第60階 決着
宙に舞い上がった二刀は
綺麗な弧を描いた
それはまるで月の煌めきの様に
神秘的な一瞬を創り出した
蝶々が羽根を休める様に
マテハの手に綺麗に戻ったけれども
二刀は地面に置かれて
マテハは膝をついた
涙を滲ませながら
とめどなく涙は溢れて
小さな肩を揺らしていた
私はそっと前に立って
手を差し伸べた
「私を超えなさい
マテハなら出来るよ」
私は添えた
声にならない叫びと共に
大泣きするマテハを私は抱きしめた
負けて悔しいのか
どうにもならない事が続いて
無理をしていたのか
私に抱かれながら
大粒の涙を流して
私は泣かせてあげた
後で全部聞こう
何が辛かったのか
全部全部吐き出させてあげよう
空をふと見上げて見ると
星が零れ落ちる雫の様に瞬いていた
まるでマテハの涙みたいだなぁと
思いながらぼんやりと
マテハをなだめていた
空気が抜ける様な気に抜けた
穏やかな音が心地良いとか
思考が進み出したと思ったら
マテハはスゥー、スゥー、と
泣き疲れて私に身を預けていた
「もうっ...」
可愛いんだから!と叫びたくなった
「寝ちゃったね、安心したよ」
そう言って明かりのついた活気付いた
夜の街みたいな夜空に照らされながら
マスカリアは微笑んでいた
「お姉ちゃんさ、泣くんだね
弱い所、一回も見た事なかったから」
マユナは泣きじゃくったよねと
マスカリアが言うと顔を真っ赤にして
恥ずかしそうにしていた
「でも、私が怖いのを
1番慰めてくれたのはマユ姉で
いつも果敢に
向かって行ったのがマテ姉で
姉妹皆んなの背中を押して
支えてくれるのはマス姉...」
思い出深い様にイムが呟いた
まるで小さいけれど自分が見つけた
1番星の輝きの様に
「「でも、イムがいたから
私は姉として一歩先へ進む
勇気を踏みしめた」」
2人の声が重なり合った
テヘヘとはにかむイムが
空気を暖かくほのぼのと染めていた
クラーガ君と倶全君
それに全天さんと親衛隊の数人が
集まって来た
まず全天さんには感謝を述べたら
星一族として感謝していると
感謝の相互作用の様になっていた
倶全君は私に一礼した後
例の件はクラーガ君とよろしくねと
一言添えると仮面を外して
再度礼して倶全君を横目で見ている
イムの元へ駆け寄ってマユナと
マスカリアも交えて話し始めた
そして私の目の前に
クラーガ君が立っていた
彼は.....。
そして私達は帰国した
私はそっとマテハを寝かして
既に寝ていた命君も横に寝かせた
彼は起きている時間が
通常の人よりも短く約半分低度
1日の半分は寝て
半分は起きているみたい
今日はマテハが寝かしつけたそうな
「そういえばあいつ来てたね
ハツミが呼んだの?」
マユナがあいつは多分
クラーガ君の事だろう
マユナは以前強引に
襲われかけたって
マスカリアから聞いていたから
何かと気になるんだろう
「何かしようとしたら
腕捥ぐから言いなよ?」
あはは!と笑うマユナ
「うん、そうして貰うね」
マユナは安心した様に
既に寝ているイムの布団に潜った
あー、魔界観光の話しするの
忘れていた
明日予定を皆んなで立てようかな
私も布団に潜った
もそっ
と
胸の辺りが動く
「...星の王子と2人きりで最後
何を話していたんだい?」
マスカリアはニヤニヤしている
私はむぎゅっと頰を
軽くふよふよして
「姉妹に無理矢理手を出したら
殺すって釘を刺してたんだよ〜」
マスカリアは苦笑している
オレ様に良くない所があったら
遠慮無く言ってくれ
ハツミの為に変わる!
か....捨て台詞かよ
カッコつけやがってぇ
まぁ他人事の様に
応援してやるかぁ