第40階 ウシトラ
私達の獲物である巨神竜を横取り
しようとして失敗した赤角の男と
私とマユナは宙に座り込み
尋問と言う名の談笑を始めた
「どこから話せばいいんでしょう?」
最早笑みが引きつっている赤角の男
「私達は人族のハツミリア
そして」
「マユナです」
納得した様な赤角の男
「わいは人語を勉強中の
巨鬼族のウシトラや」
私とマユナは首を傾げる
2人で傾げる事で圧力2倍である
「...巨鬼族は主に巨神竜を食って
生きている歴史の長い種族や
勇者と同様の雷さんを使う
九尾様を奉る信奉厚い義理堅い
種族や!!」
"義理堅い"を使いたかったのだろうか?
決め台詞の様に露骨にドヤ顔で
キメてきた、美形が残念無念である
ただ、人語勉強中と言う事で
所々笑みを挟みながら
頷くとペラペラ喋る
マユナもドヤ顔には露骨に
引いていたけど
私より愛想がいい
マユナは姉妹で一番男心を
手玉に取るかもしれない
「巨鬼族はわい含めて強いの
8人で、そりゃ最恐やで〜
なんせ宇宙で出来てる巨神竜を
ぎょうさん食べはるからなー
もう巨鬼族の身体は数兆の
大宇宙で出来てるんや!
ごっつ凄いやろ?
人族は38兆ぐらいの細胞やろ?
巨鬼族はそれが大宇宙はんで
出来てるんやー!!!」
「死んでみたい?」
ヒィッ!!と仰け反る赤角の男
「姉さんホンマ命の危機なんて、
ガキん時に妹達いじめておっ母に
ボコられた時以来や
人でもたまにおるもんなぁ〜
とんでもない凄腕が
剣皇はんみたいな!
巨神竜の子供を狩ろうとしていたから
そげんヤバイいお方に絡まれるとは
夢にも思わんかった」
ウシトラから汗がツーッと滲み出ていた
「ねぇ?ハツミは私達のお姉ちゃん
なんだけどどのくらい強い?というか
その...なんて言うのだろうか......」
マユナが困っている
「ウシトラから見た私って事?」
私はマユナに優しく微笑みかけた
「そんな感じ、ほらハツミって
めちゃくちゃ強いじゃん」
マユナも言葉にウシトラは
ふむふむと何度も頷いていた
「それは是非ともこのウシトラが
答えてしんぜよう」
絶対この赤角さんお調子者だよね
と私は思いつつ
「わいの父"キモン"は
100体の巨神竜を1日で狩った
伝説がある程の凄腕だが
そのわいの父が100人いても
勝てる気配がせん...
ただわいの父には言わんといて
姉さん程では無いけど頗るこえーから」
涙目の赤角さん
話を聞く限り私って何なのだろう
「あぁ!でもハツミなら出来そう!」
マユナの目は輝いているし
「あの次元の強さやったら
巨神竜を一振りで格殺やな!
マユはんの姉さんは
ごっつすげぇなぁ!!」
「でしょ!でしょ!!」
マユナが目を輝かせている
結果オーライかな...
「こちらからどうしても質問させて
欲しいんや、よかですか?」
殊勝な顔するウシトラ
私はマユナと目を合わせた
「いいよー、スリーサイズとか
プライベート的な質問で無ければ」
マユナが目が笑っていない
笑みを浮かべている
「ホンマでっか?
スリーサイズいいねぇ!
マユはん一本取られたわ!
だが、わいそんな不粋な男やない
わい程の男になると見て分かるんや!
それに姉さんら人族の幼生やろ?
巨鬼はそんな事せーへんわ!
弱い人族じゃねぇしな」
この赤角さん、ふざけている割に
しっかりしてるわ
「ようせい...?」
マユナが多分"妖精"さんと
間違えてるので
可愛くて幼い女の子の事だよと
耳打ちしてあげた
「でな、その質問というのがや
巨神竜を襲うのは何故って事や
負けたわいが巨鬼の誇りとかどうとか
言うても格好つかへんから
言わんけどな純粋に疑問を持ったんや
巨神竜はいわば大宇宙でゆりかごや
人族の繁栄の為に必要ちゃう?」
言いたい事は分かる
本来巨神竜は人族に必要な要素の一種
「最近出来た異界の影響を受ける
人族の集団893が非常に邪魔なのよ
私が調べた所、主に少女達を
奴隷にして薬を使って順応にしたり
893のグループに属さない
人族の集合体のカテゴリーでも
小さな村を潰したりとねぇ」
赤角さんはコクッコクッと
しっかり頷いていた
「...こういう事言うのあれかも
しれへんが弱い者は淘汰されるんや
数多の宇宙にしても同じ
時には同種族を踏み台にしてもや
人族の行いに関しては
勉強不足なんやけど
一つ言える事はオススメせーへんよ」
私はコクっと頷いた
確かに大宇宙より大きな存在から見て
1人の人の死なんて
小さな事だと言うのは分かる
でも...それでも、私は