第214階 天還路の頂点捕食者
「すごいわ...あんな芸当、とても真似できない...」
ナカリタさんに微笑みながら私は7発目を処理する。
「速いだけの銃弾とは違う...あの光弾を斬るってこと自体、次元が違う様に見受けられる...」
「ナカリタが驚いていたので...ちょっと表面的に調べてみたんですけど、あの光弾ってそもそも斬れる様には出来ていないです...」
「「「!!!」」」
「ラズは普通に斬っているのだけど...」
「アリル!それってどういう!?」
キキョウにラングくんが驚きを口にしている。
その間に8発目。
「あわわ...」
「あの光弾って空気の様なものだからね。空間を遮断しないと分けることはできないわ」
「それって...どういう...」
「分かってはおられるけど、それは逸脱し過ぎていて信憑性が感じられないってことかしら」
「だって、そうよ!真理を捻じ曲げているって事でしょう!?」
「そうね、正解よ」
お答えして、9発目を処理した。
「それに多数の光弾をさっき防げ切れたのも奇跡に近いです...」
アリルちゃんが聡くて話しがややこしくなる!とか思いながら10発目も彼方へ飛ばして処理していた。
「ギギギギギギギ!!!!!」
突如出現した異様な光景は私以外に驚きをもたらした。
「周囲を旋回しながら近づいているのは分かっていたわよ、鉄屑」
目の前の異質なガトリングガン、“オデッセイ・オメガ・オブリヴィオン”はところどころ削れていて誰が見ても修復が必要な状態だった。
「ラズちゃん、まさかあなたは軌道を逸らして光弾を当てていたのです?」
「まったく、アリルちゃんは本当に物分かりが良過ぎね。私以外ならどんな相手でもあの光弾は真っ直ぐ進むもの」
私は牽制する為に漆黒の刃先をオデッセイに向けていた。
「たとえ、世界を救う相手でも世界を滅すような相手でも世界最強でも等しく」
至近距離から放たれる殺戮の光。
「対処方法は躱すか防ぐかの二択、私以外のすべては」
私は瞬時に光弾の下に回り込み切り上げた。
「軌道を変えるのに距離が必要だと思ったのかしら、嗤える」
キキョウの上方に移動したオデッセイに光弾が直撃する。
「私が授かった魔法ってとても便利でね、詠唱破棄な上に私を構成するすべてのどこかに触れていれば発動できるのよ」
恐怖も痛みも知らない大運刃と呼ばれる超刃達の頂点の一角は殺戮の手を緩める事を知らない。
緩めないからこその抜刀した白亜による光弾への突き刺し。
予定通りオデッセイの光弾を放つ部位が粉々に弾けた。
「光弾の生成に時間は必要ありません...」
正常な時の中でアリルちゃんが呟く、諦めだったのだろうね。
だって私達はオデッセイが作り出す死地にいたはずだもの。
「ギギギギギギギ!!!!!ギギギギギギギ!!!!!」
「あなたは私に絡め取られて鉄屑になっていくだけよ」
本当に強くなったわ、天還路に堕ちた数多の人に忌み嫌われたモノ達を吸収し、研究し尽くして。