鈍色の戦士
「まさか…貴様らああああああああ!!!」
激昂し、怒りの声を上げるアーサー。
それをも上回る激情を表すかのように燃え盛るニーナの皇炎が彼を直撃した。
刹那に轟く爆音はレックス達にとって勝利の雄叫びの如く響いた。
レックスはそれを見届けると、震えていたソフィールの元へと駆け寄った。
エレンに支えられていたソフィールは、レックスが駆け寄るとその胸に勢いよく飛び込んだ。
「こらこら…大丈夫か?」
「怖かった…怖かったよ…レックス!」
よほどアーサーが恐ろしかったのだろうかレックスから離れようとしないソフィール。
レックスは口では文句を言いながらも彼女を優しく抱きとめていた。
カイル達もそれを微笑ましく見守っている。フランツとニーナだけは複雑な表情だったが…。
「!ラッセル隊長…!」
カイルは傷つき、意識を失っていた上官のことを思い出し、先程まで彼が居た場所に振り向いた。
ラッセルは先程と同様に地に伏したままだった。
とっさに駆け出すカイルとフランツ。カイルがラッセルを抱き起し、フランツが脈を採る。
「…大丈夫だ。外傷は酷いがすぐに治療を施せば問題無いだろう」
「良かった…すぐに……!?」
カイルはその続きを発することが出来なかった。
何故なら…爆煙の中から伸びてきた刀身が彼の腹部を刺し貫いていたからだ。
「カイル!?」
「!?」
「な!?」
「?……カイルさん!!?」
フランツの叫びに続き、事態を把握したレックス達が声を上げる。
その叫びを切り払うかのようにその剣の主が姿を現す。
「バカな!?」
レックスだけでなく、全員が思っただろう。
ニーナの誇る炎系の上級魔術…皇炎の直撃を確かに受けた筈のアーサーが…ほぼ無傷で立っていたのだから。
「雑魚が…調子に乗るのも大概にしろと言っただろう」
その目は外傷が無いにも拘らず怒りに染まっていた。
まるで彼の誇りを傷つけられたかのように…
「貴様…よくも!!」
即座にフランツが斬りかかる。
だがアーサーはほとんど間合いの無い状態からでさえ、その一閃を回避した。
同時に剣を捻り、カイルの腹部に大きな傷を残していく。
「ガァ……ッ!!?」
カイルは断末魔に近い声と共に大量の血を吐き、そのまま倒れ伏した。
「嫌ぁああああああああああああああああああああ!!!!?」
アイリスは絶叫し、危険も顧みずカイルへと駆け寄る。
「止めてアイリス!」
「放して!カイルさんが…カイルさんがッ!!」
エレンがアイリスを抱き留めると彼女は半狂乱で叫びながら暴れた。
彼女がどれほどカイルを特別視しているかが垣間見えた。
「許さない…お前だけは絶対に!!!」
フランツの叫びに応じて、周囲の天候が急変する。どす黒い雷雲がいくつも浮かび上がり、一つだけでなく大量の落雷をフランツに落とす。
その全てを吸収し、エネルギーに換えるフランツ。
「許さない!!!」
全身を金色に輝かせながらアーサーに突っ込むフランツ。
今までは吸収できた落雷は一つだけ。しかも発動すれば意識を失っていた『雷帝』だったが…今は大量の雷をその身に受け、しかも意識を保ったままだ。
レックスと関わり、さらなる激戦へと身を投じ、レオンとの死闘を果たしたことでフランツ自身の実力は飛躍的に上がっていた。
「ざあああああああああああああ!!!」
雷を纏った細剣による連続突き…だがその剣先は確認出来るだけで有に二十は超えている。
余りの速度に一本の細剣が分裂して見えるのだ。
一発でも当たれば確実に致命傷を与える必殺のラッシュ。だが…
「ほう…報告とはだいぶ違うな」
アーサーはそれを…軽く見切っていた。しかも剣を鞘に戻している…!
当たるはず無いと…確信している!?
「な…!?」
余りの光景に間の抜けた声を上げるエレン。
自分などには到底届かないフランツの壮絶な剣捌き。そしてそれを余裕で回避し続けるアーサー。
どちらも戦の常識を超越している…有り得ない!
