第55階 抱き続けた思い
何かがおかしい...
そう思ったのは同列に並んだ
彼等が死んだという事実
ダツイソもまた同列に並ぶ
彼等を危険にそして同時に
頼もしくも思ったものだった
だけど不思議とあっさり死んだ
あまりにも圧倒的な力で
蹂躙されていく不思議が襲った
この東の大国"893"に
君臨してからも力を奮った
それでも死とは程遠い世界を
生きて来た
唯一自身を死に追いやった
あの目は何処にもいなかった...
高揚を求めて感傷に浸った日も
あったが探すだけ意味が無かった
何か起こせば会える
そんな期待もあった
「うぐぅ....」
まるで疲れ果てているかの如く
何も出来なかった
「もうお前1人だ!」
ほとんど人生の"じ"も知らないような
少女に追い詰められる現実が
途轍もない理不尽に感じた
空から命を吸い上げる
"たいよう"も
大地を呑み込み命を奪う
"つなみ"も
力で命を押し潰す
"いんせき"も
幻想結界内で全感覚を奪う
"キョウカスイゲツ"も
「グッ!!!.....」
発動した筈なのに
"何も起こらない"
「マス姉の力の本質は?」
マテハが確信を求めて質問してくる
「敵さんの感覚の上では
"発動している"わ」
「それはそうだと思う
"打ち消し"に特化していると思うけど
そんなに便利なもんじゃ無い
それなら相殺では無くて
上回った方がいい」
ごもっともだと思う、普通は
「でもね、マテハそれは魔法だけに
なるでしょう?
殴るや蹴るなどの物理的な攻撃は
マスカリアの非力さでは
どうするのかしらね?」
実際ダツイソは何度か
刀を使っての斬撃を試みていた
しかし全て外れていた
それも何度も
「まさか、精神動作よりも
肉体動作が遅い...?」
凄く近付いたみたい
流石ね、マテハ
「時間停止はとてもリスキーなのは
貴方なら分かるわよね?
でも時間低速なら大した力は
必要では無いわよね?
しかも精神作用は
これまた特殊過ぎて
条件やらが重なり過ぎて
とても難しいわよね?」
マテハはハッとした
飲み込めた様だった
「精神作用が無い超低速空間を
マス姉は創り出しているという
可能性が非常に高い
でも、何故消える?」
近付いてきたね、マテハ
でも、もうマスカリアのは
努力による職人芸に近いかな
「変身ヒーローがいます
変身したら無敵です
だけど変身ポーズの最期で
叩かれたらどうでしょうか?
最高速に到達する前に叩く
猫騙しと考えて頂ければ!
もしくは超低速空間の中での
力に対しての奇襲...
これが分かりやすいと思うわ
それに感じていると思うけど
マスカリアの殺傷能力は
双子のマテマユと違って
ゼロに等しいのよ?」
マテハは納得出来た様な表情で
マスカリアを絶賛していた
えぇでも、マスカリアの力は
きっと大切な姉妹を
傷付けさせない様に
上手く場を収めたい願いから
生まれたのだと私は心底思った