第185界(階) 口開
ーー針解方間
人間を始めとして全ての有機物、更に無機物は大小様々な点の集合体から形作られているという思想を元にしている。異質な針を通して完成した物質の隙間に別の異質な物質を添える事で整合性に変化をもたらし物質間の安定を霧散させた
「ミラース、見事というほかない...神々は全能を有してこの火炎龍と呼ばれし事象を越えてきた...。
そして神界の名高い研究者達の間で次元の口と命名され全知全能以外の手段では超える事は不可能と凍結された研究に可能性を提示した。これは歴史的瞬間でもある」
「何を驚く、主にとっては容易い事だ。だから成るんだろう?魔王にな」
「...そうだな、容易いな私達の魔王様にとっては」
アルテンは穏やかに微笑んでいた。
「よし、これで世界を超えられる」
「世界をこえる?」
サクラハが首を傾げる。
「もっと遠くに飛ぶって事さ」
「...うん!アルテン様に乗ってもっと飛ぼう!ミラ様!」
「よし、行こう!」
ーー時空飛行
ーー中心持続
アルテンの背に乗って僕等は大きく開いた穴の中心をなぞる様に飛んでいた。
「流石の時空間でさえ多少の影響があるな」
並行して飛んでいる全天からの念話だ、全天には遊撃機の様な役割をお願いしている。
大きな穴を空けたとはいえ、次元の口は押し広げられただけなのだ。
「時空が乱れている...」
モモハが心配そうに口にする。
「でも、なんだろう、すっごくワクワクして身体がポッカポッカする!」
サクラハの目が天の川の様に輝いていた。
あまりの愛らしさに2人の頭を軽く撫でていた。
時空の青さとは対照的に嬉しそうに赤らめていたのがとても印象的だった。