「くそ…!」
レックスは戦況を分析する。
近くで錯乱しているアイリスに向かって強い口調で叫んだ。
「バカ野郎!本当にカイルを助けたいなら奴を倒すことだけを今は考えろ!!!」
その叱責で震えた後…アイリスは若干平常心を取り戻したように答える。
「…はい…!」
そして…レックスは自分にしがみ付いて離れようとしないソフィールとエレンに言った。
「このままでは危険だ!エレン!ソフィールを連れてジガードの私室へ走れ!!!」
「!?…嫌!!」
ソフィールは必死にレックスに抱きつく。
今離してしまったら…この温もりに二度と触れられないような気がして…
泣きしゃぐるソフィールを、今まで以上に力強く抱きしめるレックス。
驚きに目を見張るソフィールと…その様子を見てしまったニーナ。
レックスはソフィールの耳元に口を近づけ、諭すように…誓うように言った。
「必ず…必ず生きて帰るから…お前も無事でいてくれ。いいな?」
「レックス……」
ソフィールは軽く顔を伏せると…少しだけ表情を和らげて言った。
「約束して…絶対に戻ってくるって」
「…当たり前だ。行け!!」
ソフィールはレックスの腕の中から離れると、ロウエンの背中に素早く乗った。
逆に何が起きているのか見えてなかったエレンの方が置いてかれている。
「エレンお願い!」
「はっはい!!?」
エレンがロウエンに指示を飛ばし、駆け出したのを見送ってからレックスはアーサーとフランツの元へと走り出した。
「行くぞニーナ!アイリス!援護を頼む!!」
「はっはい!」
レックスは走りながら顔だけをニーナ達にに向けて叫んだ。
だがニーナは…それに応えることが出来なかった。
先程の光景がニーナの頭の中で再生される。
ホンの一瞬の行為…ただ強く抱きしめただけの筈の行為。
だが…傍から見ても分かった。
レックスは……ソフィールのことが……
その頃フランツには変化が起きていた。
徐々にではあるが…全身を覆う雷が薄くなっていってる。
やはりどれほど多くの雷を吸収しようがあれだけ激しい攻撃を繰り返していては消耗が激しすぎる。
それを見取ったアーサーは反撃を開始していた。
フランツ以上の速度と威力の剣戟の嵐…徐々にフランツの装備が斬り飛ばされ、血が滲んでいく。
「くそ……!!」
「ふん…やはりまだその程度か?くだらないな…雷帝が聞いて呆れる」
フランツも必死に反撃してはいるが…やはり劣勢は拭えない。そこへレックスが突っ込む。
「どけぇフランツ!」
強く地を蹴り、高く跳び上がった後に大上段に構えた大剣を振り下ろす。
フランツはとっさに入れ替わるように後方に跳ぶ。よってその直線状にはアーサーのみが残る。
「…面白い!」
アーサーは剣を一度鞘に戻し、そしてレックスの斬撃にあわせて思い切り振りぬいた、
「はああっ!!!」
「ざああああぁああああ!!!!」
双方の剣は凄まじい火花を撒き散らしながら正面からぶつかり合った。
剣劇の威力は双方互角。だが剣の重量と重力を味方につけたレックスの方が破壊力は勝った。
バキン…!
アーサーの剣は微塵に砕け、彼は即座に剣を捨てて後方へと距離を取った。
そこへ…
「『雷帝』を舐めるなああ!!!」
既に雷を充填し、細剣を抜き放って待ち受けていたフランツが斬りかかった。
「何…!?」
アーサーはとっさに体制を捻り、直撃だけは回避したが刀身は彼の右足を確かに斬りつけていた。
その傷口から鮮血が飛び出る。
初めてアーサーに一刀を加えたのだ。
「凄い!?」
「レックス……」
アイリスとニーナも感嘆の声を上げる。
一撃を加えることが出来たならば、いずれもう一撃加えることも可能だ。
レックスとフランツもまた確信していた。
体内を自分達と同じ血が通っている…やはりこの男は人間。
今まで会ってきた聖騎士は皆、その中に存在する『神』の存在を感じられた。
だがこの男からは奴自身以外の存在は感じ取れない!相手が『神』との契約者で無いのなら殺せる!!!
勢いに乗って肉薄するレックスとフランツ。
その時…
「う…うぅ…!」
ラッセルが目を覚ました。
それに気付いたニーナとアイリスが駆け寄り、声をかける。
「隊長!良かった…意識が…」
「奴は…アーサーは何処に?」
ラッセルはぼやける目を必死に見開き、状況を把握しようと努める。
それに諭すようにアイリスが応える。
「大丈夫です!レックスさんとフランツさんなら勝てますよ。現にほら!」
ラッセルはアイリスの指さす方を必死に見つめる。
自分の傷口を見て無言で突っ立っているアーサーと…それに肉薄するレックスとフランツ……!?
「!?」
ラッセルは気付いた。アーサーは無言で突っ立っていたのではない。
彼の左手は右足の傷口を抑えているかと見せかけ、自身の右腰に添えるかのように構えられている。
まるで右腰に挿された見えない剣を握り込むかのように…?
(あの姿勢は…!)
刹那、アーサーが動くのが見えた。
まるで何かを滑らせるかのような滑らかな動き。何かが空気を切り裂いてレックス達に襲いかかろうとしている!
