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魔皇の魔法とハツミリア ~名のない帝国の花々~  作者: 道草 遊者
東の大国編

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33/413

第32階 日常という宝物

私は飛び出してきた

マスカリアをヒョイっと

子猫のぬいぐるみの様に抱き抱えて

そのまま部屋に戻った


「ねぇお母さん、猫拾った」

紅茶を他の姉妹に注いでいた

母は...


「可愛い猫ちゃんねっ!」

と嬉しそうに冗談に微笑んだ


「捨てられていない!

私はもう既にハツミの

飼い猫なのさ〜」

私は満足そうな笑みを浮かべる

マスカリアにつられて

そっと笑みを浮かべた


「そう?子猫のリアちゃんは

ママ猫に甘えなさい!」

私はぽいっとマテハに投げた


「ちょっ!...と!ハツミ...!?」

マスカリアはマテハの胸に

飛び込んでいった


困る様な嬉しい様な表情を浮かべる

マテハに御満悦なマスカリア...

マスカリアの頰を餠の様に

いたずらするイムに

紅茶をすするマユナに

微笑む母....

そして頑張る父

そしてここに今いる私....


魔皇が目指した最強は

こんな日常という普通の

特別を守る為に"殺せ"と...

私の奥底で"カゲード"の力は

息衝き呼吸をしていた


その可能性が0でない限り

滅ぼす価値はあると訴える


私は大きくなったけども今日だけは

「どうしたのっ?」

母を後ろから抱き締めた


母はそんな私に振り返り

大きな瞳で私を包み込んでくれた

静かに


「ありがとう...」

と私は囁いた


「どういたしましてっ

私こそっ!」

母は黙って私の行動を許してくれた



悪い人間が死ぬ事は

日常という大義を守る為の

実に下らない小事だと思う

彼等は"死ぬ"以外で

誰かの為になる事は出来ない


そう魔皇は位置付けた

理不尽でもなんでもない

生きるという目的の為の知恵だった

徹底的に自分に価値に比重を置いた


それでも...そういう難しい事を

総て置き去りにしても

私はみんなと一緒に

生きたいと心より思う

そんな風に一緒に生きたいと

思える人々を沢山見つけられたら

世界は色鮮やかに染まっていくのだろうか..


それからだらだらと過ごして

時間の湯船にひたった

私達は大きな部屋に6人で寝そべった

皆んな安心して眠っていた

私もゆっくり瞳を閉じた



一番遅く起きたのは私だった

目を覚ますと姉妹達が挙って

私の顔を覗き込んでいた


「ん...何?」

皆んなして赤らめて

目を逸らしていた


「おはような!」


.........

この声は.......

.................


「ぎゃーーーーーーー!!!!」


静かなはずの朝に

私の叫び声が響いた



パジャマ姿でヨレヨレに

はだけそうになっていた

私は思わず叫んだ

恥ずかしさのあまりに


「おは...よ...う..」

私は笑顔の父に挨拶を

それなりの時間が経過して

やっと返した


「ごめんな!

びっくりさせたな!」

父はニカッと笑う


「....うん」

そうじゃないけど...

そうともいえる

どんな魔法よりも精神に染み渡る

こうやって思いやりの大切さを

父と母が1番教えてくれる

私は同じ様に誰かに出来るかな?

例えば姉妹達

更に言えば未来の旦那様

これから会う人々

これから生まれる人々

私は何か大きな何かを

残せるのかなぁ

私は沢山もう貰っている気がする

生まれたこの世界に

私は確かな道を築く!そう心に願う



「お世話になりましたっ」

母の明朗な声が響き渡る


「いえいえ!それにしても

ハツミのお母さんが

天使だなんてね〜」

マスカリアはニヤついていた


「えっ!?うっ!」

明らかに母は動揺していた


「そりゃナティラは可愛いぞ!

でもなハツミも可愛いぃ!」

父はそう言えば私と母に

ゾッコンという絶対に治すつもりも

自重するつもりもないクセを

持っていたのだった

少し恥ずかしくも思う

その影響で母は赤くなっていた


「あぁそういえば

東の大国が何かしでかそうと

しているらしい...

とにかく気をつけてくれよな!」

父は私と姉妹達を心配していた


「えぇ、またそちらから何か

お伝え頂ければこちらとしても

三竜王に助力を

こうつもりでございます」

マテハはさらっと述べた


「......油断はするなよ

あの国の情報はハツミに連絡するから

それにあの国は俺の知り合いの勇者を

1人殺している...

三頂ともなれば狙われる可能性はある

眼前に奴等が現れた瞬間

それはもう殺せる確信を得たから

と捉えて欲しい

君達は女の子なんだ

それも幼くて可愛い!」

皆んなで照れていた

「可愛い!」に


「最後に一つ、無事でまた会おう!」

母もにっこり笑っていた


皆思い思い別れを済ませて

私とマテハは東の大国に飛んだ


あの蹂躙された村を見に行く為だった

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