第２４階 神々の王にして英雄
日は昇りかけていた
今日は神々にとって最も現実を学ぶ
最高の瞬間となると
私は確信していた
優族という人間の戦士を抱える
神々はどうしても日が昇らないと
その実力の本領を発揮出来ない
戦術的に夜の侵攻もありだけど
それは"相手"を
把握している事が前提なはず
私は彼等の先陣が
かつてのメイユールの地に
辿り着いたら
神々の王の地に飛ぶ事にしている
それはもう迫っている
私はシアの宝剣を掲げた
そして翻した。
来る筈
『
その日世界は震撼した
悪魔を始めとする
周辺の強種族も
固唾を飲んで見守っていた
神々の至宝シアの死と
神々の世界が有する最強の軍勢”優族”による
大国から小国への大規模な侵攻
全てが起こり得ると感じていた
魔界の天皇たる
ミラース・ラーバ・ラーサの
神界侵攻直前の様な静けさを
周辺の世界にも与えていた
星一族王の全天と
龍一族の王アルテン
そして
三竜王が一堂に会した状況は
その彼らが持つ偉大かつ
大きな存在感を持ってして
緊張感と圧力を走らせていた
他の全種族の夢である
人間界攻略の礎となる
神々の滅亡
その可能性が
エンシェントルーラエルフの
生き残りたる
弱き神の地"ミリカンテアの勇者"
アオナ・エカルラートに注がれていた
先日神界で起こった
エルフの神隠しは
この為の布石であったのかもしれない
』
〜名高い老いた鬼神の手記より〜
「来たか...神の軍勢は
君の大切な者達を
全て奪うかもしれないが
この様な場所で相打ちでもすれば
止まると思うたのか？
それは実に滑稽だ」
金髪碧眼の綺麗に整った顔に
世界達をまとうといっても
過言ではない強力なローブ
それに殺戮と慈愛を含む瞳に
柔和な微笑み
そして堂々たる振る舞い
「よく喋るのね
仕方ないわ
咬ませ犬だもの
よく鳴くわ」
神界で最も厳重かつ
神聖な場所に辿り着いた
私の言葉に
七大神王の１人にして
四武王の１人にも数えられる
スウと思わしき神は
辛辣な歓迎の言葉と
ほのかに笑みを作ったのだった
「我が名はスウだ」
言葉よりも早く迸った
私の心臓を狙う必殺の雷の一撃は
周囲の宇宙を粉々に砕かんとする
勢いだった
けれど
私はそれらを束ね投げ返した
「...殺したつもりだったのだけれど」
冷酷な視線が私に突き刺さると
同時にスウの左腕は飛んでいた
私は狂剣シアを構えていた
「意味分かるかしら？」
私は微笑んだ
「師...？それにルーか？」
私は剣が見える様に剣を翻した
「ディンはこれに似た様なモノを
ミリカンテアで作ろうと
思っていたのではないかしらねぇ？」
スウはギリッと奥歯を噛み締めた
「ただのエンシェントルーラエルフ
じゃないな？」
スウは構えた
深々と斬り裂かれるスウの右足
「...理由を探さなくても
貴方はいえ神々は貴方方がいう
ただのエンシェントルーラエルフ
１人に滅ぼされるのよ
歴史から隠す為に最期に
駆けずり回っても良いわよ？
この私から逃れられると
お思いならねぇ」
深々と傷が増えていった
あらゆる何かを行使する
全知全能たる力も
発動する直前に全て
私は打ち消し突き刺した
完成された人の願いの前には
神スウは無力だったというほかない
"宗茂 斗羅"という１人の
人の願いは私が受け継いでいる
私はとくに何も考えずに
何もさせずに甚振り続けた
この神は本当に強いと思う
取り乱さず好機を伺っている様が
今も見て取れる
でも私が相手だった
シアと同等の彼が
私に勝てる道理は無い
それに神スウには
時間稼ぎも不可能だった
なぜなら私とシアの周囲以外を
とーっても遅い世界に
していたからだった
「うぐ....」
遂にスウは膝をついた
大分神液も流れ
神体も傷付いていた
「良い表情ね」
私は更に傷を増やした
スウは全身傷だらけだった
「....」
最早応える力さえも
残したいという事か
明らかに私と神スウの力は歴然だった
神スウは何度か異世界に逃れて
体制を整えようと移動を試みたけども
全て潰してあげたし
強力な高次元の雷も
全て軽くいなして消滅させた
分かりきっていたけども
半完より強い訳ないのだった
全ての神の祖にして起源たる種が
私に対して震えていた事実は
変えようが無かった
悔しさを滲ませ
ルヴァイに全てを委ねる他に
私に相対する可能性は無だった
動く事ない事実だった事を確認している
「戦争は何をしても構わない
私もそう思う
だから私は君を殺す気は無い
未来永劫に苦しみ抜いて後悔しなよ
全ての行いに」
私はまた神スウの傷を増やした
「愚かな娘だ
神々は滅びぬ...
また強き神が
お前を討ち亡ぼすだろう」
傷に悶え死にかけの表情が
薄っすらと動く
「私を滅ぼす？
なら貴方がやってみなさいよ
何かして見せてよ
全力で振り絞りなさいよ
メイユールだって魂を燃やしたわ
断言するわ！
私を滅ぼす力は未来永劫存在しない
私は終焉の未来より出でしハツミリア
全ての滅びを束ねるモノ
簡潔に言うと最終未来に座する
未来人よ
人は少し先の未来に
創った神々を棄てた
だからこそ
私には滅ぼす力がある
残念でしたね」
私の現実には神は存在していない
人は神を必要とせずとも
生きていけるという事だった
神の王の間を絶望が包み込んだ
スウはなまじ強過ぎた
他の神々が到達出来ない
場所に君臨していたから
シアが滅んだ今
誰も助けに来れない筈
...だけど...
「１人だけねぇ？
噂程度だと思っていたのだけども
七大神王の１人アーザ」
そこに彼は立っていた
「貴方は"存在していたのか"」
スウは膝をついた姿を確認していた
白と黒に彩られたスウが