ラッセルは即座に動いた。
苦痛に震える腕に喝を入れ、認識した空間に向かって自身の力を飛ばした。
間に合ってくれと…祈りながら。
『絶対重圧!!』
その一撃は狙い違わず…レックスとフランツを地面に叩きつけた。
「ぐぁあああ!?」
「がっはぁ!?」
いくら加減されているとはいえ、ラッセルの十八番である重圧攻撃。
二人は苦痛に呻き、よろよろと立ちあがった。
「何しやがる!?幾らアンタだからって……!?」
「狙うなら僕らでは無く、あの……!?」
せっかくの好機を潰されて文句を言おうとしたレックスとフランツ。
だが、二人は自身の途方も無い勘違いをすぐに気付くことになった。
あのまま突っ込んでいたら死んでいたのは自分達の方だったと。
レックス達のすぐ手前、そこには寸前まで周囲の地表同様の平地だった。
だが今、その空間は大地震でも起きたかのような亀裂を穿たれ、無残な傷跡をさらけ出していた。
「これは…一体?」
フランツの茫然とした声。だがレックスにはそれに耳を傾ける余力は無かった。
何故なら…剣を失ったはずのアーサーの左手に新たな剣が握られていたからだ。
先程の剣とは違って、ほとんど装飾の施されていない実直な剣…たが、見ているだけで自分が斬られる姿が浮かぶほどにどこまでも研ぎ澄まされた剣だった。
アーサーはレックスの表情を見ると喩悦に口元を歪めた。
それはまさに、王が下々の存在を見下すかのような目だった。
「まだ生きているとは悪運の強い…いや、却って運が悪かったな。
自らの勝利を夢に見ながら逝くことなど最早叶わないのだから」
再び剣を構えるアーサー。レックスとフランツの間に今まで以上の戦慄が奔る。
自らの前に立ちはだかる二人の愚者に向かって…『王』は言葉を紡いだ。
「『絶望』を教えてやる…この『選定の剣』で」
その言葉を待たずに二人は突っ込んだ。
迎え撃つアーサーの一閃を左右に別れて跳び、回避する。
だが、その余りの威力によって周囲の木々が粉砕され、大地が裂ける。
それは百の言葉をもって語るよりも流暢に、レックス達の劣勢を語った。
「引けレックス!フランツ!!今のお前たちでは無理だ!!!」
ラッセルに言われるまでも無く、二人には解かっていた。
自分達が正面から向かったところでこの男の髪の毛一筋傷つけることは叶わないと…ならば!
レックスは両足に風を纏い、フランツは自らに落雷を落とす。
高速移動術『飛脚』と肉体強化術の『雷帝』…二人は全速力でアーサーの周囲を駆け回った。
目暗ましなどこの男には用を為さない。これはあくまでタイミングを見計らっているだけだ。
自分達にとっての勝機。
敵にとっての死角。
この状況で勝負は飛び込んだ瞬間に決まる。
「面白い…」
アーサーは身構えるのをやめ、何時でも来いと言わんばかりに肩の力を抜いている。
あからさまな挑発。本来ならばそんなものにかかるレックスとフランツでは無かった。
だが、今は違った。
仲間であるラッセルとカイルに重傷を負わせ、ソフィールを脅かし、組織の人間を大勢死なせた元凶がアーサーだ。
更には一人の剣士として、彼の行動は侮蔑以外の何物でもない…!
「(絶対に…こいつだけは…!)」
フランツは突如方向を変え、アーサーに向かって全速力で突っ込んだ。
全身に纏った雷の全ての力を細剣に込めた最大の威力を誇る刺突。
「(許さない!!!)」
レックスもまた動いた。
フランツとは真逆の方向から一瞬で間合いを詰める。
その刀身には先ほどとは比べものにならない程に強大な風が渦を巻いている。
全身のバネを最大限に利用したうえでの回転斬りの嵐。
『雷蹄!!!』
『蒼爪!!!』
剣二人による全身全霊の一撃。
それが同時に、左右から、只一人の相手に向かって牙を剥いた。
この苛烈な攻撃を見ながらもアーサーは仁王立ちするだけだった。
肉が断ち切られ、大量の血液が噴き出る音が…静かに聞こえた。
タイミング、速度、破壊力。全てにおいて文句の付けようの無い完璧な攻撃だった。
だからこそ…ニーナとアイリスには目の前の光景が理解できなかった。
レックスとフランツが倒れ伏し、黙するこの現実が。
「え…?」
ニーナの間の抜けた声が戦場に静かに響く。
他に声を発するものは居ない。
カイルに続き、レックスとフランツまでもがアーサーの剣によって倒れた。
アイリスの視線は焦点を失い、ラッセルは苦悶に顔を歪める。
事の元凶は先程と同様にこちらを卑下するかのような笑みを浮かべたまま。
最初にフランツが付けた傷さえ、もう消えている。
「何で…何であいつは…!?」
ニーナの疑問に沈痛な面持ちのラッセルが応えた。
自分達の置かれている状況を諭すかのように…重く、暗い表情で。
「聖騎士に所属する人間達は皆、神と契約し、人知を超えた力を手に入れる。
俺もかつては自らの存在の内に神を受け入れ、聖騎士の一角として闘っていた。
その頃、丁度アーサーも俺とシリウス同様、聖騎士の一員だった。
しかし奴は神と契約などしていなかった…何故か解かるか?」
「何故…そんなこと…」
「簡単なことだ。アーサーは契約などしなくても神の力を手に入れていたんだよ。
何故なら…奴自身が…他ならぬ奴自身が…神だったからだ」
「な!?」
ラッセルの口から出た言葉はとてもニーナには信じられなかった。
彼女は親しい『ある人物』から神についてのある程度の知識を得ていた。
だからこそ理解できなかった。
神とは…聖戦の以前よりこの世界に存在し、あらゆる法則、現象の一端を担う強大な存在だと聞いていた。
そして何より、神は肉体を持たない。
人間と契約するのもその力を行使するために使用できる肉体を必要とするため。
契約者を持たない神は何らかの形で、この世界のどこかで眠りに就き、自らの力が求められる時を待つ。
その神が…何故肉体を持ち、この世界で自由に行動できるというのだろうか?
