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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
王路院編
248/262

第247階 先輩と訓練施設と

「ラーーーナーーーンーーー」


 良く、透き通る声ね。

私は呼吸をおきながら、噛みしめていた。


「あの先輩?ほんと目立つので辞めていただけませんか?人気者でしょ?」


 めーっちゃ、他の王院生達が見てくるし。


「ああーーー聞ーーーこえないーーー。それで、本題ですが塩を送りに来ましたわ。

というか私は、私との試合で『黎宙』に入らざる負えなくなると思っておりましてよ」


「なんなのですか、それは。

クラレット様次第ですね」


 実は【黎宙】が、一体全体どんな組織か全容が掴めないままでいるのよね。

外界に名を轟かす、この国随一の戦闘集団。ってこと以上でも以下でもないということ。

先代エースの畏怖の影響が際立っていて、歴史上最強の一角として名高いとのこと。


「はい、言質を取らせていただきましたわ!

ラナンが『黎宙』に入ると、クラレットちゃんの周囲に手を差し伸べやすくなりますわ。

いままではクラレットちゃんの許しがあった…フユさんだけでしたけど」


「今までは手探り状態?」


「そのとおりよ。それだけクラレットちゃんの才覚は絶大ってことですわ。

それにどこもクラレットちゃんを引き込みたいのよ。だから牽制し合ってる。

アマランは純粋な善意の好意だけですけど」


 アマランサス御姉様は、純粋に信用してもよいって事ね。


「『黎宙』はどうなのよ」


「私達は優秀な人材が常にほしいだけ、権力だけなら皇帝の次に位置しますわ。

でも私はラナンが『黎宙』に入るなら、少しばかり意地悪な嘘でかき乱しても良いと思ってますわ」


 権力だけなら、ね。


「どういう意味で?」


「なんてね、ですわ。

楽しみですわね、新入生伝統行事」


 少し揶揄われたということね。


「えぇオーニソガラム様、私も楽しみになってきましたわ」


 私もオーニソ先輩も心の底から笑い合っていたと、そう感じていた。


「それででしてね。ラナンには『黎宙』の訓練施設の見学を行おうと私は狙っておりましてでして。

そういえば…私の兄のアルタイルとベガが大変お世話になりました。

なんでも、お兄様の脅しの斬撃を撃ち落としたそうで」


 オーニソ先輩の表情は目が笑っていない笑顔だった。


「さすがにあの速度でカランを狙われたらね。カランに少しトラウマ植えつくでしょ?」


「…お兄様は戦闘大好きッ子だから、すぐ熱くなるのよね。悪い癖です。

普通はそれをはねのけられないって…非常識過ぎる戦闘能力ですわ。

それで訓練施設の見学に行く?てか先輩命令で強制していいかしら。もうラナンちゃん持って帰りたい」


 オーニソ先輩の苦笑は薄くなっていき、表情は穏やかでゆるんでいく。


「私は人形とかじゃないですし、見学なら行っても良いですよ。

実は興味あります。誰もが簡単に入れない施設」


 これは今回は根負けかもしれない。

誘われてみてもいいかなっていう心持ち。


「よし、言質を取りましたわ」


 そう言うとオーニソ先輩は何やら黒いカードを取り出し、

何もない空間に対して縦方向に切った、すると空間が裂けて戦地の様な空間がのぞき見える。


「飛び込んで!あとで説明する。剣は向こうでいいわ」


私はオーニソ先輩の後に続いた、その後、数秒で裂け目は消えてしまう。


「…この設定はプラですわ。かの月人の地の、いわゆる高難易度設定になってますわね。

ラナンちゃん難しいの()る?って分からないですわよね。

簡潔にもうし上げると、過去の戦争における戦闘を疑似体験できる施設ですわ」


 過去の戦争ねぇ。


「次から次に敵兵が襲い掛かってくるのではっ倒すだけですわね。

今は二番目に難しい第三次 月人戦役の設定ですわね」


「血とか、腕が散ったりするの?」


「もちろんそういう設定もできますわよ。

プラはそういうのを基本は好まないので、腕は斬れますけど、血は出ないですわ。

死体も光の粒子になって即座に消滅しますわね」


 第七世界における電子遊戯(ゲーム)の様な設定になっているってことかしら。


左手の掌の上で練って発動

ーー神異特異


右手の掌の上で練って発動

ーー十白亜 すべて

世治。


「このままの設定でいいわよ、正直なところよく分からない」


 まずは各個撃破といったところかしら。


「…そうね一度やってみないと難易度設定も何も始まりませんですわね。

ラナンちゃんのおっしゃる通りですわ。

それでは開始で」


 雷が滑り込んでくる。

右背後に高速で動く蛇の様な火。

そして上方に強風の塊が。


「相手の月人達は一人で四つの特殊能力を持つ

私達最大の難敵でしたわ」


 難敵でした?

過去形なのは違和感あるわね。

とりあえず狙われているみたいだし。


【神異特異】で斬り付けつつ。


左小指で練って発動

ーー至常超 はやさ

世治。


 私がいなくなった空間に人々の攻撃が現れていくが

すんでのところで同士討ちを躱していく。


 【十白亜 すべて】で斬り裂き、まずは一人。

とりあえず数を減らしていく。


 入れ墨が多いほど、強いのかしら。

描かれている入れ墨が全身に広がっているほど高度な魔法を使っているわね。


【至常超 はやさ】での移動中に足で裏で練って発動。

ーー流爆星 十白亜

世束。

 五芒星。六芒星。七芒星。の三連撃。父に習った技の一つ。


 【流爆星 十白亜】を握り、

氷の足で空間をすべらせながら、

斬り裂いていく。


 最初に出現した月人達は撃破した。

でもこの月人達、四つの特殊能力を持つとの説明通りに、

自己強化、私への弱体、防護結界などの絡め手が随所に見えた。


 でもこの戦力差なら移動に世束を使わなくて十分かも。

まぁそんな攻撃も来ますよね。

私は背後に瞬間移動移動してくる集団に、首を狙われていた。


 【十白亜 すべて】に映り込む数多の殺気。

【神異特異】で斬り付け、雷の遅さで緩急をつけて、光の速さで彼ら彼女らと向き合い構える。


ーー十知未 十白亜

世束。

 魔法の刃を十字に重ねて物理と魔法で敵を斬り裂く、父に習った技の中では初歩技。


ーー低速

星魔法。

 月人達の動きが遅くなっていく。


 なだれ込んでくる月人達にそのまま【十知未 十白亜】で迎えていく。

氷の足は忘れずに。

よく使ってきた身体を自然に変化する系統の【集然(わたしのまほう)】は無意識に近い感じで発動できるわね。


 それもあるか。それに練るために必要な量がすぐに集まるわね。

世束、世治に比べても少量だし。

さすがに少量といえど、普段使いしないに分類される星魔法は、無意識下での発動は意識を浸透させる必要があるわね。


 刃の煌めきに魔法が迸り視界を掠めていくけれど、すべてを置き去りにしていく。

身体は常に軽く、風、雷、光と緩急を付けながら躱していく。

途中で組み合わせを変えて緩急の付け方を変化させないと、さすがに光でも追いつかれてしまいそう。


 そして意外と脆いのね。月人って。

一部は時魔法やら特殊魔法で抗ってくるけど。

【神異特異】からの【十知未 十白亜】で技を使わずに一撃か。

 

 隙間を這う様に【十知未 十白亜】で染めて糸を斬る様に命を絶っていく。

四肢、首、背骨、腹。触れるだけで、光の粒子になって即座に消滅していった。

オーニソ先輩の話通りね。


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