決闘大会 予選2日目 ランク0 シンの場合
ルリが善戦する一方でシンは苦戦していた。
魔法使いプレイヤーが多くいるステージではど派手な魔法があらゆる場所で降り注いでいた。
昨日のランク3の試合に触発されてか範囲系の魔法は少ないものの、あちらこちらから流れ矢ならぬ流れ魔法が飛んでくるため一切の油断ができないためだ。
そんな中を少し魔力を多めにして作ったサンドウォールを背にシンは身動きせずにいた。
(落ち着け、私!周りがこれだけ魔法を使ってるなら魔力切れも早いはず。そこを狙えばいい。今は怖くても耐えていればいい。大丈夫。大丈夫。ルリさんだってがんばってるんだ!)
そんな思いが通じたのか、飛び交う魔法の数が目に見えて減ってきた。もう少し!と心の中で願うシン。
が、ボール系魔法がサンドウォールに被弾。それを切っ掛けに作っていた防壁が崩れてしまった。
この時点でシンの魔力は残り7割。勝負に出るか、否か。
ステージ上には直前のシンと同じく防壁に籠もっているプレイヤーもまだいた。仮にヘビーカスタムをしても防壁に阻まれればダメージは期待できない。
(まずは壁をなくす!)
「ヘビーカスタム!」
この声でプレイヤー達の視線がこちらを向き、魔力に余裕のあるものはアロー系魔法で先手を打とうとする。
しかし、それは読める。私でもそうする。だから、今のはただ叫んだだけ。
魔法の射線から逃れて、エフェクトに隠れながら、今度こそ撃つ。
「『ヘビーカスタム・ウィンドストーム!』」
ウィンドストームは他のストーム系魔法に比べて威力がやや落ちる。変わりに攻撃範囲が伸びる。
そのことに気付いたとき、魔法にはそれぞれに特性があることを知った。
多分だけどステージの真ん中でヘビーカスタムして使えば端まで届く。これでまずは全プレイヤーのウォールをなくす。更にダメージと共に大風で皆が動けなくなった今がチャンス。
「『ヘビーカスタム・ファイヤーストーム!』」
これで残り魔力は1割。だが、大半のプレイヤーは脱落した。
「『勝者を潤す雫!』」
私が使える、魔力を使わない魔法。杖のスキル。
効果は『倒した敵から魔力を奪い魔力を回復する』こと。普通のモンスターからは大した量は取れないがこれだけの人数のプレイヤーならばどうか。結果として私は5割近くまで魔力を回復。残りのプレイヤーは・・・・
「『ヘビーカスタム・ウインドストーム!』」
これで一掃された。
ルリ同様、シンも本戦への切符を手に入れた。