「聞き覚えは無いか?奴の名前に」
ラッセルの声に振り返るニーナ。
覚えが無いかと聞かれても…当時の聖騎士の一角の詳細な情報などある訳が…
「?」
ふと、一つの名前が思い浮かんだ。
確か聖戦以前の大陸の歴史に関する資料だったはずだ。
大小いくつもの都市国家が鬩ぎ合う中で飛びぬけて強い力を持つ国家が二つあった。
一つは『魔道大国』と謳われる巨大国家『アトランティス』。
もう一つが騎士と戦士達によって作られた『軍事大国』と名高き『ウォールズ』。
その内の後者、軍事大国ウォールズの歴代の王の中で最も秀でているとされた人物。
それは若年にして玉座を手に入れたとされる青年だった。
彼は軍事大国の王の名に相応しい程、剣において天武の才を持ち、戦場でも先陣を切って戦った勇猛さで知られている。
彼の銀髪と金色の瞳は敵対する者に畏怖を与え、彼の振るう剣は立ちふさがる全てに死を与えたという。
その王の名は…『アーサー』…。
「まさか!?」
ニーナの動揺する様子から真実に至ったと判断してラッセルは言った。
「そうだ。奴こそが聖戦を生き延びた数少ない当時の生き残り。
聖戦においてジガードと共に戦い、その戦果によって神に選ばれ、その存在を昇華させた者。
またの名を…『転生者』アーサー!それが奴だ!」
ニーナの全身を戦慄が奔った。
まさか自分達がそんな相手と闘っていたなどとは露ほども予想だにしなかった。
聖戦によって大半を失った資料の中でさえその名を轟かせていた『王』。
人の身に生まれながらもその壁を突き破った類稀なる猛者。
全身が震え、派が噛み合う音が虚しく響き、恐怖が全身を浸食する。
勝てない…勝てる筈が無い…!
パチパチパチ
見るとアーサーがこちらに向かって軽く手を叩いている。
「御名答。中々博識ではないかお嬢さん。
だが遅かったね…もう少し早く気付けていれば生き長らえたやも知れないのに…」
アーサーの目がカッと開く。
それだけでニーナはピクリとも動けなくなった。
「貴様らは私を怒らせた…その報いは死を以て償う他無いのだよ!」
「あ…ああ…」
アーサーは左手の剣を握りしめると瞬時にニーナの眼前に現れた。
まさに神速。目にも映らない速度。
「死ね!!!」
空気を切り裂いてニーナの首に襲い掛かる剛剣。
ニーナは何も出来ずに空を眺め…
ガキィィン!!!
「!」
ニーナの首に今まさに食らいつこうとしていた剣に鈍色の刃が火花を散らして立ちはだかっていた。
「ほう…その傷でまだ動けたのか…ラッセル」
苦悶の表情を浮かべつつも、一切の迷いが無い瞳でアーサーを睨むラッセル。
全身の傷はまだ治療途中だった…塞がり切っていない傷口から血が滴り落ちる。
だが…
「もう…これ以上、貴様に何もかも奪われて堪るか!アーサー!!!!」
まるで命の全てを燃やしつくすかのような勢いで怨敵に牙を剥くラッセル。
一体彼とアーサーの間に何があったというのだろうか?
