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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
王路院編
245/262

第244階 私達の魔法

 時魔法の授業以来、クラとフユさんは同じ教室の方々に囲まれるようになっていった。

目に見える形で魔法の腕を比べる機会は今までなかったから、浮き彫りになったともいえるわ。

彼女達の魔法の腕は、皆が皆うっすらと感じていたみたいだけど。


 だからこそ、この時間が取りやすいともいえる。


「おいぃぃぃ!!!ラナンどうしてなのよ!

あの2人だけ規格外ってことになってるけど

ラナンも本来はすごかったでしょ!?」


 授業の合間の休憩時間も、二人で過ごす事が多くなっていった。

クラとは実は秘密裏に時間を創ってというか、引き延ばして会っていたりはするのだけれど。


「まぁ、いいじゃない。元々どうあがいてもクラは、

表舞台で華やかに賞賛されて、愛される運命なんだから」


 だからこそ。私は彼女を皇帝にする。と決めている。


「それより、ラナンはあれだけ強いからいいにしても…」


 私はカランの口に肉を突っ込んでいた。たれにたっぷりと浸して。

この地の特産品を肉の芯までしっかり焼き特製のたれと白い宝石と謳われた米と共に食べる

王院きっての不動の大人気メニュー。


「入学当初を憶えているかしら?

カランの魔術の様なもの。私には通じなかったのだけれど」


 何かを思い出したように、私の言葉を肯定するかのように

カランは深く頷き、納得した表情で応える。


「あの術がどうしたの?」


「私はその術を使える。それにカランの力がほぼ使えない理由も知っている」


 そもそも私は、理由という名の前提条件を履き違えていた。


「ラナン?」


「貴女が私を見つけたのは、その術を持つカラン自身を肯定しているから。

それにこの地にはほぼ魔力が存在しない、それがカランが他の力を使えない理由。

それにあの術は血の濃さの影響が強く、その術を知る者の数が圧倒的に少ない」


「でも授業では魔法を使っているけれど…」


 カランは首を傾げる。


「仮想魔力を創ってそれを利用しているから。魔力の流れだけを利用する考え方だわ。

だからあの術は、この地では人に行使するよりも、誰かが生成した魔法に向けると優しいかな」


「魔法に向けると魔力を吸収できるってこと?」


「そういうことよ。そしてこの地の人類は魔力を基本、体内に留められない。

だから吸収した魔力を留めることを覚える。のが最初に私が教える事なんだと思う。

それで合っている?」


 カランは何度も首を振ってうなずいて肯定していた。


「そしたら今日の放課後、私と魔力の留め方を習得しよう!」


「ラナンありがとーーー!!」


 カランはこの後の授業を前向きに受けていた。

時魔法の授業から2日間、顔を上げて伏せてを繰り返していたカラン。

とりあえず元気とやる気を取り戻せてあげれてよかったと思うわ。


 それから授業も終わり、カランが席に来る。

相変わらずクラとフユさんは人気ね。


「ラナン…どこで行うのよ?」


 私は人差し指の指先をくるくるしながら、カランの手を引く。


ーー感認識 持続減

世束。

 世界からの私達への認識を薄れさせていった。

ごくごく自然に。


「ちょっと!?」


 私達は王院の校門まで来ていた。


「この辺りなら」


 歩く間に十分すぎるほどにね。


ーー創空間 せかい

世治。

 今踏みしめている大地のある世界と同じ法則、真理、時空を持つ世界を創り出す。

誰も知らないどこかにもう一つ世界が生み落とされた。


ーー繋空間 とおす

世治。

 私とカランを包み込んで、先程創った世界へと導く。


ーー繋空間 ふさぐ

世治。

 辿り着いた私達。だから通り道を消す。


 そして私は、人さし指のくるくるを自然に止めていく。


「さぁカラン、始めよっか?私達の魔法の訓練を」


 カランは静止していた。

時魔法の【停止】を行使した憶えはないんだけどね。


「な!なによこれーーー!!」


「人類がいないこと以外は、すべて同じ環境よ」


「やっぱすごいわよ!ラナン!」


 私は丁寧にお辞儀する。

思えば完全に同じ人類だけは、容易に創れないことを考えると思うところがあるわね。


「それで魔力の留め方なんだけど、少し勝手が違うだけで割と容易よ、カランならね」


私は指先をはじいて熊ほどの大きさの火球を上空に打ち上げた。

ーー小火球

集然。


ーー上昇

星魔法。


空を指先でなぞり、練って発動。

ーー液魔法 まほう

世治。

 これはかなり近いはず。


 火球が下降に切り替わるまでに授業の応用をしないと。

カランの液体魔術の操作力は私よりも上。

私は創った液体を腕に塗る、この液体はかなり【集然わたしのまほう】より。


「下降してきた火球を、カランの魔術で受け止めて、

どこに行くかは感覚で分かるだろうから、授業の『停止』で包み込み。

漏れ出す魔力を『巻き戻し』で循環させていく」


 ラズベリーの技、吸収なんて懐かしいわ。


「『停止』の負担を軽減するために『巻き戻し』の力を増減させて、

あふれない循環を作っていく。慣れたら『巻き戻し』だけでもいいわね。

負担をかなり軽減できるし」


「授業で習ったことが使えるのね!挑戦しがいがあるわね」


 表情が明るく変わるカランに私は満足していた。


「そうね、『巻き戻し』の循環を常に行使し続けるのを覚えてしまえば、

他にも応用が利くわね。常に『早送り』の影響下に身をおいたり、炎を纏わせ続けたり」


「炎の剣ね、熱いわね」


「斬る瞬間、触れる瞬間だけ。という芸当は常に纏わすよりも防御を貫きやすくするわ。

視覚的にも死角的にも。

炎を軽減する魔法を行使されたら、炎を付与せずに、そのまま斬れば問題ないしね」


 私は【液魔法 まほう】をカランに付与した。

これは疑似的に魔力を授ける形に近い。


「これで、授業に酷似した時魔法を使えるわ」


 授業の液体魔法は、女性が美しくなる様に作られ改善されていった化粧品が元になっている。

だから女性の方が魔法適性が高いんだと講義で習ったわ。だから肌に浸透していく。

効力がない訳じゃないらしいけれど、男性にはもっと効率が良い方法があるみたいだわ。


「でも私はそんなに上手じゃなかった…」


「魔力は魔法の影響を受けやすいから、大丈夫よ。練習あるのみ!」


 魔力が留められないということは、流れがあるということ。

新しい流れを生み出し操作していくことに今回は大事さがある。

それを習得すればカランは飛躍的に伸びていく。

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