第192界(階) 聖王堕死
ギルド本部への道を僕等は進んでいた。
周囲には虫の抜け殻のように水分が失われた人だった何かがたくさん転がっている。
全天に掴まれ、進む予定の場所を見てきたミアからは感情が失われていた。
「想像以上に悲惨だった？」
充満している死の臭いに体調を崩したサクラハのために僕、モモハ、アルテンは休憩をとっていた。
「悲惨なんてもんじゃねぇ...怒り以外に何も感じなかったし怒りまくって疲れた...」
「ギルド本部には入ったのかい？」
「我から見ても異質過ぎる」
「お腹が膨れて眠っているのかな」
「ミラースよ、それはまさか...？」
「例えにはなるけれど、生命力を魔力に変換させて吸収しているなら殺されたギルド員が干からびているのも納得できる」
「おい...！！！なに言ってやがる？そしたらこいつらの生命は魔力を得る為だけに利用されたって事かよ！！！！」
「あくまで可能性の話だけど？」
「皮が無傷なのもうなずける、必要なのは生命が染みた部分のみ...か」
アルテンの言葉一つ一つにミアの表情が悲痛になっていく。
「それとそれを裏付けることがもう一つ。
禁断の地が七つあるとミアがいっていたけど近くに７つある異質な地はそのどれもが魔力量が異常なんだよね。
ちなみにこれから僕等が向かうギルド本部もそれなりに魔力量は高い」
「くそおおおおおおおおおおおお！！！！！
アルううううううううううううう！！！！」
ミアのいきなりの叫びに皆驚いていた。
「何かが、反応した」
魔力の微かな流動が感じられた。
「！！？」
「アルって叫びに」
「おい魔王！！！アルは生きてんのか！！！？」
「そのアルってのは誰だい？」
「えと...その...好...いや...幼馴染だ」
顔が真っ赤のミア。実にわかりやすい。
ーー魔流胃袋
鞭の様な魔力の流れを作り出し、触れた魔力を吸収する。
ミアの後ろで吸収反応があり手応えがあった。
姿形が見えない何かに。
「ななな！なんだよ！その毒々しい紫色の魔力はよぉおおおおおおおおお！！？」
「僕は魔法を創造できる、自分の思いのままに」
「いやそうじゃなくて！！！」
「ミアを助けて欲しいと僕だけの女神にそう願った、魔神かも邪神かもしれない唯一の僕の女神に。そんな彼女が授けてくれた技さ」
「まぁ理由はなんであれ、助けてくれて...あんがとよ」
はにかみながら頭を少し下げるミアに僕は緩んだ頬を隠すことはしなかった。
