プロローグっぽいもの1
『残念ですが、鷲宮瑠奈さん。貴女はお亡くなりになりました』
周囲の状況が全く判らない中、不思議な声が頭の中に響いていた。
私が死んだ?
いつ、どこで、どのようにして?
様々な疑問が頭を駆け抜けるが、皆目検討がつかない。手を動かそうとしても動かない。いや、動かすという感覚がない。同様に足も身体も動かない。さらに目を凝らそうとしても、どこまでも続く深い闇。耳を澄まそうとしても一切の音が聴こえない。自分の呼吸すら。
ーーー本当に私、死んだのね。
その様なこと思案していると、突如として視界が黒から眩いばかりの白へ塗り潰された。いや、五感がないのだからそう思っただけかもしれない。
目?を開けるとそこには一人の女の子が佇んでいた。
見た目は小学生高学年程度。どちらかと言えば平均よりは小柄な方だと思う。髪は腰辺りまでロングストレートで綺麗な金髪であり、肩の辺りから徐々に銀色へと変色している。
やや大きめの瞳はコバルトブルー、スッとした鼻筋と、まるで人形みたいに整った顔していた。
控え目に言ってかなり可愛いです。
「…えーっと、お話を続けさせてもらっても良いですか?」
苦笑を溢しながら、眼前の少女は問いかけてきた。
「あっ、はい。どうぞ」
少女は咳払いすると、言葉を続けた。
「では鷲宮瑠奈さん。改めて貴女はお亡くなりになりました」
「やっぱりそうですか…」
「はい、享年16歳。死因は…聞かない方がいいでしょう」
「えっ、何か凄く気になるのですけれども…」
「知らない方が幸せな事もあります」
いやいや、私死んでますよね?
それ以上に不幸な事ってあるんでしょうか?
「知らない方が幸せな事もあります」
「あっ、はい」
どうしても言うつもりはないようですね。