決闘大会 予選2日目 ランク3 グレンの場合 2
(閃きの剣戟、いやハルバードの威力を考えれば受け流されるか防がれるかしてカウンターを喰らえばやばい。斧系の重量武器だし剣の方がスビードでは勝る。手数とスピード、あとは期待出来ないけど攻撃の精度で押す!)
グレンの脳内では相手を冷静に分析し勝ち筋を探っていた。格上とは言わないまでも、互角以上に渡り合う相手。はっきり言って勝敗のほどは分からない。確実に勝てる自信がない。
それでも、勝つ。
友人達との約束もあるし、何よりも自分の意地のために、本戦へ進む。
「『ファイヤーアロー』『ファイヤーウェポン』」
武器にも火属性強化をかけて、火の矢を追うように接近する。
「『ファイヤーウォール』」
相手も火魔法を選択。防壁をはった。
これで互いに姿が見えない。
グレンは立ち止まり、様子を伺う。否、魔法に込める魔力を腰に差した短杖を使って操作する。
こちらのアローが相手のウォールに激突。ウォールが消失する。
「『ファイヤーボール!』」
ファイヤーウォールの右端。ギリギリ隠れられる所に移動していた相手プレイヤーにボールをぶつける。
「・・・ !」
一瞬の逡巡のあと、ボール魔法を敢えて受け止め、ファイヤーウォールの裏で火魔法強化したと思わしきハルバードを振りかぶって接近する。
「『火属性強化・閃きの剣戟』」
「『火属性強化・鬼回し』」
激突の瞬間、通常なら強化は吹き飛ぶ。しかしスキルに合わさることで威力を引き上げ、スキルが終結するまでは強化も維持される。
剣対斧。それもハルバードなどという大型の斧が相手だ。普通に考えれば勝てる見込みは低い。
普通に考えれば。
例えば火属性強化の魔力を多めに注入していたらどうか。武器スキルのレベルが上回っていたらどうか。
攻撃が、渾身の横薙ぎと一回転するはじめで威力が乗りきっていない、やや軽いものならどうか。
結果は相殺。だが相手はハルバードということで体勢を崩したときのスキも大きい。
足を斬る。ポリゴンの赤いラインが走る。ラインから下は一定時間麻痺して動かせなくなる。リミットはラインが消えるまで。動けなくなった所でハルバードを持つ腕を斬る。動けなくなったら胸に突きを放つ。そしてそのまま。
「『ファイヤーボール!』」
若干のダメージを負いつつもなんとかハルバード使いに勝利した。
5分以上戦っていたらしく、他のプレイヤーは既にいなかった。タイムアップにより、グレンと斧使いのプレイヤーの二人がが本戦へ進出となった。