「いいだろう…今頃巫女はジガードとそのお気に入りに保護されているだろう。
当初の目的が達成できない今、せいぜい足掻いて私を楽しませてくれ!ラッセル!!」
「アーサァアアアア!!!!」
凄まじい形相でアーサーに突っ込み、斧槍を奮うラッセル。
片端から回避されているにも拘らず、寧ろその勢いは増していく。
ニーナは彼らの戦いに次第に目を奪われていった。
その横で…我を忘れて茫然としていたアイリスの元へ這いずって着た一人の男の姿があった。
彼は必死にアイリスに呼び掛ける。
「……アイリス…応えてくれ…アイリス…!」
その声に我を取り戻し、振り返るアイリス。
声の主の顔を見て目尻に涙を浮かべるが、続く彼の声によって現状を把握する。
「頼む…出来る限りでいい。俺の傷を治してくれ…このままじゃ皆助からない!」
「でも…ラッセル隊長に任せるしか…」
「早くしろ!冷静さを欠いて勝てる相手に見えるのか!?このままじゃ隊長もレックスもフランツも!皆殺される!!!」
「でも…でも…!」
アイリスは涙を流しながら彼を止めようとした。
確かに彼の力なら…もしかすればあの男を止められるやもしれない。
だが只でさえ全身に多大な苦痛を伴うあの術を今の彼が使ったら…恐らくは…
「もうこれしか…方法が無いんだ!」
カイル自身、涙を浮かべながらアイリスに頼んだ。
その悲痛な表情を見た時…アイリスは自分が彼に想いの旨を伝えたあの日を思い出していた。
「え?…今なんて…?」
月夜の晩、人気の無くなる静かな時間を待ってカイルを呼び出し、アイリスは胸の内に秘めていた想いを打ち明けた。
カイルは予想だにしなかった言葉に赤面し、その挙動はとても落ち着きが無い。
「貴方が…好き…なんです。カイルさん」
アイリスの顔もカイル以上に真っ赤に染まっていたが、こちらは比較的落ち着いた態度を保っている。
レックスが組織に来る以前から、アイリスはカイルに密かな好意を抱いていた。
始まりはニーナ達と一緒に、暇つぶしに闘技場に出かけた時だった。
その時、偶然にも模擬戦を行う二人の隊員が居た。
丁度良いということでアイリス達三人はその戦いをひっそりと観戦することにした。
闘っていたのは…戦斧最強と謳われていたフランツと見慣れない隊員だった。
恐らく短剣隊員なのだろう…勝負は傍から見ても明らかのように思えた。
だがその青年は格上の階級を持つフランツに真っ向から立ち向かって行った。
何度自らの武器を焼き溶かされようと…何度、細剣に斬りつけられようと…決して怯まなかった。
その姿は当時のニーナとエレンにはとても無様に見えた。
勝てる訳無い勝負に必死になるなんて無駄だと…短剣は短剣らしく上の命令に静かに従って余計なことはしなければいいのだと。
だが、アイリスには彼の闘いがとても輝いて見えた。
彼女は魔術の腕を買われて戦斧になった。戦闘力だけで言えば短剣とほとんど変わらない。
そんな自分に負い目を感じていた。
自分は強くなれない…せいぜい足を引っ張らないようにするので精一杯だと。
なのに彼はどうだろうか。
自分よりも遥かに上の実力者相手に正面から挑む姿。
体が何度地べたに叩きつけられようと、心では少しも劣っていないその姿勢。
その後、ニーナとエレンはつまらないと言ってさっさと帰って行ったが、アイリスだけはその模擬戦をずっと見ていた。
結果はやはりフランツの圧勝。挑戦者の攻撃はほとんど当たっていなかった。
だが彼は背を向けて行くフランツに向かって猛々しく吠えた。
「いつか…絶対いつか!俺はお前に勝ってみせるぜフランツ!!!」
「…まずは明日の任務で生き残ることだけを考えろ。帰ってきたらまた相手になってやるよ…カイル」
そう言い残して闘技場を去るフランツ。
アイリスは見つからない様に近くの椅子の影に隠れ、そして…
(あの人…カイルさんって言うんだ…)
何度も何度も憧れの人の名前を繰り返し呟いていた。
その憧れの彼と初めて面と向かって立ったのはニーナがレックスに喧嘩を売って成り行きで模擬戦を行った日だった。
レックスが三対一の劣勢に陥った時に駆けつけたのは…アイリスが何度も話しかける方法を考えていたあのカイルだった。
しかもその直後にその相手が自分に向かって急接近してきたのだからそりゃもう頭が混乱して反撃どころではなかった。
更にはニーナの攻撃を受けて気絶した彼に肩を貸すなんて機会にも遭遇してしまって始終顔は真っ赤だっただろう。
それからレックスとニーナが親しくなり、次第に行動を共にするようになり、自然と自分もカイルと一緒に居るようになった。
彼を知れば知るほどに…胸が熱くなるのを感じた。
そしてフランツの故郷の街での闘いを経て、二人の絆は更に強くなった。
だからこそ…自分はカイルに自分の想いを伝えた。
今までは怖くてそんなこと出来なかった。
でもカイルを見てきて分かった一番大切なこと。
自分から行動しなければ届く手も届かないのだと…教わったからこそ、伝えることが出来た。
「えっと…あの…ほら…その…」
それを教えてくれた恩人のカイルだが…いきなりの告白に目は泳ぎ、汗も滴り、動転のあまり指がぐるぐる回っている。
戦闘では滅多に動じない彼でもこんな風になることがあるのかと思うと、今まで知らなかったカイルが知れて嬉しいとさえ思った。
「返事…聞かせてくれますか?」
震える手を手で包み込み、目線は決して逸らさない様に強く見つめる。
その姿を見てどれ程の想いで自分に告白してくれたのかを悟ったカイルは…アイリスの両手を自分の手で包み込んで、その視線を真っ向から受け止めて答えた。
「俺も…同じ気持ちだ。凄く嬉しいよ…アイリス」
とても心地よい声。
とても大きくて温かい手。
アイリスはカイルの胸に飛び込んだ。
カイルはそっとそれを受け止めていた。
幸せな記憶。
共に歩むと誓い合ったあの日。
もしここでカイルを失ってしまったら自分は…!
