第56階 "闘神"エヤス
「これであと1人か」
閃光の様なマテハの斬撃は
ダツイソを真っ二つに
斬り裂いていた
全ての技が使用不可となれば
抵抗手段は残っていなかった
そしてマユナも片付けた
「ふぅー、疲れた...
でも、最後の大仕事が
残っているよね?」
そうなのよね
ひっそりと佇む大きな屋敷に
神の力が1つ
「此岸渡り」
非常に重くかつ荘厳な声が響いた
「フォアローゼズ下がってね」
私はニコッと微笑んだ
4人は素早く後方へ移動した
イムは倶全君と共に
マスカリアはクラーガ君に
持ち上げられながら
周囲には死の臭いが立ち込めた
継ぎ接ぎがよく目立つ
「そう、死なないのね
神のご加護が有る限り」
立ちはだかる4人の男
先程フォアローゼズと
倶全君によって彼岸を渡った
4人だった
「じじぃは川越えって
単に言ってるぜ」
私の耳に金属の刃が勢い良く
過ぎ去った音がした
ダカユセはニヤッと笑っていた
「そこに流れはあるのよ
確かにね、川の様な流れが
でもその技はえらく中途半端ね
黄泉がえれば殺せるなんて
あぁ、忘れていた
貴方達の次元じゃ
新しい要素の提供は不可能だし
それが精一杯努力した結果だもんね
まるでゾンビみたいね」
私は感じた
周囲を包む幻術と
竜の様な火と
業風の様な刀のうねりと
「小せえなぁ」
オマアハの一方通行な炎が
4人で協力すれば。
プライドを捨てて4人1殺。
持久戦になっても黄泉がえるから。
でも、勝てないよ!
私の目の前に力が集まる
「これが闘神と
恐れられた私の力だ!」
確かにハッタリでは無さそうだった
「闘神エヤス様は宇宙を瞬時に
1200個程壊す
無の力をお持ちじゃ!
死ぬが良い、小娘!!!」
スマバメは更に
竜の火を2つ追加した
私は無の力を手刀で4つに分けた
それを4人に向かって弾いた
黄泉がえった4人は瞬時に蒸発した
そこに私は再生不可の力を添えた
彼等4人は笑った気がした
「小娘ぇ!!!」
そこには"無の力"
先程の数倍は大きくきめ細やかに
圧縮していた
「これは一億の宇宙が
壊れる計算じゃ!!!!」
まるで私は魔王の様だわ
仲間4人を瞬時に皆殺し
まるで仲間から少しづつ力を
貰って強くなった
最期の攻撃のパワーアップ
それでも私は指で世界を
ほんの少しだけなぞった
「ぐぬううううううううう!!!?」
エヤスには何が起こったのかが
理解出来なかったというより
理解したくなかった
今、目の前にある力の塊は
自分が出せる最強の攻撃だ
使用後に凄まじい倦怠感が襲う
日に2度が限度の必殺奥義だ
だが無の爆発が起こらない
凄まじい光と衝撃と共に
通常は滅びを迎えている
余りの強さに放った後に
感傷に浸る程だった
「爆発せずに留まっている...」
エヤスは目下の力が透き通る
黒色に
「単純にそれ以上の力で
封じ込めただけよ
込め過ぎた質量的な問題で
爆発等の変化も起こせず
留まっているだけ
まさか...それで殺せると
思ったの?」
エヤスの中で何かが吹っ切れた
「貴様ぁ!!!!こ....」
コトン.......
「実力差は示したつもり
見かけに矮小なプライドを
揺さぶられ過ぎよ?
少女を侮った報い」
私の挑発に乗ったエヤスは見事に
大きな隙を作っていた
その隙に白いゲイスダリゲードは
豆腐に箸を通すかの如くに
闘神エヤスの首と胴体との
間に綺麗に一本線が入り
夥しい赤を吹き出して生が溢れた
巨神竜を食らった天下剣「獣」は
巨剣「神竜」となって今世に出でた
私はいともたやすく
くるくると器用に巨剣を
振り回す、するとどうだろう
がぱっと剣は中心より裂けて
エヤスの首と胴体にかぶりつき
むしゃむしゃと噛み砕き
食らってしまった
また一つ近付いたといえる