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追憶令嬢のやり直し。  作者: 夕鈴
二年生

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第五十一話  久々の登校

海の皇族の視察も終わりました。メイ伯爵にローナを会わせるだけのつもりが皇子様に見つかるとは思いませんでした。皇女様があそこまで自由奔放な方だったとは知りませんでした。昨日は授業を休みましたが、いつまでも休んでいるわけにはいきません。久々の登校です。生徒会の仕事は溜まっているでしょうか・・・。クロード殿下のあの減らない書類は大丈夫でしょうか。さしでがましいですがクロード殿下の御身が心配ですわ。

登校するといつもより視線を集めてます。1週間も休んでいたからでしょうか。


「レティシア様、お疲れ様でした」

「ステラ、ロキをありがとうございました」

「楽しい時間でしたわ」


愛らしいステラにロキは懐いています。学園ではロキが楽しそうに過ごしているので連れてきて良かったかもしれません。ナギは寂しがることなくロキとの文通を楽しんでいます。ローナにはロキの成長が誇らしく、邪魔でなければこれからも傍に置いてほしいと頼まれました。ローナ達が幸せなら苦行に耐えた価値はあります。


「レティシア、大丈夫か?」

「フィル、濃い一週間でしたわ。私は何度倒れたくなったか・・・」

「お疲れ」


フィルとステラの顔を見たら力が抜けました。帰ってきたんですね。

久しぶりの穏やかな時間です。休んだ分のノートをステラから受け取りながら授業が始まるまでは友人との時間を楽しみました。自然に笑みが零れるのはいつぶりでしょうか・・・。接待中は令嬢モードで完全武装してましたわ。私はフラン王国の生まれであることに初めて感謝しました。海の皇国に生まれたら皇族に振り回され倒れる未来が想像できますわ。お優しい国王陛下と聡明なクロード殿下の御世に生まれて幸せでしたのね…。


***


魔法の授業でマートン様に攻撃を仕掛けられるのはいつものことなので相殺するだけです。

変わらない平穏な日常に幸せを感じますわ。

放課後、生徒会に行くとクロード殿下の前の書類の小さい山に頬が緩み笑みが零れました。

クロード殿下の執務室の書類の山に見慣れて感覚がおかしいようですわ。


「殿下、平和ですね」

「感謝しているよ。まさかレオが使えるとはな」

「聡明な殿下の弟君ですもの」

「これから自覚が出てくれればいいが」


クロード殿下にレオ様の話をされるのは初めてです。二人の不仲が解消されるといいのですが・・。


「両殿下のために誠心誠意お仕え致します」

「期待している。母上が評価していたから近々招かれるだろう」


クロード殿下の言葉に固まりました。

その言葉は嬉しくないですがお呼ばれしたら倒れてもいいでしょうか…。


「顔に出ている」

「申しわけありません」


昨日よりも顔色が良いクロード殿下は無表情ですが声が明るいので機嫌が良さそうです。気づくと役員の皆様が揃ったので会議が始まりました。

特に大きな問題もないようです。任された仕事が少ないのは予想外の幸運でした。

退室して学園内の見回りをしているとエイミー様とレオ様が演奏室で合奏しており口元が緩んでしまいます。エイミー様はレオ様を慕っています。レオ様も穏やかな顔をされており、情操教育もうまくいっていることに笑みがこぼれてしまいます。音楽の力は偉大ですわ。

