雨の悪夢
頭が真っ白になった
目の前にはかすみが片時も忘れたことがない人がかす
みを射るような冷徹な目つきで睨んでいる
ー別れてくれ。
彼が言い放った途端周りの声は一瞬でかすみの元から
去り、それはしばらく戻ってこなかった
***
朝は最悪だった
昨日、彼に別れを告げられたことが夢にまで出てきてしまった。
おまけに雨。
「バスで行こう」
かすみはそうつぶやいてベットから起き上がった。
かすみの家から高校までは自転車で40分。バスで30分のところにある。母からの願いでいつもは金のかからない自転車で行ってるが、まあ、こんなひどい雨だから納得してくれるだろうと窓の外を見るとやはり雨が地面を叩きつけるかのように降っている。
「お母さーん、今日はバスで行ってもいい?」
看護師の仕事の夜勤明けで布団で死んだように寝ている母に聞いてみたら案の定むっと顔をしていいよ、と投げやりに返してきた
かすみは学校の準備をするときには必ずドラマのサントラをかける。今日も前までかすみが欠かさず見てた新米検事が事件を解決するみたいなドラマのサントラをかける
かすみはなんとなくサントラがかかっている時だけ主人公になれる気がするのだ