんね・・・。
「いけません。醜態になりビアードのイメージが壊れます。令嬢や社交は私の領分です。お友達にからかわれるのは我慢してください。耐えられないなら私が相手をして黙らせてさしあげますので紹介してくださいませ」
私がエイベルを笑顔で睨み返すとため息をつきました。
エイベルの恋人の条件はエイベルに告白され、私に認められたビアード家門を支える決意がある者と噂を流しました。貞淑な令嬢が好みなことやエイベルの苦手なタイプの情報も。
エイベルも令嬢達に人気があるのですぐに噂は広まったおかげで、ルメラ様とエイベルの噂は消えました。今はエイベルの好みの令嬢の噂で持ち切りです。
「レティシア様、エイベル様への無礼を謝罪させないんですか!?」
「本人も反省してるでしょう。ビアードのためなら相手にすることはやめてください。貴族として恥じない行動をお願いします。ただ何かあれば私に報告をおねがいします」
うちの派閥の令嬢達がルメラ様に敵意をむけるため宥める日課ができました。
関わりたくありませんがルメラ様の情報を集めましょう。最近はルメラ様の取り巻きは殿方ばかりなので色んな意味で危険です。リオを多数いる恋人の一人としてるのもまずいですよね。リオのファンクラブにはうちの派閥の令嬢もいます。エイミー様は荒事には向かないので私がしっかり動かないといけません。ルメラ様が大人しくしていてくださればいいんですが難しいですよね・・・。
お願いだから学園では学ぶことに集中して余計なことはしないで欲しいんですが・・。恋愛できる立場なら自由にしてくださっても構いませんが節度を持ってくださいませ。




