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6 王都へ

 持っていく最低限の荷物を持ち家を出る。

 村の入り口に王都まで行く馬車が来ているらしいのでそこへと歩みを進める。


 「ススム、後悔してないかい?今ならやめることだってできるよ?」


 珍しい。マーサさんが明確に心配をしていることを俺に伝えてくるなんて。


 口が悪いマーサさんだけども心配してくれるのはいつも伝わっていた。いつもお礼を言っても「いいんだよ」とか「あたしがすきでやってるんだよ」などはぐらかされてしまうが……。


 「マーサさん。エリナに恩を感じて僕が無理に学校に行くことを決めたと思っているなら大丈夫です。僕自身が学校に行ってみたいと思っていたんですよ。」

 「そうかい。ならいいんだ……。」


 マーサさんから少し残念そうな気配がする。きっとこのまま村にいてほしかったんだろうけど俺の意志を汲んでくれたのだろう。


 「ススム。せっかくフォード様が援助してくださったんだ。どうせ行くなら立派な男になってくるんだよ!」

 「は、はい!」

 

 マーサさんに激励をされると一気に気合が入る。このタタカ村に戻ってこれるのは何年後になるか分からないがこの人に面と向かって立派な人になったと言えるぐらいになっていよう!


 それにしても引っかかる点があった。


 (フォード……様?)


                      〇


 村の入り口につくとそこには明らかに一般の人が乗るには相応しくないであろう豪華絢爛な馬車があった。その周りには甲冑を着込んだ白銀の騎士が四人並び立っている。


 フォード一家は俺を待っていたらしく、こちらを確認したエリナは手を振ってきた。すると急にマーサさんが深々と頭を下げる。


 「フロスト様、ご迷惑をおかけすると思いますがススムの事よろしくお願います。」


 村の人達と話をする時も乱暴な口調だったマーサさんの丁寧な口調に俺は驚きを隠せない。


 「お顔をお上げくださいマーサさん。責任をもってススム君を預からせてもらいますよ。」

 「ありがとうございます。」


 フォード一家の装いを見るといつも畑で見るような村人衣装ではなく後方の馬車に合った豪華な服を着ている。そういえばエリナがいつも着ていた服もそれなりにお金が掛かってそうだったのを思い出した。


 マーサさんとフロストさんが会話している横を通りエリナの近くへとこっそり近づく。


 「もしかして……エリナって……貴族だったりする?」

 「そうだよ!」


 エリナは、今更何を言っているのだろうか、とゆう顔をしていた。



 さ……先に言ってよーーーーーー!


                       〇


 豪華な馬車の中は振動を感じさせないほどの柔らかい腰掛けと綺麗な絨毯か敷かれていて改めてここにいる人が貴族なのだと実感させた。


 王都へはエリナと俺、フロストさんが向かうことになっており出発の際アイシャさんは長らくエリナとの別れを惜しんでいた。


 俺とマーサさんとは既に別れの言葉を済ませていたので「エリナ様の事を守るんだよ」とだけ言われた。


 それが数時間前に事である。ゆっくりと進む馬車の中ではエリナが興味心身に窓から外を覗きフロストさんは静かに俺と話をしていた。エリナ……少し前までアイシャさんと別れたことを悲しんでいたのにもう忘れてしまったのか……。


 「まさかフロスト様が貴族だったとは……。今までの無礼申し訳ありません。」


 俺は深々と頭を下げる。


 「いやいや、そんなにかしこまらなくてもいいよ。私はただの現フォード家当主の弟に過ぎないからね。実際に偉いのは私の兄さ。」


 それって実質的なナンバー2ではないか!十分偉い人だと思う。


 「フォード領の運営は兄が全てやっているし、あの人は凄い人だからね。私の助けなんて要らないのさ。だから私の職業が村人なのもあって領地の端にあるタタカ村に住んでいたんだよ。別に貴族としての権力も使うつもりもないしススム君はエリナと仲良くしてくれた。君には今までどおりエリナと私に接してほしいな。」

 「は、はい……。わかりましたフロスト”さん”。」


 俺自身そっちの方が嬉しい。今更エリナ様とか言いにくいのだ。


 「それでこれからの事なんだけどね……」


 そう言うと俺とエリナの今後の話がフロストさんと始まった。


 どうやらこれから王都にあるフォード家のお屋敷に入学までご厄介になるらしい。平民の子が入学するには入学試験をしなければいけないがこうゆう風に敬語などを話せて色々な本を日常的に読んでいた俺なら簡単にこなせる内容のようだ。平民でも努力しようとする者は入学させるのは珍しい学校らしく多くの平民が入試を受けるらしい。


 入学後、エリナはお屋敷からの通学。俺は寮からの通学になる。この決定にエリナは反対していたが成人していない内から平民の男を屋敷に同居させ住ませるのは変な噂がたつ可能性があるためできない。


 まぁ、学校では一緒にいるのだ。一緒にいる時間は村の時よりも多くなるのではないか、とエリナに話すとしぶしぶ了承してくれた。


 フォード親子と馬車に揺られながら4日、途中大小いろいろな街を経由して5日目の朝。王都の街並みが見え始めた。


 

誤字脱字があると思いますが見つけ次第修正していきます。


やっと学園に着いた!と思いきやまだ入学できません。

早く入学させたい……。


次回、新しいヒロイン!?候補が……くるかな?

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