第42階 巨鬼族
私も気持ちは分かるから
「大目に見てあげるわ
囚われのウシトラ姫様?」
ウシトラさんは苦笑していた
「巨鬼の戦士が一瞬で全滅?...」
一億もの大群は私が創った
幻想と夢の世界に
一時的に吸い込ませている
ウシトラさんが協力関係に
持っていくという意思が
垣間見える限り
私は最低限程度は
協力したいと思っている
私という魔王はウシトラさんの肩に
全巨鬼の命を背負わせたとも言える
「同胞の無念を晴らせ!!!!!!」
まるで宇宙の壁を貫く程の叫びが
嵐の様に響いた
「私の邪魔をしたから、息子さんと
お話ししていたのよ?
ウシトラさんのお母様?」
貫く様な真っ直ぐとした睨み
「ウラキモン!!!
わしが出るぞ!!!!!!」
私の首に隕石より大きい
オノの様な武器が一瞬で迫って来た
「あぁ!あんたぁ!!!
やっておしまい!!」
ウラキモンと呼ばれた
女の巨鬼は後方へ瞬時に下がった
「行け!ウシトラ!
お前の帰る場所は向こうだ
とっとと失せろ」
私は辛辣に言葉を背中に投げた
「わいじゃ親父は止められへん...
唯それ以上に巨鬼に
勇者アオナ・エカルラートは
重過ぎた」
そう言った瞬間
私に攻撃を放っていた
ウシトラさんのお父さんのオノは
木っ端微塵に砕けていた
「な....ぬ.....」
キモンも表情が曇る
「どうなのよ?まさかそれで
早く振り下ろしたつもり?」
私は片腕の白いゲイスダリゲードで
受け止めて当てただけだったけども
オノの方が脆過ぎて砕けてしまっていた
それで緩めるなら
折れてしまうなら
神々を生み出した巨人よりも
強いというのは全くの作り話に
なってしまう
人は神が創った
神々は巨人から生まれた
巨人達は巨鬼の涎である
アルテン王の書庫の伝承に
書いてあった一文だ
巨人が人間と同様に水分が多い
生物であるのも頷ける
ただしそれは魔法の水だけれど
「殺っ....た!!!」
ウラキモンは私に向かって
超速の巨刀を振り抜いた
確かに"必殺"ともいえる
マユナに向かっていった
残りの巨鬼が余波を避ける為に
防御姿勢を取っていた
それ程の威力
ウシトラさんもその父であるキモンにも
またウシトラさんの母であるウラキモンにとってもまさしく一瞬の攻防
ただし私は除いて
私は指でほんの少しだけ世界に触れ
次元をトンっとずらした
私の存在は一次元程度上に座した事によって彼女の必殺は空を切った
「ハツミは殺れない!」
マユナの強い瞳が凛と輝いていた
5人の男女の巨鬼の殺意の前に
私はマユナを少しだけ未来に繋げた
マユナの潜在意識と眠る可能性を
私は集然で広げた
そしてマユナは少しだけ
未来の自分を知った
振りかざした殺意が粉々に砕け
傷だらけの御身と共に吹き飛ぶ
5柱の巨鬼
マユナは威風堂々と強大な巨鬼の前に
大胆不敵な自信をその可愛らしい
顔を浮かべて"リョウゲンノヒ"が
三閃一筋となりこの世界に迸っていた
(追いつかねぇ...巨鬼最高の
思考スピードを持ってしても
姉さんの行動を全く把握出来ねぇ!!
考えろ!わいが8人である為に!
まず親父の攻撃は真正面から崩され
当たったかの様に見えたが
おっ母の攻撃でのダメージは無しだ、
これは確定にしておくべき!
そして兄弟達が吹っ飛んだのは
マユはん..か、
"時の概念"丸無視の姉さん
出来ても何らおかしくねぇか...
急に消えたあいつらが姉さんによって
死んでいたら親父達にどう言おう....
流石にそれは俺も一緒に仇とらんと
あかんよなぁ..)
(小僧....小童....糞餓鬼....)
(あ..へい?..ってごっつムカつくわ〜
3つも違う意味で並べんといても
ホンマ趣味悪いわー......!?)
「九尾かしら?」
私は金色とも白とも言える
綺麗に透き通った肌に
虹色に光る角を携えて
空より降り立つ巨鬼族の
女性の様な方が光臨なさった
他の巨鬼と違うのは特徴的な
尾が一本残っている事だった
「そうじゃ、ハツミリア・ルイデ
それに我等が御子で今辛うじて
立っておるのはキモンに
ウラキモン、ウシトラだけじゃな?」
圧のある神聖な音が声となって響く