アイリスの頬を伝う涙を…カイルはそっと指で拭った。
そして…カイルは自分の導きだした答えを…アイリスに伝えた。
「俺はずっと自分が嫌いだった。
何時までたっても次に進めない自分が、平然と俺を置き去りにしていく連中が大嫌いだった。
何時も周りに嫉妬して、それに気付かれない様にわざと明るく振る舞う自分が死ぬほど嫌いだった。
でも君が…俺を好きだと言ってくれた。
俺の強がりを…本物にしてくれたんだ。
だから俺は強くなれた…だから俺は仲間を好きになれた。
お願いだ。俺に闘わせてくれ…!
ここで仲間を見殺しにしたら…もう俺は誰も愛せない!
俺に…俺を…裏切らせないでくれ…!頼む…!!」
カイル自身、心が裂けんばかりの想いで絞り出した言葉だった。
自分が誰よりも守りたいと思うのはアイリスだ。
ここで仲間を見殺しにしてアイリスを連れて逃げても誰もカイルを咎めたりしないだろう…他ならぬ自分自身を除いて!
それでは駄目だ。
そんなことをすれば…もう二度と自分に向き合うことなど出来ない!自分を好きになることなんて出来ない!
そんな男に…誰かを愛することなど出来る訳が無い。
最愛の女性を見る度に思い出すことになるだろう…仲間を見捨てて逃げた醜い自分自身を!!!
そんな自分になんてなりたくない!
彼女が好きだと言ってくれた自分は!そんなことをする男では無い筈だ!!!
だから…!
震えるカイルの手を今度はアイリスが握った。
小さくとも温かい手…なんと心地よいのだろうか。
見ると、彼女は涙を堪えながら必死に笑顔で自分を見つめてくれていた。
「逃げてなんて…言いません。だから…」
アイリスは丹念に回復術を唱え、カイルに治療を施した。
最後にそっと願うように言葉を紡いだ。
「帰ってきて…下さいね…」
カイルはその時心の底から思った。
こんな素敵な女性に愛された幸福を…そして彼女のために、仲間のために命を張ることの出来る誇らしさを…
「はああああああああああああ!!」
弩倒の叫びと共に繰り出される斬撃の嵐。
ラッセルの全身から漲る圧倒的な力。
ラッセルの能力『重力操作』は本来、一度に一箇所しか重力を操作させられない。
それは自身の肉体を守るためだ。
強大な能力を制御するためにはそれ相応の精神力が必要。
だからこそラッセルは普段、自分の力を極力使わず、最小限の力で闘っていた。
だが、今は違う。
感情の余り反動を無視し、まるで自放自棄になるように力を奮っている。
既に今、ラッセルは三か所同時に重力を操作している。
自身の体にかかる自重を軽減し、自らの獲物に重圧を加え、更にはアーサーの周囲にも重圧を加えると言う荒技。
体が悲鳴を上げるのも無視して、ひたすらアーサーに突っ込んでいく。
「やめて…隊長!止めてください!!このままじゃ」
「アーサァァアアア!!!!!」
自我を取り戻したニーナの懸命の叫びすらラッセルの耳には届かない。
憎しみが…今のラッセルを支配している。
「全く…足掻くことと遠吠えを履き違えていないか?下らん…!」
アーサーは不愉快そうに眉を潜め、ラッセルの斧槍を掻い潜り、擦れ違いさまその右腕を軽く叩いた。
ボキンッ…!!!
