第70階 いざ亜人達の国へ
案内された寝室で
魔界の現状を
狐の石像の玉藻前さんが
語ってくれた
自身のプライドを捨てて
種族の誇りの為に
手を貸して欲しいとお願いされ
私は会議中の部屋に飛び出していった
そこでネクさんの機転で
私は魔獣軍のゼムさんの
作戦にフォアローゼズ共々
参加させて貰える事が決まった
実行部隊として
私とネクさん
ゼムさんでの
話し合いが行われていた
「人間達を元の世界に返します
故に魔獣達は亜人達の国における
亜人達の保護と魔獣の中で強力な種は
他の精霊達と共に指定の位置に
来て頂きたい、場所の方は精霊の
1人に伝えておきます」
私は形式上光の精霊という立場なので
それっぽく語りかけてみる
「うむ」とゼムさんが唸る
「亜人達の国への保護部隊の
進出は私が花火を上げます
凄い光が大きな音と共に
天に上がるので問題無いかと思います
もし伝達が遅れている様でしたら
他の精霊に花火については
詳しく聞いて下さい
もしくはネクさんに見せて
貰うと良いでしょう」
ネクさんはコクっと頷いた
「大きな音と光が亜人達の国の
天に上がるのだな?心得た!」
良い返事ね
「あと最後に一つ、これから起こる事は
決して口外されない様に
お願い致しますね?」
うむ良かろうとゼムさんの
心地良い返事の影で
ネクさんは含む返事をしていた
話し合いは終わり
私達はゼムさんの仲間達の
背中に乗って亜人達の国に
行く事になった
「さっきのは...?」
ゼムさんに乗り込む私と
立ち止まるネクさん
軽くフォアローゼズの
自己紹介を終えて
出発しようかという
矢先の事だった
「ネクさんは常に
私の側に置いておくから
全てを見て判断すると良いわ」
ネクさんはそれもそうだなと
今は引いてくれた
今は長話をする時間は無い
今回魔獣国との交渉の件では
亜人国の救出は全て魔獣国の
手柄となる事と
魔獣国の一部の上層部には
魔王グリモワールの
知恵を借りたとして
公にせず伝えられる事となった
ゼムさんが何とかしてみせるとの
事だった
獣人の母子の安全が確証すれば
嫌でも動くとの事らしい
とんでもない罪作りな
母子だなぁと思いながら
ゼムさんのふかふかな背に乗り込んだ
今回魔物の国に来ていたのは
"大地之歪"種の
私とネクさんが乗り込む
最悪夢、
火之精霊と
風之精霊が乗り込む
仏巨狼、
土之精霊が乗り込む
米赤狼、
水之精霊が乗り込む
独戦狼、
だった
精霊は割と適当に振り当てている
ちなみにネクさんに闇の精霊はどう?
と言って見たら今は仕事中だ
帰ってからなと真面目に返された
私はフォアローゼズに作戦を話して
どの場所に厳選された
魔獣軍を連れて来て
欲しいのか伝えている
もう、後は走るのみ
「...ネクさん!
お願いします!!」
その場の空気が変わる
異質で邪悪なものに
これが魔王候補、面白いわね
「良いか?なんであろうと
今の私達の腕に魔界の住人の
命が乗っかっている
魔皇亡き今
全魔界を敵に回したと
言っても過言では無い
行くぞ!!!!!!!」
ウォーーーーーーーーーン!!!!
と大地が震え天が裂ける様な
魔獣の咆哮が魔界全土に
響き渡ったと言っても
過言では無かった
全速力....
そう言うに相応しいだけの
速さが出ていた
作戦実行の為に
フォアローゼズ達を乗せた魔獣達は
別の場所へと別れていった
「彼女等は囚われた
母子の場所が分かるんだな?」
周囲が満ちていった
私の殺意で
「えぇ、間違い無いわ」
「.....なん...と...いう
馬鹿げた....力の大きさ..」
ゼムさんは走る速さを全く緩めない
寧ろ早くなった
私は本気だった
力の限り蹂躙するつもりだった
白いゲイスダリゲードを構え
黒いカゲードも展開し始めた
「先日よりも....!?」
ネクさんは"驚愕"のページを開いていた
「もうすぐ着くぞ!!!」
ゼムさんの咆哮が迸る
「ゼムさんはこのまま進んで
すぐ亜人達の国に入国出来るから」
ゼムさんの駆ける脚が
景色を切り裂く
魔力で強化された四肢は
大地を抉り地響きが舞うかの如く
まるで嵐を纏う鬼神の歩み
私は通り過ぎて行く景色の中
その背に浮いた
「行くよ、ネクさん
全部屠るから....
イケナイなんて言っても
私は誰にも止められ無いよ?」
私はネクさんを抱えて
時空を切り裂き
亜人達の国"ヤミマイ"の
地を踏んだ