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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
東の大国編
31/262

第30階 刻み続ける時の針

私とマテハは側から見れば

2人だけの世界に入ってしまっていた

それを母に...見られたのだった


今日は母が作ってくれた

メインはレッドドラゴンのパスタだった


超高級ランクの紅玉と位置付けられる

甘くて噛み応えがあり更にはトロける

希少部位が保存してあったのだった


母はアルテンさんにもあげるからと

言って贅沢にもほぼ使用してしまった


「「「「美味しいーーーー」」」」

私とマテハを除く4人がパスタを

口に含んだ瞬間に

歓喜の声が一斉に上がった


私はさっきの恥ずかしさの余りに

美味しさと甘酸っぱさが同居していた

マテハも顔には出ていないものの

私を見て目を若干逸らしているのが

分かる


これじゃあ、疑われるなぁ

母のニコニコとした笑顔が怖い

私は男性が好きなのに

父の様な


「マテハちゃんだっけ...?

どんな...男性が好きなの?」

母はフォークにパスタを

まきまきしてながらマテハに

微笑んでいた


「私は...切磋琢磨出来て頼れる男性です」

マテハもちゃんと男性が好きな様だった

私個人の考えとしては

フォアローゼズは大好きだけど

恋愛としての好きではない

女の子同士の恋愛も結婚も

私は世界にあってもいいと思う

でも私は男性と恋愛をする

それだけの事

選択した事が違うだけだと思う

何処に素敵な男性がいるかは

密かな私の楽しみだったりする


「それ凄く素敵だねっ!

ハツミは....?」

お母さん?そんなに可哀想な子を

見る様な目で見ないで欲しい

きっと私にこの質問を投げかける事が

母の本題なのだと理解してしまった

「私はお父さんが理想です!」

良し!言い切った


「あら、やっぱり

私の娘なんだねっ!」

母はなんだか複雑そうな

嬉しそうな表情をしていた


すらっと白い透き通る肌の手が上がる

「どうぞっ!」


「私は強い人!」

イムは赤らめている

もうどうやら意中の人がいる様だった


マスカリアとマユナは

悪戯な笑みを浮かべている

まぁ...1人しかいないからね


「私はおおらかな人だなぁ」

マスカリアも胸中を吐露する


「それ良いと思う!

マスカリアは自由だもんね」

私がそう言うと


「あはは!確かに私自身を

空に浮かぶ雲の様だと思う時はあるよ」

うんうんと姉妹揃って頷いていた

母はにっこりと微笑んで頷いていた


「私はまずはクラーガは除く!!」

姉妹は苦笑していた

実は星一族の王子は

女性にモテるらしい

部下に反感を食らっているのも

これが起因の可能性が非常に高い

圧倒的な強さと男らしさに行動力を

兼ね備えていてとっても顔が良いのは

確かなのだけれどオシが強い


こんな風に私達の楽しい

一時は過ぎていった


「お母さん!」


「なぁに?」

母はいつも穏やかに私を迎えてくれる


「今日の料理もと〜っても

美味しかったよ!」

母は家事が大得意

魔王の自分を討伐しに来た

父を家事でメロメロにさせて

結果父に惚れ滅ぼされてしまい

魔界から逃避行してしまった逸話を持つ


魔界は人以外の種族が住まう世界で

母の双子のお姉さんが

魔界に住んでいる

エルフ達の王を務めている


魔界は今は人以外の種族が

総て入り乱れ押し込まれた

巣窟となって溢れていた

それだけ神々の影響が強く

人族だけが特別扱いを受け

寵愛されていた


単純にいえば神々の王達が

まとめて滅んだ今

魔界への抑止力は無く

いつ攻め込まれても

おかしく無い状況でもある


人世界には魔界と繋ぐ

いくつかの扉と言われる

相互干渉出来る場所がある

それが7つ

そう七大神王の数でもあった


今は六つの作動が確認出来

この事に魔族が対応出来るのが

おそらく明後日以降だから

私はマテハに休んで欲しいと思った

これからは否応無しに

忙しくなるのだから


悪魔、鬼、魔獣、幻獣、聖獣

エルフ、ドワーフ、吸血鬼、幽霊...

ありとあらゆる人が歴史で記して来た

人外が溢れ出てくると予測される


だがこれは通常あり得ない事と

位置付けられる

神は人が超常の種と渡り合う為に

生み出した知恵とも言える

それが崩れ去った今

人々を守る力は無い

これで私は人に仇なす

魔王らしいともいえる

だけども半分正解で半分不正解だった

確かに私はこれが引き起こる事も

知っていて神々を殺した


何故なら神と呼ばれる種は

魔界にも存在するからだった

鬼神、魔神、獣神と大それた

名を持つモノ達を


私は全ての神を殺す

そして時剣アーザは

今や神剣ハリハラと成った

私が欲しいのはその先だった

"全神斬離(ゼンシンギリ)"と呼ばれる力が伝説かどうかだった


大した目的でも無いけど

試して見る価値はある

アカナを救えない神々なんて

救うという言葉すら使用禁止に

して欲しい心境だから


救えない神など存在して欲しくない

それが私の本音に他ならない


893も同じだ

彼等は必要悪を謳って

暴力を筆頭に正当化している

魔界の影響を受けて力を得た

彼等が人を救うなどあり得ないのは

分かっているけども

少女を救えないのに

必要も何も無いと私は心底思う

だから私は滅ぼす算段をつけている


彼等が無惨に殺されても

勇者は現われず

ただ死が現実になっていく

それが運命で宿命だった

だから悪い事をするなと

人々は語る

それは人類存続の為の

知恵に反する事でもあるからだった

本来この世に正義も悪も無い

星は宇宙は何をしても

全てを受け入れる

でも人という種は

全にして個、個にして全という

大変相反した種族でもある

宇宙は星は全にして個だから


人という種の絶対正義に

種の保存がある

人を次の時代に繋ぐという

絶対正義が

だから人の根底には

"生きる"という根源的な欲求がある

それに基づいて

罪が罰が設定される

悲しいけれど

人々の判断は人類に設定され

組み込まれた通りに

社会や法律を創っている

人々が定めたさじ加減は

設定通りである

世界中に広がった人という種が

争うのもそれが要因となっている

総ての人は根本的な部分は変わらない

だから同じ世界に女性が尊重される

世界も卑下される世界も存在する

これが事実で真実だった

これは環境によりどの色を

強く染めてきたかによる

種を残しやすくする為に

女性を弱くするか

女性が受け入れやすいかにするだけの

小さな差が歴史を紡いで

築かれてきた事である

赤を好むか青を好むか

その程度の差しか本来は無い

悲しいけれど

私は理解し知った上で

卑下する世界の総てを死という

絶対色の黒で染めると

私は決めている

だから893は殺す

嫌いな色をただ単純に黒に塗り潰す

些細な事を

私は初めようとしている

ただ簡単な事だった

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