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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
大魔法神聖王国エテメンアンキ編
196/263

第195階 扉

「キキョウ!行ってみようか」

 新しい魔法を習得したキキョウに今にも、どこへと問いかけられそう。


「彼等が目指したギルド本部にね」

ミラースとミアの次の目的地。


「あるの...!?」


「あるといえばある、ないといえばある」


「あるんじゃない!」


「今は時空の海の片隅に漂流しているのよ、普通には見つけられない。全知全能だとしても」


「神様でも見つけられないって、どこにあるっていうの」


「全能の忘却が機能するから。次元の海の片隅、いわゆる次元の狭間に溶けてしまっている。だけどあの世もこの世も総てを可能に変える力を私達は持っているわ」


ーー覚願

 覚めている願い。

 今はもう、常世の闇に抱かれて眠っている人々の願い。

人や土地の小さな記憶を束ねて眠ってしまった願いを紡いで形にする。

「ギルド本部への道...!?」


「そうよ、何も転がってはいないけれどね」


「お、脅かさないでよ!」

 キキョウをちょっぴりからかいながら次元の海を進んで行く。


 キキョウの次元の海を進む力の使い方はだいぶ手慣れてきていた。

次元の海を進む時、言葉を音にしなくても内なる願いとして表現出来ているのだから。


「...なんだか、今にもほどけて消えそうな」


「実際に物質を使ってここに在るわけではないからね」


「...私は、魔法に成っているのでしょうか」


「それに近いわ。地上の人が当たり前に持っている、身体を伴ってこの次元の海を進むことは不可能だから」


「理解が追いついていないです...」


「感じることよ、この時の流れを在るがままに」


 キキョウを覆う魔法系の流れが安定し始める。

おそらく、考えることをやめたのだと思う。


「少し、楽になりました」


「えぇ、かなり研ぎ澄まされているわ」

そんな事を言っていた私達は、もう辿り着いていた。


「ギルド本部の門...でしょうか」


「そうね」

 私は門を開けて、進むようにキキョウを手招いた。


 一歩一歩、多くの人が笑い合い未来と平和を語りながら歩いたであろう大きな道を進む。


 白亜の石柱で囲われ、緑が生い茂る領内。

その中心に円形状の建物が見える。

それは、一代で財を成した富豪が集めた一級品の数々を貯蔵した美術館の様にも思える外観だった。


「凄い...」

 キキョウが建物を見上げて急に立ち止まる。


 目の前に大きな扉が静かに佇んでいて、こちらを観察しているようにも思える。

 まるで、待っていた。

不思議とそんな気持ちにさせられるのはいつものことだった。

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