表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
神界攻略編
29/262

第28階 突然の来客

「.,..グフフフフフッフ!!!

魔王よ!!神は滅びぬ!!

勇者キレ・ルイデによって

滅ぼされるだろう!

それが運命(さだめ)だ!!!

彼奴は生きているぞ?

がーはっはっはっは!!!」

目がイっていた

もう縋り付きたかったのだろう

微かでも可能性のある希望に


「そうね、父と意見が合わなければ

話し合うぐらいにはなるでしょうね

でも..先程も申したのだけれども

私はハツミリア・ルイデでも

あるのよ?

私が親なら神々と娘の

どちらの比重が高いかなんて

考えるまでもないわ

それに私の母は

エルフの現王の片割れなのだけども

エルフをぞんざいに扱う事実は

勇者にとってどうなのかしらねぇ

勇者は神々の奴隷ではないのよ?」

神ディンの恐怖に引きつった顔が

私の気持ちを高ぶらせた

更に私は時剣アーザを振り下ろした


神肉が引き千切られ

神骨が引き裂かれる鈍い音と

悲鳴という恐怖の三重奏が

神聖たる神の王の間で響く

滅びゆく主人を見守りながら

そしてこの地は静かに

それを受け止めようともしていた


「ハツミー!!!!」

私を呼ぶ、声が聞こえる

これで全て終わった

エンシェントルーラエルフに

残酷な運命を課した神々の王達は死んだ


七柱目の七大神王の

龍神ククハは

その強さと裏切りによって

神々にとって戒めとして

永久欠番となっていた

魔皇に真っ向から挑み負け

友となり配下となり全てを捧げた


今は(ロウ)一族の王

アルテンとして


"私達"は生きられる

足を持ち手を持ち頭を持った

弱いなら手を握り合い

心細いなら足を合わせ

孤独を感じるなら

誰かを頭に思い浮かべて

進めばいい

私達は生きている

神様がいなくても

十分に力は持っている

私は、いや私達はそう信じている


神々が支配していた

人の世界は三竜王に統治を

お願いしていた

神々が統治していた世界を

更に広げたアルテンさんのリシャ

ドゲートさんのルコ

倶天さんのルガリアとして定められた


私はこういうのは適材適所だと

思う、だから必要だったともいえる



「だ・か・ら!!!

女の子は...例え強くても強い男の人に

守ってもらいたいのよ!!!」

私と注がれたココアを楽しみにしながら

フォアローゼズ達とブネデにある

アルテンさんの王城の客間で団欒していた


「ハツミを守るって

ハードル高いと思うよ?」

イムはミルクをフーッフゥと

冷ましていた


「物理的にじゃない!」

私はムッとしている

それに顔が熱い


「私も焦がれるなぁ」

マテハも苦笑していた

茶柱の立った暖かい緑茶を

口元に近付けながら


「我が妹ながら色っぽい

飲み方しますね〜」

マスカリアが紅茶に

レモンを垂らしていた


「そ...そんな事はない...」

マテハは緑茶を啜りながら

恥ずかしそうにしていた


「守って貰いたいっていうのは

分かるけど弱いって言われると

ムッとするかな」

マユナはコーヒーに

たっぷりとミルクを注いでいた


「と、とにかく

女子は男子が必要な場面がある訳!

だから私は今回支えてくれた

人達皆んなが大切........って事だよ」

私は真っ赤にしていた

告白はこんな感じなのかなぁと

思考がぐるぐるしていた


「ハツミ?」

そこに立っていた

私は聞き慣れた声に

ふと顔を見上げた

フォアローゼズの皆も

口を開けて惚けたり赤面していた


「お父さん...!?」

突然の来客に私は魂を抜かれていた


「...俺さぁ、神様達が滅んだら

ハツミに会えないかと思って

母さんと一緒に飛んで来たんだ..

迷惑だったか...?」

私の父は"神々の夢"と称される

神々と縁が深い存在だった

でも、それは

アオナ・エカルラートしての

幼少の時に既に私は神々と

父は切り離していた

実質言う通りになっていたと思うから

「私は充実もしていたし

お父さんに会いたい気持ちは

一杯あったけど本当に

色んな事が起こり過ぎて

...でも嬉しい」

私はフォアローゼズがびっくりする程の笑みを作っていた

だって大好きな父がこんなにも

心配して飛んで来てくれるのだから


そしてお母さんが現れて

マスカリアは父の為に持って来ていた

葡萄ジュースを落とした

カシャンとグラスが割れる


父は大の赤ワイン好きだけど

アルコールを入れるべきでない

場所では葡萄ジュースを好む

そして...

「お母さん!」


「妹...じゃなくて...?」

私の言葉にイムがパクパクと

口を半開きにしていた


「いつもハツミがお世話に

なっていますっ」

母は軽く会釈した


「私はハツミの娘と思ったぜぇ

禁断の父娘愛?」

今日のマスカリアはえらく艶かしく

私に近付いてくる

私は苦笑していた


「一瞬マジでハツミの恋人かと思った...」

何故か湯気が出て赤らめる


...正直、理由は父が

単にかっこいいからだろう

細身で黒髪で未だに

青年のあどけなさを残す

まぁ夢といえば夢だからね


私達はそれぞれ名前だけの

簡素な自己紹介を交わしていた

ちなみに私の自己紹介は

必要だったのかと

今でも疑問が過ぎる

まぁでも父が笑ってくれたから

良いのかな


「ところでお父さん達は

これからどうするの?」

2人は見合わせて


「そうだな、今日は泊まって明日帰るよ

今夜元神々の世界の新しい国の

王達に呼ばれていてな

確かアルテンさん...」

新しい国が起こった事に対する

祝賀パーティーか


「でもな、ナティラを連れて

行く訳には行かないしな」

お母さんに権力渦巻く場所は

似合わないもんね


「そうだね...」

私は心底そう思う


「何言ってるんだい?

客間の一室をアルテンに借りれば

良いじゃないか?ハツミも一緒に

今日は私達だけで過ごす

予定じゃないか」

マスカリアは私のお母さんのカップに

ミルクココアを注いでいた

お母さんはぺこりと会釈した

それに笑顔で応えるマスカリア


「いや、それは悪いし...ってか

ハツミ?」

いや...その、この歴史的大事件の

主賓だと言いたくないかな


「私は三頂のマテハです

此度の騒動で協力関係でしたので

無理言ってお呼びしております」

マテハが丁寧にお辞儀をしていた


「そうか!ちゃんと皆んなと

仲良くやれているんだな!」

お父さんの笑顔が痛い


いつかはバレる

私は父と母の娘

ハツミリア・ルイデでもあり

エンシェントルーラエルフの

歴史の為に神々を滅ぼした

アオナ・エカルラートでもある

その事実は変わらない


「ハツミ」

お父さんの声が響く


「はい.....」

私の声が聞こえたかどうかも

わからない

"声"として音を伴っていたかも

わからない


「俺と母さんはいつでもどんな時でも

ハツミの味方だからな!」

でも、知っていた

父が私の言葉を残す訳ないと

私もそうだから

父と母の言葉を噛み締めて今日まで

生きて来た私も父と母を心底信じている

それが私の全ての始まりだからだ

神界侵攻編終わりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