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魔皇の魔法とハツミリア ~名のない帝国の花々~  作者: 道草 遊者
魔界観光編

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90/415

第89階 魔獣達の王

私は新たにやって来た

セプテム・フトゥールムも

含めて追い詰めたけれども

ノゥエムの声と共に彼等は何処へと

消えてしまった

そして私はゼムさん達の元へと戻った


「相変わらずだな...小さな身体に

凄まじい力を秘めてやがる」

ゼムさんがパタパタと尻尾を振っている


「まごうことなきその力

拝見させて頂いた....

魔界の天皇たるによもや

充分過ぎると私は感じるぞ」

微笑むマサムネさんの隣で

アビシニアンさんも微笑んでいた


「私達亜人の代表は

ネロ王様にこの事を伝えるべく

共に魔獣の国に向かう事にしました

何せ魔王グリモワール様の右腕も

同行しているのですもの

誰も文句は言えないでしょう」

ネクさんって魔界で

かなり貴い存在なのね

幼な子に本を破かれる

紙の防御力だけれど

何せ武人のマサムネさんの実子だもの

規格外の幼な子ね、シンガちゃんは


「あら、ありがとう

それは嬉しいわ、だって

私は魔界の天皇の席に座ると

決めちゃったからさ」

魔界観光を終えたら私は国を起こす

その時にこの魔界も

国家の一部にしようと思う


「そうか、それは良かった!」

ゼムさんは尻尾を振る


私はニコッと微笑む


魔人王夫妻も微笑んでいた


「話が進んでいる様だな

着くぞ、我等が祖国は近い...」

テュポさんが甲板にやって来る


風を切り裂きながら

私達が乗る龍達之水晶は

魔獣達の国"ウオゴ"の上空を進んでいた


「「「わおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!!!」」」

凄まじいまでの雄叫びが上がる

大地之歪達だ


「ネロの野郎が見えた

三天伯も一緒だ、こっちに来る」

ゼムさんが私に耳打ちする


「グハハハハハハ、

天空犀(バハムート)伯よ、

どうだ?これが龍髭の遺産だ」

2本の角がキラリと光る

丈夫そうな巨躯を

天を覆う様な大きな翼で支えている


「これはこれは

大王象(テュポーン)卿!

それに麗しき魔人王夫妻に

我等が祖国の英雄

最悪夢(ゼムリャトリャセェーニエ)公

に...この人種の子供は....?」

私を見ている時

ゼムさんは威嚇していた


「ネロ大公に話がある

魔界の運命を決める重大な話だ

魔王グリモワールの右腕の

ネクロノミコンも船内にいる」

後で聞かされる話になるのだけれど

ネクさんは未曾有の危機に陥っていた



「うふふふふふ」

キラリと光る両目

その両目はグリーンに光る


「ぎやああああああああ!!!」

ネクさんは最強の幼な子を前に

怯えていた



「魔人達の国は活気を取り戻しつつある事を

報告致すけれども....」

バハムート伯は淡々と

マサムネさんに述べる


「私達は“皇帝蛇(ネロ)”大公に

感謝を示すと共に

魔界の未来を決定付ける

重大な話を進言したく同席している」


「よもや護衛も付けず、我が祖国に

踏み入ろうとするとは

魔人王は何か勘違い...........!?.....」

バハムート伯はこの状況を確かめる為に

明らかに探りを入れていた

けれどもゾクッと肝を握りつぶされた様に

冷え上がらされた


「.....俺が噛み砕く...

