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第187界(階) 時の亀裂
ーー逆針
不意に空気を裂くような何かに肌を撫でられ僕は咄嗟に自身への影響を打ち消した。
そして周囲を見渡す。
空間が歪み、10秒前に戻った。丁度アルテンの背から降り地に足が着いた瞬間だろう。
だけど僕はその位置から外れてすでに立っている。
ーー密手広大
僕はとりあえず、時の密度を高めて2秒目で片付けることに決めた。
何が起こったのか、把握できた僕はある魔法を使った人か何かを探すことにした。
「主よ、法則が乱れた認識で合っているのか?」
「合っているよ、全天!」
「影響はなかっただろう?」
「あぁ、全く」
その時だ、とても小さな魔力反応が膨れ上がるのを感じた。
「ああああぁぁぁぁ!!!くそっ!!!!」
ーー猫耳の子供が大粒の涙を流しながら、目の前の現実に抗おうとしていたーー
「耳がある...?」
一段下位の次元で密手広大を行使して正解だった。
「子猫か?」
「さぁな、だが原因ははっきりしただろう?相棒!」