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通り魔アプリが世界にもたらすものとはー



スマホで時間を確認する。


朝の4時、また早く起きてしまった。



毎日変わらないバイト生活。



つまらない人生で、どうしようもない。





毎日死にたいと思っている。





ずっと寝れていない。


ご飯も食べる気がしない。


これからの未来に希望なんてない。




こんなクズのオレは


死んだほうがみんなのためになる。


昨日も仕事でミスをした。



死にたい。


もう死んでもいいかな。








ふと楽な死に方を探してみた。





あるアプリの事が目に入る。



【通り魔アプリで人生変えませんか?】



最近ネットで噂になっているアプリ。



自殺したくても自殺できない人間が


他の人間にケガをさせられるか、殺してもらうというアプリ。




苦笑いがでてしまうというか


にわかには信じがたい、


いや1ミリも信じれない内容。




インストールしアプリ内を見ていくと、


どうやらGPS機能から位置情報を割り出しこちらの情報を把握するとか。





どうやら、ケガをさせられるだけというものもあるようだ。


死にたいと思っていても死ぬのが怖いと思ってしまう。


ケガくらいなら……





【通り魔を呼ぶ 初回無料!】


(通り魔を呼ぶ ケガコース)


(通り魔を呼ぶ 殺人コース)





アプリの画面を見ていくと


そんなボタンがあった。




ほんとに来るのだろうか……




ボタンを押した。 







「こんなばかなことあるわけないよな……」






【待ち合わせ時間を選択する】


(ケガコース 本日 17時)


(ケガコース 本日 18時)


(ケガコース 本日 19時)


(ケガコース 本日 20時)


(ケガコース 本日 21時)


(ケガコース 本日 22時)


(ケガコース 本日 23時)


(ケガコース 本日 24時)





???





通り魔を呼ぶとなっていたところが


そんな表示に変わっていた。





「……」



これはもしかして本当に、、、



いや、そんな訳ない、ただの噂だ。



そんなのあるわけない。




「まあ、こんな人生なんてどうでもいいしな。


ネットの噂ではケガをさせられたりもしているみたいだし、


ケガをして仕事を休めたら、ラッキーだよな……。


仕事が終わる時間から考えて18時か……」




ボタンを押すと表示が変わった。






【依頼を受付ました】


(ケガコース 本日 18時)




「こんなもの信じちまうとは、疲れてるな……オレ……」




表示されると同時に待ち合わせの場所が表示された。


いつもの帰り道にある公園だった。



仕事が終わったのは5時を過ぎたあたりだった。


いつものように帰り支度をし、公園へと向かう。




待ち合わせまでかなり時間がある。


コンビニに立ち寄り時間を潰していた。







ふとスマホでアプリを起動させると


表示が変わっていた。





【通り魔を派遣中】





「派遣中……通り魔が派遣とはなんだか面白いな。」






気が付けば時間まであと数分まで迫っていた。


コンビニから出て公園へ向かう。





めずらしい事に人が居ない。


いつもならたくさん人がいるはず……






そう思った時だった。




左に人影が見えた。


男がたたずんでいる。




目を凝らしよくみると、


なんだか違和感を感じた。





コートを羽織った


大男がこっちを見ている。



その手にはナイフらしき物を持っていた。






通り……魔?




背筋に寒気を感じたと同時にその男はこちらに走ってくる。


間違いない。




通り魔だ。




スマホを握りしめると同時に逃げる。



どう考えてもケガどころで済ましてもらえる


雰囲気の相手ではない。






感じるのは殺気。





誰かに助けを求めようにも声がでない。



息を切らしながら公園からでると、


隠れられそうなところを探す。 



どこに逃げるか頭が回らない。






足音がする。




まだ追いかけてきている…






いつもは通らない道に来てしまった。


どこかに隠れられそうなところはないのか……!





はぁはぁはぁ……






こんなにも死にたかったのに、


いざ死ぬんだと思うと途方もなく怖い。





スマホを握りしめ走る。


ただ走る。







どんどん距離を縮めてこられている。


どうすればいい、どこに逃げればいい。





振り向くと


数メートル先に男がいた。




目の色が赤く、


無表情の男がこちらを見ていた。






「と、と、通り魔!」




口をついて言葉が出た。






近づいてくる。




怖くて足がすくむ、


思うように体が動かせない。




そうしているうちに


男は目の前にいた。




ナイフが振りかざされたその時だった。






ガッ



何かを殴った音がした。





その音と同時に


大男がこちらに倒れてきた。






大男の先に人がいた。





そこには笑顔の男がいた。


鮮やかな緑色の髪をオールバックにし、


赤色の目をした男だった。



笑顔のまま唐突に話し出す。





「はじめまして、こんにちは。


秋川シュン様、ご提案があって参りました。



大変お困りのようですね。


突然ですがゲームに参加しませんか?




