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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
異世界ミリカンテア編
3/260

第2階 私の魔法

赤子になった私は

人質にされそうになっていた


でも私のお姉ちゃんである

アカナは身を挺して

守ろうとしてくれた


痛々しさと不自由さの残る

右目に眼帯をつけて

更に杖を左手に持っていた

それでも私に笑いかけていた

きっと辛さを胸に閉じ込めて


ラブラビアは確実に真祖と

推測した

人間じみた容姿に

あの攻撃の速度と力

それに真相クラスと決定付ける

吸血鬼のエリートとも

言うべき存在が行使する

凶悪な呪術という

置き土産を置いていかれました

私は笑顔の不得意な

赤子になってしまうかもしれない

むううううう


アカナの右目と左足は

ハツミリフィの祭壇に祀られていた

ハツミリフィは不死鳥の神

いわゆる四神の朱雀だ

朱雀の力を持ってしても

強力な呪いは解けなかった

それもそのはず

ラブラビア本人の魔力を激減させるか

この世界"ミリカンテア"を超えた力の

介入がないと再生出来ない

解呪の行使自体は簡単だけど

呪いの媒体となった幾つかの

世界が壊れる事になる

ラブラビアは面倒な事に

666の世界を媒体に

呪いをかけている事が

私が秘密裏に解呪しようとした時に

世界が666個震えた事で分かった

もちろん解呪と共に

ラブラビアに強烈な

副作用が跳ね返って

来るのは明白なのだけど

生命と再生の強力な一柱

朱雀で手が出せない次元とすれば

666個の世界は反動で

半壊程度は免れない

弱い世界なら木っ端微塵

私はハナっからラブラビアの

利き腕に相当する左半身を

永久追放する算段だ

むしろアカナを傷付けられて

怒髪天極まりない気持ちで

溢れているからこの方法を

私自身に推奨したい

半身が失われば

魔法や呪術を行使する

能力が著しく低下する

真祖故にどれだけ痛めつけても

ほぼ死ぬ事は無い

まず私と同一次元と言う事は

ありえないから

初期魔法が使える程度に

落ち込むと思う


これで私が自由に動いていい

年齢になった時の方針が決まった

まずラブラビアを弱体化させる事

次にメイユールをラブラビアの

目の前で抹殺する事

今後の方針が決まった所で

私はスヤスヤと寝てしまった


あの日から

幾度と無く季節が通り過ぎ

もう私は3歳へと成長していた

割と自由に動ける事に

感慨の涙を浮かべていた

この所、アカナが私と共に

いない日が増えていった

アカナは女王として

対応に追われていたんだと思う

あの4人の


私は兼ねてより創っていた

4人の人間達

即ち使い魔と言うべきか悩む

私のクローンとも呼べる

4人をこの世界に生み出す

決意を決めた

私が生まれて初めて創った世界

マスカリアに加え

去年創造したマテハとマユナ

そして今年の春に創造したイムを

四姉妹として

この世界に転生させようと


人間は世界を創造し

宇宙のゆりかごの中で

海70%と大地30%の星を

燃える星で温めている

その星の中で人が生まれる

そこに時の流れを与え

私の血を世界に垂らすと

私のクローンが出来る

火の当て方と宇宙の星の

配置によって人の数と

性別を選定出来る

特に星の数が重要で

多ければ人数が多くなる

よって今回は

宇宙には温める為の星と

1つの星しかない


ある程度人としての主体が

完成している為

次元移動の魔法を

指をずらして発動させ

私は私の世界から4つの世界が

移動する感覚を味わったはず

特に何もこそばゆいとか

なかったけど

実にあっさりしていた


母に借りた人間世界のお話では

この手の力は選ばれし美少女が

世界中の祈りを集めて命を

賭して発動させる

いわゆる高度な封印魔法であるか


世界を混沌で満たした魔導の王

即ち魔王が人類の3分の1程度の

犠牲を払ってようやく完成させる

禁忌とされ勇者が見つける頃には

禁呪法として固く固く封印されている

はず...とかの筈なんだけど


私が使用する場合は

マッチの火がつく感覚に似ている

"集然"と名付け

父も知らないと言っていた

手で世界をなぞると発動出来る

ぷるっと震えるだけでもいい

物語の様な詠唱を一切必要しないし

指で無くてもいい

要するに私が思考できて

頰でも残っていれば

世界に触れる事が出来て発動可能で

更に私の思考に大きく影響しているみたいで

私は自ら使用する集然の

解明もしてみたいと思っている


私はアオナになる前から

非力極まりない

父の持つ剣が重過ぎて

両手でさえも持てずに

父の片手の上に落としてしまう程に

でも私は父とまともに剣を

打ち合えるのは集然のおかげ


私は父に勝つ為に私だけの秘呪文かつ

秘剣である白い"ゲイスダリゲード"を


この語呂も私だけしか知らない為に

意味は世界辞典にさえも載っていない


でも強さは一級品で...


父はオリハルコンという

硬くて有名な魔法の金属の剣を

数本所持するが

父自身の本気の剣技に耐え切れず

1つの武器で2撃しか放てない

他の武具に至っては1撃で砕ける


そのオリハルコン製の武具を

ケーキを切る様に斬り裂き

父に一撃を与えて勝利した

父はショックで若干

うな垂れていたが

よく頑張ったなと

にこやかに頭を撫でてくれたのを

今でも鮮明に覚えている


私の白い秘剣ゲイスダリゲードは

おそらく最硬かつ軽い金属で

出来ていると推測はしているものの

全く確証は得られていない

もしくは私自身が潜在意識で

ゲイスダリゲードを保つ為に

集然が自動的に私自身を

強化しているとも考えられる

そもそもゲイスダリゲードを

持つという願い自体が

その状態を引き起こしている

可能性は十分にあり得るはずで


現に母は重い物を運ぶのが得意だけど

それは重力軽減の魔法を唱えて

運んでいるからである

母はちゃんと一字一句詠唱をしている


そして私は僅かながら神性を持つけど

どの神様からも外れた

全く異質なものだった


でも神様学校に通えた事で

女の子の友達であるハツミリフィ

男の子の友達であるハツミリム

が二人仲良く朱雀と玄武として

新しい世界の神として元気に

やっているというのは私としては

嬉しかった


でも実際は自分達の世界が他の

強い力を持った存在に

蹂躙されようとしている現実


アカナが帰って来るまで

まだまだ時間がある

私は父と念話する事にする

母を通して


「いきなりびっくりしたよ!?」

母はまごう事なき白金の美少女で

一際輝くプラチナブロンドに

純白の澄み切った柔肌

私は母の肌を触った事があるけど

ツルツルで瑞々しくすべすべだった

CMで宣伝している内容の

全てを兼ね備えていると私は思った

そんな母は

プラチナムフェアリーや

ダイヤモンドハイエルフ等

様々な別名を頂き

人かどうかも疑われている程の

美しさだった

でも綺麗に半分神様で

魔王の一柱だった


「ねぇお母さん、お父さんは?」

私は早くメイユールの名前を

父に報告したかった


「はい!今代わりますね」

念話越しでも分かる母の

微笑みは私の3年を

ぬくもりで包み込んでくれた

様な気がした

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