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魔皇の魔法とハツミリア ~名のない帝国の花々~  作者: 道草 遊者
魔界観光編

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63/415

第62階 魔界へ

書庫は相変わらずの散らかり様で


「結局本が沢山あるだけで...」

マスカリアはよいしょっと

数百冊持ち上げた


本に作用している力を

削減しているみたい


この空間は本が

積まれているからといって

重力が作用している訳では

無いけれども"力"が働いているし

異次元の空気は充満している


通常の力では此処の本は

開く事さえ出来ない


無造作に散らばった無数の本から

私は1冊の本を取り出す


「手品!?」

イムがびっくりする様に

こっちを見ていた


「あるって信じた者だけが

苦労の果てに何かを得る様に

信じていない者では開く事の

出来ない扉があるんだよ」

手繰り寄せる記憶の様に近い感覚

私は魔界に行った事があるから

知っているし疑う余地が無い


でもそんな人がいるだろうか?

御伽噺や空想をまやかしだという事が

現実で正しい事だと認識される

人世界で


だからこそこの方法は正しかった

これは幸せや物語の中の理想の恋に

感覚が似ているのかもしれない

信じている様で信じていないという

曖昧さが


「見つけた...これかな?」

マテハは同じ本を差し出して来た


「正解だよ!

だから皆んなは忘れないで欲しい

幸せになる事を恐れるなんて

"勇者"の成す事じゃ無いって事」


それは夢を見ている様な感覚だった

川が流れる様に

記憶が流れ留まらず

ただ振り回される様に

一方的に流されて行く


「そう、これが次元の海」

私はこの海に船の様な物を

創って5人を乗せていた


人世界では車や宇宙船、

色々用いられるけれど

まぁ観光だしね

ゆったり行こうと思うよ


「き!きれーーーー!!!」

マユナの小鳥の様な声が響き渡る


懐かしい輝きが迸る

これが世界の外界の空

宇宙の星にも良く似ているけども

消えたり現れたりするのが印象的で

あれはある意味"生きている"ともいえる

魂は不滅という概念が

受け入れられるなら


きゃっきゃと嬉しそうに騒ぐ

マスカリアにマユナとイム


「わああああ!」

命君もでしたか


「ハツミは来た事あるんだ、

私もなんだ...いつからかよく通る」

マテハは静かに

まるで秘密を打ち明ける様に


「そう、マテハは渡れるのね

単純に凄い事だよ

自分の住んでいる世界に

捉われないって

それと私の事は着けば分かるよ」

マテハはニコッと微笑んで

いつもながら綺麗な場所ね

と呟いていた


「もしかしたら気を抜いたら

死んじゃうのかね〜」

マスカリアが横に座る


「それは無いわ、私がいるもの」

魔界はそういった意図を持って

創られたのは知ってはいるけども


それにもう第八世界は

進み始めているから


「うわ...ゴクッ.....あのガラスの様な

水晶の様なお城は.....?」

「何...あれ...?」

マスカリアとマユナの驚きっぷりが

凄いわね


「魔界には魔王の城が定説だけど...

あれは...?ハツミなら魔王軍を

倒せるから問題無いの?」

イムも驚いている

"魔皇"軍を倒せるか..まぁ

それも面白いねぇ


「城主は居ないと思うし

この場所に穴をくり抜いた様に出来た

大きな世界を丸ごと覆うなんて

神を除いたら私には1人しか

思い浮かばないわ」

マテハはもう分かっている様だった


「誰よ...?」

イムの言葉が答えを求めて彷徨う


「魔界の天皇さんか...?」

マスカリアが核心に触れた


えぇ私もそう思うわとマテハ


「正解!そうあれが星闇(せいあん)宮

魔界の天皇と呼ばれた

魔皇ミラース・ラーバ・ラーサの城よ」


ゴクッとマスカリアとイムは

緊張をあらわにした


「まさか...魔界観光ってあの城が

目的地ではないでしょうね?」

マユナが訝しげな表情をしている


「そのまさかよ!

私達が魔皇軍以外で初めて乗り込んだ

って事になるわね」

私はにっこり微笑んだ


「よしっ!そうこなくちゃ!」

マユナはガッツポーズだった


「私も何だか浮かれて来たよ

連れて来てくれてありがとう

ハツミ!」

マテハも気持ちの高ぶりを

抑えられ無い様だった


「命はどう?」

マテハが優しく微笑むと命君は

ニコッと微笑み返していた


「でも大丈夫なのか?

私も嬉しいけれど...」

不安と喜びが混じり合う

マスカリアに私は微笑んだ


「だってあの城の事実上の支配者は

今は全天さんと三竜王ですもの」

そ、そうなのか!それは安心したと

マスカリアは笑顔だった


「イムはどう?」


「"何か"...あるのでしょ?」

何かが、確かに私は

あると踏んでいるから

今回観光をしたいと思っている

そしてイムの表情は思ったより暗い


「そうね、イムの言う通り何かは

"ある"けど」

けど....?とイムはポツリと漏らす


「その"何か"にイムの不安を

取り除いてくれる"何か"だってあるわ

それでも...不安でたまらないなら

私の近くに来なよ、

全部ぶっ飛ばしてやるんだから!」

にひひとイムは笑って

うんと小さく頷いていた

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