ネロ大公以外は相手にすらならんと

言う事を忘れては無いだろうな?」

ゼムさんの殺気に

周囲が静まり返っていた

魔界屈指の実力者と

ネクさんから聞いていたけど

ここまでとは


「天空犀殿、私達夫婦は

最悪夢様の温情の元

こうやって同席させて頂いてる

それにアオナ殿、護衛を

よろしくお願い出来ますかな?」

ゼムさんを最大限に尊ぶ事で

魔獣の誇りを傷付けない様に

配慮していた


「良いでしょう、

亜人達の国に帰るまでは

私が安全を約束しましょう」

私はニコッと微笑んだ


「申し訳ありません、

最悪夢様、直ちに準備致しますので」

バハムート伯は焦りを

明らかに隠していた


「...船は魔獣国の所有となった

今から確かめても良い

俺はこの3人を連れて国に降りる

良いな、俺の船だから汚すなよ?」

深々とバハムート伯は頭を下げた


「大王象卿!!!

魔物の国の右腕を連れて来てくれ!」

ゼムさんが軽く吠える


「承知した!!」


ゼムさんは魔法を展開した

「一気に行く!

魔法陣の中に入ってくれ!!!」

ヒュンッと私達は移動した


「........新しい侵入者かと

思ったらゼムか?

なんだ我が首を取りに来たのか?」

紅黒く項垂れている身体は激戦の傷を

未だ癒しきってはいなかった


「皇帝蛇(ネロ)大公、

この度は感謝致します」

マサムネさんは頭を下げた


「同列の魔王であるマサムネ様が

こうべを垂れる必要性は皆無だが

有り難く頂戴しておこう!

...なんとも言えないな

やはり現実であったか......」

私を見るなり深く考え込まれた

御様子だった


「ネロ!!!」


「なんだ?ゼム」


「魔界の天皇は降臨した!!!」

ゼムさんは軽く吠えた


「そうか、マサムネ夫妻も

その件でこの場におられるな?」

夫妻は一礼する


「.......あの黒鎧を追い払ったのは

エンシェントルーラエルフの少女か

名をなんと言う?」

細く鋭い目が私の強さを

確かめている様に凝視していた


「ミリカンテアの泉国の女王

アカナ・エカルラートの実妹

魔界の天皇に至る者

アオナ・エカルラート!!!」


「カッハッハッハッハ!!!

良いのか?出し抜かなくて?

我が牙はもう首元に迫っているぞ?」


「私に迫る?冗談がお上手で」

うふふふふふと私は笑う


「最早....魔界の脅威を

2つも取り除いている

ネロ、悪いがこの娘の首に

俺の牙は届かない...」

ゼムさんはゆっくり

丁寧に伝えていた


「ゼムよ見損なったぞ!

我が牙とお前の牙は

互いの首を斬り裂き合い

死力の限り殺し合った!!!!

そしてお前は魔獣を愛するが故に

我を王と全面的に認め懐柔し魔獣達の

剣を演じ続けたというのか!!!」


「違うぞ!!!ネロ!!!!

俺は魔獣達の王はお前だと

心底思っている

いや、お前は王たる器を持っている

俺と違ってな!

俺は戦闘馬鹿なんだよ

だけども魔界の天皇は

七大魔王の上に座する

お前は必要なのだ!!!

ネロ!!!!!!

それに俺は常に魔獣達の事を考えて

動いている

あいつらも馬鹿だから

可愛い店の店員ちゃんが

いなくなったら仕事に

手がつかない、分かるか?

俺はお前が玉座に座っている事を

心より願っている

だから俺は"国畜"なんだ」


「うるせぇ...ゼム

好きにしろ、お前を試しただけだ」


「分かっているぜ...お前も愛してんだ

魔獣達を、かっこよかったぜ

黒い甲冑の野郎に全力で向かって

行った時に俺はヨォ

真の魔界の王者だと思ったぜ

誇り高いぜ俺は......」


「..........クソ野郎が........」


2人は逆を向いていた

見られたくないものがあったからだ

マサムネさんもつられて

男泣きしていた


「あぁ...入れんぞ、なぁネクロ殿」


「全くです、特にゼムは規格外の

バカですから仕方ないですけれども」

ネクさんはテュポさんと

扉の前で小さく微笑んでいた

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