第二十話 休養日
私は休養日にリアナが心配なのでビアード公爵領に帰ってきました。リアナを孤児院から連れ出し騎士の訓練場に向かいます。
「ルリ、なんで?」
「学園の名簿で探したんですがハク様は見つかりませんでした。ハク様の容姿に当てはまる人物も多すぎて絞り込めません。うちの騎士達で似ている顔を探してほしいんです。時々、貴族の令息も訓練に混ざるので運よくハク様がいればいいんですが」
「探してみる」
不思議そうな顔をしていたリアナが頷きました。
「私は訓練に混ざるので、何かあったら声をかけてください」
「うん。行ってらっしゃい」
私は手を振るリアナを椅子に座らせ訓練に混ざりました。
ソート様が来てました。ソート様は火属性なので魔法で手合わせしてもらうことにしました。
「レティシア、ハンデは?」
「いりません」
陣地に旗を立ててあります。相手の旗を倒したほうが勝ちです。
自分の旗を守りながら、相手の旗を壊します。自分の旗を水の結界で覆います。
ソート様が火球を飛ばしてきたので水球で相殺します。水の刃を旗に落とすのを火で相殺されます。
ソート様を水で拘束しますが躱されます。
後ろからはじける音がしました。私の旗が粉々になってます。
「負けました・・。なんで」
「旗のさしてある砂丘を熱で熱してできた穴から魔力を流し込んで、棒を爆発」
「私への攻撃は囮ですか」
「正解。レティシアはからめ手苦手だよな」
「全然勝てません。」
「次は連携やるか。コクーン、フィル付き合え」
コクーン様とフィルも来てましたね。
「レティシアは誰と組む?」
「勝ちたいからフィルです」
「お前はたくさんの相手と組む気はないのか」
「慣れない連携で負けるよりも、息の合う相手と勝ちを取りに行きます」
フィルとソート様に笑われました。
「深窓の令嬢が負けず嫌いって知ってる奴はどれだけいるんだか」
「そんなところも素敵だと思います」
「紳士なコクーン様を見習ってください。」
連携戦は負けました。さすがに悲しくて座り込みました。
「レティシア、上級生の二人には敵わないよ」
フィルに肩に手を置かれました。
「ソート様にも一度も勝てません」
「ソート様は強いから」
「レティシア様、偶然ですよ。差し入れをお持ちしたんで召し上がりませんか?。」
コクーン様はケーキを買ってきてくれたんでしょうか。
「一人、お友達を誘ってもいいですか?」
「もちろん。たくさんあるんで」
「いつもありがとうございます。どうぞ」
訓練場の客室に案内します。騎士にリアナを連れてきてもらいました。
マナは控えていないのでお茶の用意をしました。コクーン様の持ってきた箱の中身は宝箱です。色とりどりのケーキがたくさんあります。
「レティシア様、好きな物をどうぞ」
私が一番先に選ぶのは許されません。お客様優先です。
「お客様からです」
フィルが覗き込んでケーキを取り私の前に置きました。一番食べたかった蜂蜜がかかったケーキです。笑みがこぼれてます。
「ありがとうございます。」
「お前も先に選べよ」
「リアナ、好きなのをどうぞ」
リアナは迷ってます。リアナは決めるのが苦手です。
苺のケーキを渡すと嬉しそうに笑いました。多少の好みはわかるようになってきました。フィル達もケーキを選んだのでいただきます。美味しいです。幸せです。蜂蜜は人を幸せにしますわ。フィル達も上機嫌にケーキを食べています。
リアナがコクーン様をじっと見つめてます。
「ハク」
「リアナ?」
「声がそっくりなの。色は違うけど顔も」
どういうことでしょうか・・。
同一人物だと良いんですが・・。
「コクーン様、ルメラ男爵領を訪れたことはありますか?」
「ありません。」
残念ながら人違いです。
「失礼しました。リアナ、コクーン様の声と顔がそっくりなんですか?」
「うん」
「わかりましたわ。捜してみます」
「レティシア様、捜し人ですか?」
「はい。どうしてもお会いしたい方がいるんですが、中々会えずに。コクーン様のお蔭で希望が見えました。ありがとうございます」
「お役にたてて光栄です」
休憩は終わりにして訓練を再開しました。
リアナはぼんやりとコクーン様を見ています。騎士にそこまでと声をかけられたので挨拶をして解散しました。リアナを孤児院まで送ります。
「ルリ、ハクだと思うの」
「親しくするのは止めませんが、伯爵家の方なので礼儀に気をつけてください。言葉遣いも。」
「わかりました。」
「頑張ってください。お勉強は大丈夫ですか?」
「うん。覚えることが大変。でも負けたくないから」
自分よりも幼い子供に負けるわけにはいきませんよね。
孤児院から苦情はないのでうまくやっていると思いましょう。
ビアード公爵邸に帰るとビアード公爵に呼び出されました。
「レティシア、マール公爵が海の皇国の視察にお前を連れていきたいと」
「お父様、行ってもいいですか!?お土産買ってきますよ」
「エイベルは行けない」
「大丈夫です。私はお役目を、お役目ってなにをすればいいんですか?」
「水の魔導士と通訳と」
「ビアード公爵家の名に恥じない働きをしてまいります」
「護衛騎士を離してはいけないよ」
「はい。お父様、大好きですわ」
ビアード公爵は私を行かせたくないようです。ですが、許可がでるなら空気は読みません。ロキの幸せのために頑張ります。
久しぶりに幸先良好です。




