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決闘大会の準備 5
がきん!
逆手に持った右手の双剣とグレンの剣が甲高い音を立ててぶつかった。
互いに片手剣だが、剣自体の重量で勝るグレンの剣をなんとか止めている形だ。
ギリギリと弓の弦を引き絞るような音が耳の奥で聴こえる。
これはVRでの切迫感を出すためのエフェクトなのか、単なる幻聴なのかは判らない。
「なんだよ、やるじゃないかショウ」
「伊達に他のプレイヤーとも戦ってないさ。それに、このゲームにはポイントの優劣はあれどレベルの優劣がない。だから」
「プレイヤーの機転や個人的なスキル、戦略によって勝負が決する」
「それなら俺が勝っても不思議は無いよな!」
左手の短剣も繰り出す。
グレンは双剣を弾いて距離をとった。
「『ファイヤーアロー』」
「『ウォーターアロー』」
円形に動きながら魔法を撃ち合う。何度も繰り返されるそれらはたまにぶつかり相殺される。
動き回っているからルリは矢が射てないし、シンも魔法を撃つことができない。
俺たちに向かっては。
「『ウィンドバインド』」
「それ!」
拮抗する戦闘。