肩を叩かれて振り返るとリオがいました。


「マール様?」

「見回りに付き合うよ。殿下が見回りはできるだけ二人一組でと。特に令嬢や下級生は一人は控えろって」


生徒の取り締まりは危険が伴うこともありますものね。笛を吹いてもすぐに駆けつけてもらえるかはわかりません。


「私は強いですよ」

「殿下の指示だから。何を見てたんだ?リール嬢・・」

「素晴らしい演奏に足を止めてしまいました」


笑顔のリオに怪しまれないように笑みを浮かべてごまかします。怪しまれない言い訳を考えていると扉が開きレオ様が出てきました。


「二人共いたのか。中に入れよ」

「少しならいいだろう」


見回り中ですが、リオの言葉に頷いて演奏室に入るとエイミー様が目をぱっちりと開けて期待のこもった顔をされました。


「レティシア、マール様、もしかして」

「エイミー様、生徒会で一緒でした。期待されるようなことはありません」

「俺としては誤解してもらっても構いません」

「マール様の遊びに私達を巻き込まないでください」


エイミー様の楽しそうな笑顔に誤解されてる気がします。


「レティシア、一緒に演奏しよう。エイミーから合格が出たんだ」


レオ様の期待の籠った声に、背中に冷たい汗が流れました。フルートの練習を全くしてません。最後にいつ触れたかさえ記憶にありませんわ。なんとかごまかさないといけません。

レオ様の目を見てにっこりと微笑みます。


「おめでとうございます」

「楽しみね。いつにしましょう」

「リオもやるか?」

「是非」

「エイミー様、私はお邪魔になってしまいます」

「そんなことないわ。楽しみだわ」


盛り上がるレオ様とエイミー様の雰囲気にお断りできませんでした。

このままここにいれば練習させられるのでリオの手を取って礼をして逃げました。ステラのかわりに侍女を同席させていたのでレオ様とエイミー様は二人っきりでも問題はありません。あの厳しい練習はできれば避けたいんですが・・。今世は脱貴族の予定もありませんし…。


「レティシア様!!」


ぼんやり歩いているとアナの声に足を止めました。


「おめでとうございます!!」

「アナ?」

「とうとう結ばれたんですね。恋人に」


アナの無邪気な笑みと視線でリオの手を握ったままということに気付きました。


「マール様、失礼しました」

「俺はこのままでいいんだけど」

「アナ、誤解ですよ。間違えただけです。私はマール様の恋人はありえませんので」

「そうですか・・・。今度はいつ来れますか?」


アナのしょんぼりした顔に罪悪感を感じますが、私にはどうにもできません。


「放課後はしばらく忙しいのでお昼休みでもいいですか?」

「はい。待ってます。リオ様も」


アナの顔が笑顔になってよかったですがリオは誘わないでください。


「ああ」

「アナ、マール様は駄目ですよ」

「どうして?」


純真なアナ達にリオを近づけたくないとは言えません。


「レティシア、後輩の頼みは無下にはできない」

「でしたら私の頼みも聞いてください」

「もちろん」

「私で遊ぶのをやめてください」

「遊びじゃないからやめる必要ないだろう?行くよ。アナ、またな。レティシアと一緒に行くよ」

「はい」


嬉しそうに手を振るアナに手を振り返して、強引にリオに手を引かれて、足を進めます。


「手を離してください」


強く握られて解けません。笑っているリオに私の言葉は聞こえないようです。

私のリオは嫌がることは絶対にしません。今世のリオは性格が悪いかもしれません。

この光景をご令嬢に見られたらと思うとゾッとします。生徒会室が近づくとようやく手が解放されました。


「マール様、取り締まられないように気をつけてください」

「取り締まられるようなことはしないから。手を繋いで歩くのもレティシアだけだ」

「それはファンの皆様にお願いします」


私で遊ぶリオは放っておいて生徒会室に戻りました。

エイミー様達との練習は気が重いです。エイミー様の指導は厳しいんです。

リオに付き纏われている気がするんですが、誰か助けてくださいませ。

今世のリオは私の言葉を聞いてくれません。

リオが近くにいると平穏な生活が壊される予感がしますわ。私の人生でリオを迷惑に感じることがあるなんて…。人生なにがおこるかわかりませんが、こんな変化は望んでいませんでしたわ。とりあえず今日はエイベルの側にずっといましょうか。

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