「ガああああああああああ!!?」
ただそれだけで限界に達していたラッセルの右腕の骨は折れた。
その様子を見てニーナは顔を青ざめ、アーサーは喩悦に顔を歪めた。
ラッセルは白眼を剥いて地面に落下する…と見えたが
「アーサァアアアアアアアア!!!!!!」
「な!?」
何とラッセルは…折れた腕をそのまま振り回し、握られたままの斧槍で斬りかかった。
その気迫にアーサーすら気後れし、頬に裂傷が出来る。
「この…痴れ者があああああ!!!」
アーサーは怒り心頭といった表情でラッセルに斬りかかった。
とっさに本能で斧槍を掲げるラッセルだが…アーサーの剣はその防御ごとラッセルを吹き飛ばした。
すぐ後ろに会った倉庫の壁に体を埋め込まれ、気絶するラッセル。
アーサーは尚も怒りが収まらず、その壁ごとラッセルを消そうと剣を振りかぶった。
「もういい…目障りだ雑魚共が!塵も残さず消え失せろ!!」
アーサーの剣に圧倒的な量の魔力が注ぎ込まれ、一閃と共に解き放たれる。
『選定之左剣!!!』
先程ニーナの皇炎を掻き消したあの衝撃波。だが今度はそれだけでは済みそうにない。
その直線状にはラッセルだけでなく、ニーナ、アイリス、そして倒れて意識を失ったままのレックスとフランツが…?
「カイルは…?」
ニーナがその異変に気付くと同時に、アーサーの放った衝撃波の前に何か巨大な影が立ちはだかった。
それは両手を振りかぶると強大な衝撃波に真正面から殴りかかった。
凄まじい轟音と爆風が辺りを包む。
「きゃあ!?」
「…う!」
ニーナとアイリスが伏せ、辺りが静かになったと思い周囲を見渡すとそこには…
「馬鹿な…この一撃を防いだだと…!?」
驚愕に目を見張るアーサーと、自分達を守るように立ちはだかる鈍色の巨人が見えた。
見るからに強固な甲冑を全身に纏った身の丈弐メートルほどの巨躯。頭部全体を覆う四角い兜の前面には十字の掘り込みがあり、そこから前が見えるようになっている。
その存在が声を発するまでニーナにはそれが誰か解からなかった。
「貴様…何者だ…?」
アーサーの声に応えたのは…ニーナにも聞き覚えのある声だった。
「人の腹後ろから刺しといて誰だとは…思いの外無礼者だったんだなアンタ。
それともアンタの時代はそれが礼儀だったか?どっちにしろ許さねえけどな…」
「カイル!?」
「貴様…あの戦斧隊員?だがその姿は…」
アーサーはふと思い出すように首を傾げると、次の瞬間には笑いだした。
「そうか…貴様は確か地中の鉱石を自在に精製して操ることが出来る能力を持っていたな。
その大仰な姿は全身を鉄の甲冑で覆ったからか?下らん…!」
アーサーは自らの剣を振りかざし、魔力を込める。
刹那、その刀身から燃え盛る紅蓮の炎が生まれる。
「どんな形を取ろうが鉱石に過ぎない!
五行の相関から逃れることは出来ない!焼け爛れて己が愚かさを後悔しろ!!!」
そういってアーサーは燃え盛る剣でカイルに斬りかかった。
目にも映らない速度で襲い掛かるアーサー、避ける術は無い!
「カイル!!」
ニーナは自身の能力でカイルの防壁を焼き溶かしたことがある。
今の状況はまさに自分がカイルにしたのと同じことだ…今度は命が無い!!
アーサーの斬撃がカイルの左足に向けて振り下ろされる。
だが…
ガキィン!!!
「なん…だと…?」
「え?」
燃え盛る炎を纏った斬撃は…カイルの鎧の表面に傷一つ付けられなかった。
呆然とするアーサーを見下ろしながらカイルは言った。
「じゃれ付くな…気色悪いんだよ!!!」
カイルの鎧の前面から、突如として鋭い針がアーサー目掛けて何本も伸びる。
何の前触れも無く、カイルは身動きも取っていないのに…だ。
「な!?」
アーサーは瞬時に後方に跳ぶが、何の動きも見せずに攻撃に転じられたことに動揺したため動きが遅れ、腕と足にいくつかの傷を負う。
更に今度はカイルが動いた。圧倒的重量による突進、にも拘らずその速度は尋常では無く速い。
そのギャップにニーナは目を見張っている。
「どうゆうこと…あれは確かにカイルでしょ!?一体どうやってあんなことを…」
「五行の相関図において…」
ニーナが振り返るとアイリスがカイルを見守りながら言葉をつづけている。
「『金』の弱点は『炎』。『炎』を制するは『水』。
ならば『水』をその内に取り込めば『金』の弱点は無くなるかのように思える。
けど『水』は『金』を腐食させてしまう。そのままでは二つが一つになることは無い。
だけどその二つの間に『土』を取り込めばどうなるか?
