第26階 再臨
「助けられると思っ...」
私が全てを言い終わる前に
時は止まっていた
アオナ・エカルラートと
神アラの座する全ての世界は
全宇宙も
「はぁ..はぁ..アラをここまで」
1人の神は自らの拳を握り締めた
「だが...時に関する技の例に漏れず
私しか動けな.....い.......?」
七大神王の1人である神アーザの
右腕は綺麗に弧を描きながら
ボトリッと落ちた
「何故だ!?全知全能たる我等
神が起こす私の時の技は絶対的に
強力かつ回避不可の必殺技だ!!!」
穴が空いて神液が滴り落ちる
神体の部分を抑えながら
神アーザは怒りと喪失の表情で
背後より腕を斬り裂いた
もう1人の私を睨んできた
「幾つか対策法があるのよ
1つは時の技法の最大効果範囲から
逃れられる次元に座する事
だからこの王剣スウは
動けないでしょ?」
剣が空間に張り付いていた
「時の技法は絶対なる力だ!!
いかなる者も抗えぬ!!!」
怯えている様にも見えた
「それは残念ね、私は
貴方方が座するこの時空以外にも
生きる場所が幾つもあるのよ
だから1つの私は止まっている...」
神アーザは笑っていた
「確かに大技だが一度しか使えぬとは
言っていないぞ
エンシェントルーラエルフの娘よ
一思いにこの神剣で
首を落としてやろう」
神アーザは2人目のアオナ・エカルラートに斬りかかった
握っていた神剣は砕け
王剣スウが振り下ろされていた
空間が軋む亀裂と共に
「グハ!!!」
深々と切り裂かれた
その傷に悶えながら
神アーザはよろよろ
フラフラと倒れ込んだ
「もう一つ簡単な方法があるの
行使された空間毎引き裂くってね
力技が...」
神アーザは怒りに悶えて
ワナワナと震えていた
王剣スウを動かしたであろう
その空間は歪んだまま静止していた
そして無理矢理穴をこじ開けた様な
深い亀裂が力のおぞましさを
表現するに相応しいモノだった
2人のアオナ・エカルラートは
1つになっていた
「お分かりかしら?
確かに時は強力な力の1つだわ...
でもね超位四種族の1つ
星一族は生まれた瞬間から
使用可能なのよ
そして成長する..
それに時への対策は
神々の歴史においても
魔皇ミラース・ラーバ・ラーサが
退いた時に神々の夢たる大勇者は
当然用いる事が出来たもの
魔皇が退くに値する小さな要素
だったのかもしれないわね
時を呼吸の様に扱う星一族の王でさえ
魔皇の配下に過ぎないからね」
何とも言えない表情をしていた
私の王剣スウに斬り裂かれながら
神アーザは絶命した
「ピギャッ?...ヒャハッ!」
私は壊れたアラを私が創造した
地獄に相応しい世界へと乱雑に
投げ込んだ
残る七大神王は2人
1人はミリカンテアに
やって来てドゲートさんに
協力を求めてやって来た
ラウド率いるユグドラシル騎士団を
よこした神ディン
それと...誰?
ていうか..暑い....
私は開けた場所に出ていた
そこには赤いパンツの一張羅の
細マッチョの色黒イケメンが
浮いていた
「.........我が名は神界を照らす神
レ..............ラ.............グフッ!」
私は真っ赤に燃える様に火照った
自らの顔を感じながら
一心不乱にレラと名乗った神を
斬り裂いた、真っ二つに
王剣スウより進化した
時剣アーザで神レラは裂けた
チーズの様に
「これで、あと1人...」
懐かしい力を感じた
一度会った事があるだけ
それでも....
「...キミはアオナ・エカルラート」
そこにはラウドが立っていた
「久しぶりね?....」
私はコーヒーにたっぷりと
投げ込んだミルクの様な甘さの
微笑みを彼に向けた
「キミは...もう逃れられぬ
宿命に足を救われている」
怒りも何もなかった
ラウドの表情は何一つ
「ディンが戦って生命を
全うしろと言うのね?」
私は時剣アーザを降ろした
「何を勘違いしている?
俺は神ディン様の御意思こそ
何よりも優先する重要な事だ」
私がわざと神ディンを
呼び捨てにした事で彼は
きっと怒っていた
「七大神王の5人が死んだ
もう神が生き延びる術はないのよ」
私は穏やかに穏やかにラウドに
話しかけた
「神ディン様がおられる」
私がフッと笑うと同時に
ラウドは至福の笑みを浮かべた
二つの剣がぶつかり合い
片方が砕け落ちた
そして...彼は死んだ
私の時剣アーザで
穏やかに眠るラウド..
私は神ディンの元へと向かった