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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
大魔法神聖王国エテメンアンキ編
192/263

第191界(階) 無知無能

「なぜ悔し涙を流すのか?それは無知ゆえに敗北したから。なぜ流し続けるのか?それは無能であると知ってしまったから」


「!!!」


「その憎悪の正体はなんだ?」


呪術の類いで僕を殺そうと試みた男の睨みつけてくる瞳を真っ正面から見据え、続けた。


「神が与えし無知無能の真理を破るために諦められないからだ」


「...無様だな、否定できない」

男は笑った。


「僕と同様に」


「!!!!?」

男は驚いた。


「凍えて死ぬよりも抱いた思いが燃え続けて果てない。そうだろう?」


「...」


「それはなんだ?」


「どうせ、死ぬ...か。いいだろう聞かせてやる。俺はギルド最強の看板を背負って人々の為に命を賭して戦いたかった」


男の下半身は凍り付いてしまった。

辛うじて正常に動くのは喋る事だけだった。


「ただ、それだけだよ。ざまぁねぇな...気付けばギルドの革命軍の看板を背負って昔の自分を否定して生き続けた、俺と同じで人々を愛しギルドに拒まれた者達を背負って...な」


「ギルドは死んだ。魔力はもちろん、生命力が感じられる僕にはギルドにこの状況の全てを打開する力、そして抵抗する強い思いは残っていない」


ーー氷中生球を解いた。


「足が温かい...」


「情報提供をありがとう」


「...なんだと...」


ーー流結引摺

流れてしまう物、事象を止められ移動できる。

流れる血の他に忘却も止めることができ、血液確保、情報伝達に使用出来る。

求められる主としての用途は死者の記憶を生者に移すことだ。


「主よ、哀れな末路だな」


呪術の類いを使用していた者達は皆等しく干からび絶命していた、本来ならとっくの昔に。


「だからってよぉおおおおおおお!!!」


「全天もミアも思い思いはあるだろうけど、今深く考えることではないしどうでもいいんだよ」


「さすがは主!!」


「どうでもいいってなんだよ!!!どうでもいいって!!!?」


「必要な情報は集めた、ギルド本部へ向かいたい、だから拗ねるなって」


「...いや、そのさぁやり方は間違っていたさ。でもなぁどうにかしたいって思いは本物だったはずだ、魔王だからって殺さなくても」


「どうせ死ぬさ、呪術なら可愛いもんさ。使わされていた術はそんな生易しいものではない」


「精神寄生による一部の感情の増長を彼等は何十年も前から受けていた、その副次的な力を使用していた」

アルテンの言葉にミアの顔が悲痛に染まっていく。


「その精神寄生を離せば宿主からの供給が得られずに死ぬ、そもそも生命活動を維持する身体的器官を魔力への変換による交換によって全て奪われ尽くされていたからね」


「彼等の身体が妙に流動的なのは既に交換済みだからか、ミラースよ」


僕は黙って頷いた。


「おいおいおいおい!交換済みってなんだよ!生命は機械じゃねぇぞ!!」


「そういう問題は未来の英雄であるミアが今後なんとかするとして、例えば歴史上に大きな事件とか無かったかい?大戦争とか」


「...未来の...英雄......。ったくしゃあねぇなぁ!歴史は詳しくねぇけど、人が近寄ってはいけない禁断の地が七つあるらしい。アルなら詳しいかも...って!お前らいくぞ!!!ギルド本部へ!!!こうしちゃいられない!!!」

ミアは全天の方に駆け寄ってじゃれていた。


「...ミラースよ、何か感じるか」


「もとより七つの不可解にねじ曲がった場所に向かっているのだけどね」


「...まったく、末恐ろしいな」

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