第207階 奇襲
「こんなに綺麗な場所なのに僕等の命は囚われているなんて」
私は小さく微笑んだ。
「綺麗だからこそ、囚われやすいのよ」
私が確認しうる限り、青年ラングは想像以上の強者だった。
それこそ3、4度尋常でない事象と触れ合い真直ぐ成長すれば、かの七賢人達に匹敵する様な。
「綺麗だからこそ...なるほど。
勝利の算段はあるのかい?アレは僕が出会った中でも5本の指に入る強敵だと思うよ」
「通過点に過ぎないわ」
空気が流れていた、流れるはずのない。
そして止まる。
私に気圧されて。
一瞬なにかが止まる。
ラングは構えた。
私はキキョウの位置を横目で確認する。
神異特異の範囲に入った哀れな鉄屑ね。
「ま、対象範囲なんてどこまでも。なんですけれど」
刹那。
空間に空気が通り、光が空間を叩きつけられた。
ーー輪転
収束されたエネルギー波の進行を抜刀した白亜で捻じ曲げた。
「!!?」
「ねぇ、怯えているのかしら。感情を持ってないくせに」
ラングとキキョウを一直線で狙った攻撃を行使した何かへと侮蔑をぶつけるように。
「でも、無駄よ。私の仲間なんだから」
「た、助かった...」
ラングが驚いている。
「ラズ...」
私は安心させるように2人に微笑みかけた。