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鬼ごっこ
土属性アロー魔法。速さを重視して確実に当てるための魔法。
言ってしまえば、牽制。
逆に言えば、この場で戦うという宣言。
この迷路にはきっと出口がない。この迷路で相手を倒すのがコンセプトなんだろう。
今の一撃は背後からだった。
後ろには曲がり角。
急げ!
ダンジョンにやってきたのは鋏みたいな剣を持ったプレイヤーだった。
迷路の出口を探して、探し回って、集中力が切れたら狙う。
今のところ撃退数は伸び悩んでいるけど、きっとなんとかなる。
すぐに曲がり角まで来るだろう。遅いボール魔法でも仕掛けて置くか。
曲がり角まで来て、違和感。
明るいのだ。
迷路の中はずっと薄暗かった。
ここで光源になるものなんて、
魔法じゃないか。
ここのダンジョンマスターは魔法使いだ!
少なくとも俺よりも明らかに魔法を習熟してる。
光源に向かって、俺はウォーターボールを唱えた。
いつもよりも炸裂の音が大きい気がした。
が、あちらが勢いよくぶつかりでもしたのだろう。
早く隠れろ。また狙い撃ってやる。
スキを狙い、追いかけ、条件の全く違う鬼ごっこが始まった。