『土』は『水』を吸い、『土』より『金』は生まれる。これにより五行において弱点の存在しない、最強の鎧が出来る」
「アイリス?それって…」
「カイルさんがフランツさんに勝つために探しだした方法の答え。
自分の能力を最大限に活かしつつも、弱点を改善させる最良の方法よ。
あの鎧は周囲の鉱石類だけでなく、地面から地下水とそれをたっぷりと吸った土を吸引し、織り交ぜて作られている。
これで炎で焼き溶かされることも無い。
破損しても周囲からすぐに素材を掻き集めて鎧を修復する。
さらに全身を覆う鎧には常に魔力が張り巡らされているから、本人が動かなくても鎧の一部を変質させて敵を襲うことが出来る。
それが『百腕巨人』。カイルさんの力の最終形態」
ニーナがカイル達の闘いを見てみると、あのアーサーを相手にカイルが優勢を誇っていた。
アーサーの攻撃はほとんどがその強固な鎧に阻まれ、仮に傷を負わせたとしてもすぐに修復される。
さらにはカイルの攻撃が予想できないのだ。
接近戦に長けている戦士は、一見しただけで相手の骨格を見抜き、どの姿勢でどの方向から攻撃が来るかを予想できる。
だが今のカイルにその常識は通用しない。
振りかぶった腕を掻い潜った瞬間、脇腹を覆う甲冑から鉄槍が何本も襲い掛かってくる。
突進を避けた瞬間、背中の甲冑が変質し、鉄の飛礫が無数に放たれる。
変幻自在。骨格にも体勢にも制限されない縦横無尽の攻撃。
まさに百の腕を持つ巨人の如き力。
「これが…カイルの実力…!?
これじゃまるで剣よりも強いじゃない!?」
「維持できる限界時間は五分間。肉体と精神にかかる負担も絶大。
だけどカイルさんはこう言っていたわ。『その間なら神にも勝てる』と」
次第にアーサーの体に傷が蓄積されていく。
今度は演技などでは無い。アーサーは追い詰められている。
「まさか…たかが戦斧の小物風情に…!」
「常に万人を踏みしだき、高みから見下ろしていた貴様には解かりはしない!
無様に地を這い蹲ることでしか!見えない地平も有ると知れ!!!」
カイルが右腕を振り上げるとその拳の周りに巨大な鉄塊が形成される。
それは唸りを上げて回転し始め、周囲の空気をも振るわせる。
それによって生じた風圧によって周囲の木々から木の葉が舞い、引き寄せられ、触れた瞬間砕け散って行く。
「終わりだ!アーサー!!!」
カイルは全てを砕く拳を振りかざしながら突進する。
もう『百腕巨人』を維持する時間も残り少ない。
この一撃で決着を付けるつもりだ!
『巨人撃!!!』
全てを砕く巨人の鉄槌。
それを前にしてアーサーは静かに…剣を右手に持ち替えた。
そして…
(ザンッ…!!!)
刹那の静寂の後、轟音を立てて何かが地面に落下した。
ニーナとアイリスがそっと、それを視界に入れる。
それは…
「え?」
「これは……!?」
無敵の鎧ごと斬り飛ばされた…カイルの右腕だった。
「ぐああああああああああ!!??」
カイルは切断された腕を抱えながら、必死にその場を踏みとどまった。
何が起きたのか本人すら把握できなかった。
『百腕巨人』はまだ発動されたままだ。
この鎧を…今まで防戦一方だったアーサーがどうやって……!?
カイルは気付いた。
今までずっとアーサーの『左手』に握られていた剣が…『右手』に持ち替えられていることに。
それ以外に眼前の敵に変化など無い!
だがただそれだけで…何故急に威力が跳ね上がった!?
利き手云々で覆せるような力では無い…!?
「意外だったよ…まさかこれほどまでだったとはね」
アーサーは静かに言葉を紡いだ。
卑下も侮蔑も無い。純粋にカイルを褒め称える口調だ。
アーサーは自分を追い詰めた強敵に向かって最後に言った。
「どうだ?その力…私のために捧げる気は無いか?
君ならば今すぐ『三鬼将』の一角に据えても構わないのだが…」
カイルは苦悶に表情を歪めながらも…迷わず言った。
「誰が貴様に仕えるか…寝言は寝て言え下衆野郎」
それを受け、アーサーは静かに応えた。
「そうか…なら死ね」
振りかざされる『王の剣』。先ほどとは比べ物にならない強い輝き。
まるでこの輝きこそが本来の力だと言わんばかりだ。
「逃げて!カイルさん!!!」
アイリスの叫びが響く。
だがカイルは逃げることなど出来なかった。
何故なら…彼の後ろには…
「!」
最愛の女性と、掛け替えの無い仲間達が居たからだ。
「受けよ…我が極意!」
振りかざされる聖剣。
そこから放たれるは金色の破壊光。
『王之右剣!!!』
カイルは全ての鎧の構成因子を左腕に集め、巨大な盾を作り出した。
両者の力は正面から激突した。
凄まじい轟音と共に、カイルの盾にひびが生じ、端から砕け散る…。
その様を見て、カイルは喉から絞り出すように言った。
「糞ったれ…!」
その直後、全ては金色に呑まれた。
恐らく今年最後の更新です。
主要キャラの一人であるカイルの『答え』をテーマにして書いたつもりですが如何だったでしょうか?
感想等お待ちしております。
来年もこの作品をよろしくお願いします。