第210階 美少女と美女
「獣人狂食。ありとあらゆる異世界の中でも最も獣人が栄えた異空間国家を滅ぼしたことで闇に葬られた禁断の名よ」
「オナー・ハリドム・ホープ...」
ラングが息を呑む音が聞こえてくる。
「それを倒しちゃった...」
キキョウが目をまぁるくして驚いている。
「まぁ、2回目だし。オーナーが滅ぼされるの」
「この地にいる、そういうことなんだね」
「私達と君達は例外」
「!!!......倒されていないからか。それでどうやって滅ぼされたのかも知ってるのかい、知っていたらでいい...」
私は引き抜いた白亜を握り締めて掲げた。
「この剣を握っていた先代が仲間達と共に斬った。というところかしら」
ラングが応えるように苦笑する。
「因縁っていうのかな、そういうの」
私は漆黒を引き抜いた。
「縁かな。こっちの黒い剣は鉄屑達、彼等の亡骸の上に出来上がっているから」
「なんていうのかな、この気持ち。単純に凄いや」
「ありがと」
真っ直ぐな言葉に私はなんだかくすぐったくて感謝の言葉がふいにもれてしまっていた。
「もっと、もっと強くなって仲間達を守れるようになりたいんだ」
ただ純粋に紡がれる彼の言葉には仲間への想いが込められていた。
「ラーンーグーーー!!!」
「ラング!ずいぶん探したわ!!」
「アリル!ナカリタ!」
金髪の美少女と水色の髪の美女といったところかしらね。
「アリルと...」
「よろしくお願いします!!」
金髪ですっごく細身の彼女に、
「ナカリタ」
「ラングが世話になったわ!」
水色の髪の長身でスタイルがよい感じの
できる女って感じかな。
「そしてこちらがキキョウさんと...」
「よろしくお願いします」
キキョウが深くおじぎをする。
「ラズベリーさん!」
私は軽く会釈をした。
「あなたできるわね」
ナカリタさんに唐突に話しかけられて私は困惑していた。
「どういう感じでそう思われたのでしょう」
「なんだかね、アリルと似たような雰囲気を感じるわけ」
「それは光栄ですっ。アリルさんはどのような方でしょう」
私はあえて凄い力を秘めているのですかとは問わなかった。
「純粋で無邪気で守ってあげたくなるような!それでいて...とてもとても頑張り屋さんだわ」
「私よりすごいと思いますよ」
ふいに手にぬくもりを感じた。
「私、すごくありません!ラングやナカリタの方がとってもとってもすごいです!!!」
アリルちゃんに私は手を握られて熱弁されていた。
「いや、でもラズさんいなかったら切り抜けられなかったし」
ラングが苦笑している。
「それってもうラングにとっては仲間だっていうことなんです!ラングは、ラングは仲間のためにすっごい力を出しちゃうんです!!」
「私と似ているね、私はキキョウのために無我夢中だったからあんまりおぼえていないかな」
「まさしくラングだわ!」
ナカリタさんが苦笑していた。
「それで本題に移っていいかしら」
私の言葉に2人の女性は暗い表情をした。