簡単なゲームです。




参加していただけるのでしたら


この危機的状況から


救って差し上げます。



いかがでしょうか?




選択肢は、死ぬか、参加するかの


どちらかになります。」







笑顔を崩さず、


営業トークのようにすらすらと話す。




「ゲーム?」


訝しげに問いただす。




「はい。異世界に行って


たくさんモンスターを殺戮するのです。




そこに行けば理想の世界がありますよ。


たくさんのお金も手に入りますしね。」






お金か……



それに


断れる状況ではないな……。






「わかった。参加するよ。」




「ありがとうございます。ふふふ……」





そう言うと同時に男の目の色が変わる。



闇のような紫の色になった。






それを見たと同時に意識を失った。











「おはようございます。秋川様。」




目を開けるとそこには


笑顔の緑髪の男がいた。



気分がすぐれない時に無駄にはつらつとした


笑顔は逆に疲れる。



「……」




「今から行きますよ。


エントランスに。」





「エントランス……?」





「ええ、そこで今回のゲームの説明があります。


そこにはたくさんの人が集まっています。



夢を叶えるために。」





「俺と同じ……」




「たくさんお友だちできるといいですね……


ふふふ……」





「別に、だれかと仲良くなんかしたくもない。


おれはただ、金を手に入れ誰とも関わらない世界にいきる。


それだけだ。」






「うーん、まぁ……


とりあえず私が友達第一号ということで


よろしくお願いしますね!」





話を聞いていなかったのか、こいつは。




「おまえは、友達でもなんでもないよ。」





「あら、ツンデレですねー


友達いないあなたの貴重な一人だというのに。」






バカにしてくる奴だ。





「まぁ、それは置いておいて、


いきましょうか?」




「あぁ……」





エントランス、




何が待っているのか


不安になりながら俺は向かった。




無機質な廊下をあるき


エレベーターでエントランスに向かう。




ここは1階、


エントランスとやらは地下にあるみたいだ。 






ドアが開いた時、驚く光景が目の前にあった。








さっきまでの装飾とはうって変わって


豪華な装飾、





赤を基調とした壁紙



金色のカーテン



巨大なシャンデリア



巨大なスクリーン





何もかもに圧倒された。








「すごいですよね!


はじめて来たときは心おどりましたよ。」




「あぁ…すごいな…」







…!


なんだこれ!?




エントランスの4分の1は占めるだろう場所に


何メートルもある巨大な木があった。





「あれはここの


“VIP”の方たちの場所ですよ。」




「“VIP”?」





「ゲームでたくさん敵を倒して、


ポイントを多量にもっている人のことです。



ここでは手に入れたポイントで


いろんなことができるんですよ。」






「ポイントで大きな木を作ったのか?」




「ええ、そうです。」







ふと見上げるとそこには、



背丈と同じくらいに長く


ふわふわの白いパーマのかかった髪の人が


大木に腰かけていた。




フードで顔が見えない。



羊のフードを被っていた。





能力に関係してくるんだろか、、、、。




見ているとふとこちらを向き、目があった。




…!







青い瞳、白い肌


なにより表情、、、



人を殺すのを


なんとも思わないと言うか、


なんとも表現しがたい、


警戒心が働いてしまう雰囲気を


表情から読み取れた。




あいつはヤバイやつだ。




「おい。あいつは誰だ?」




「あの方ですが?


あの方は、レイチェル・ブラッド。



ここでもっともポイントを所有している方です。」




「あいつと戦ったりもするのか?」



「いえ、どちらかというと


共闘ですよ。



今のところ、敵はここにはいませんよ。」






内心ほっとした自分がいた。





「もうすぐゲームの説明がはじまりますよ。


あの方にみとれてないで席につきますよ。」




「だっだれが見とれてるだ!


ただ見ただけだ!」




「ふふふ……まぁこの辺りにでも座りましょう。」




「あぁ……」




席に着くとそのタイミングを待ってたかのように 


映像がスクリーンに写し出された。






ようこそ、


殺戮ゲームの世界へ。


共に夢をつかみましょう。





そんなメッセージとともに、




男がスクリーンの中に現れた。




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