第17階 星一族の王地"ルイタルア"へ
私はリシャの地に戻ってきた
「ただいま」
誰もいるはずなく
風を虚しく切ったはずだった
(そろそろ帰って来る頃だと
思いましたよ?...)
雷が小さく鳴り響いて
念話と共に彼が現れた
「えぇ、ただいま道案内
頼めるかしら?」
倶全君は穏やかな表情で進みだした
「そちらはどうなの?」
(首尾よく進んでいると聞く
何でも世界皇帝になる下準備を
始めるとか瀏君は言っていた)
「へぇ〜、まぁ順調ならいっか」
私達は龍の王の間の前に辿り着いた
「開けよ!!!」
アルテンさんの声と共に
荘厳な大きな扉が開いた
「我が名は龍一族の王アルテン
それではアオナ・エカルラートよ
問おう!何しにこの地に赴いた?」
圧倒的な存在感と威圧感
超位四種族の一角にして
ドゲートさんと倶天さんと同じ三竜王、
更にマテハと同じ三頂の1人
私も気を引き締めようと思う
「私の名はすでにご存知かと思うが
アカナ・エカルラートの妹たる
アオナ・エカルラート!!
この地には協力を求めてやって来た
私は信頼を得る為に
包み隠さず話そう!
今しがた四武王の1人"ルー"と
同じく四武王にして七大神王の
1人たる"シア"の首を落とした
私は超位四種族の1つ
エンシェントルーラエルフの
尊厳を謳い神々を滅ぼす!!」
私の言葉にアルテンさんは
臆す事はなかった
「面白い!
マテハより"我が友"からの書簡は
すでに我が身に届けられておる!
神々と相対しようというのか!
熱き血潮が滾るわっ!!!」
豪炎のような熱き叫びが王の間に響いた
「して何をすればいい?」
アルテンさんは思っていた以上に
神殺しに乗り気だった
(まぁ良いじゃないか?
三人で一緒にいたいんだよ)
斗羅が何かを押し殺す様に
笑みを作り語りかけて来た
「いや、しばし待て!
まずはデザートを用意してある
それを食してから話し合おう
それに仲間達は食べ始めているぞ?」
アルテンさんに手を引かれて
私は豪華な客間へ連れていかれた
「「「「お....おかえり!」」」」
マスカリアがモグモグさせていた
口を抑えながら
マテハが口を丁寧に拭いていた
マユナが口に頬張ろうとして
イムが....
「イム...?」
イムがおかわりのお皿を5つぐらい
運んでいるところで
私は
「ただいま」と
笑顔で伝えた
それから7人でリシャで取れた
果実のデザートをいただいた
作り方はドゲートさんが
アルテンさんに教えたそうで
「協力の件に関しては最後の
星一族の王の全天さんの所へ出向いて
その後一度4人を集めます」
もふもふとマスカリアの頰が
デザートで膨らむ音が
なんとも可愛らしかった
「こら!イム!」
私のお皿のデザートがイムの
小さなお口に溶けて消えていった
えへへと苦笑するイムの代わりに
マテハが私にデザートののった
新しい皿を差し出してくる
「ありがと!」
私もデザートを口にいれる
「全天と倶天にドゲート、
それに私だな...
だが神ディンの側近に
神スウの師であり
もう1人の父親の様な存在である
シアの首まで落としたとなると...」
アルテンさんもデザートを
自らの口に放り込んだ
「大軍で攻めて来るでしょうね
でも、残る首は7柱だから
7回剣を動かせば良いから
大丈夫じゃないかな?」
私の言葉にアルテンさんは無表情だった
「あの人類最強のルヴァイは
ハツミ1人に圧倒されている、
心配はしなくていいよ」
マテハがそうアルテンさんに告げた
なんだか信じられない事ばかりだなと
アルテンさんはぼやきながら
微笑んでいた
和やかな雰囲気のまま私達の
心も一緒に満たされていた
私は神々が攻めて来る迄に
メイユールと決着をつけねばならない
斗羅が魔皇ミラース・ラーバ・ラーサとして
そうしたい様子だった
口には出さないけども
ルー戦での怒り様から
"何かある"と踏んでいる
私は傍観者を決め込みたいけどね
私達はアルテンさんが星一族の地まで
乗せていってくれるというので
御言葉に甘えてみた
「行くぞ!!」
アルテンさんは魔法を使い自らを
東洋の龍に変化させた
それはそれは白く美しい
黄金の角の生えた幻想的で神秘的な
龍そのものだった
私達は優雅に星一族の王が住まう
"ルイタルア"の地へ