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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
大魔法神聖王国エテメンアンキ編
176/263

第175界(階) 魔法研究

まず初めに僕には剣術、槍術、弓術、武術に代表される物理職の適性はなかった。

むしろ努力しても伸びる事はない枷の様なマイナス補正がズラリと並んでいた。

火属性、水属性、風属性に代表される魔法適性も変わらずマイナス補正だった。

どちらもステータスウインドウとして神族のルテミスさんから見せていただいたから知識として頭に入れている事だった。


けれど僕には2つのスキルがあるそうだ。

創造者魂と魔感だ。

前者は厳密にいえば創造者魂と似て非なるスキルだった。

この力は現実においてクリエイティブな職業になりたいと思う一歩の事らしい。

後者の魔感は端的にいうと繊細という事らしい。

まぁ、どちらもルテミスさんいわく戦いにはまるで向かないそうで。

さらにどちらも特に秀でた才能があるから持つスキルではないそう。

けれど僕は魔法を使える、それは紛れも無い真実だった。


あくまでルテミスさんの見解は神々の領域のお話らしいが。

でも、正直いわせていただければ神々の領域を僕は視てはいない。

僕が視ているのは神よりも遥かに高みにいる“彼等”だ。


それに神々の世界でのルールに従って発動されたルテミスさんの火球と僕の創る火球はアルテンから見ても異質らしい。

燃える事を知らない僕の火種に丁度良いからと、多くの物質を喰らい発火する様に創ったからだろう。

僕は周囲の物質の質量が多いベスト8程度までを発火の材料として組み込んでいる。

それは魔法理論や科学と過去の人間達が名付けた法則からは外れている。

それにルテミスさん、リヴァン、アルテンさえも僕が魔法に利用出来る物質の多くに触れる事は出来ていない。

本来、魔法は元素を詠唱によってすくい、それを投げる様なイメージだ。

僕は今後、全天とアルテンにはこの力を授ける予定だ。


おっと、思考に浸り過ぎていた。

さて、本題に移ろう。


強と弱...光と闇...上下左右......


僕は魔法で力の概念を具現化し、完全に分け隔たれた異なる二つの領域の落としどころを見つけようと、自ら創った異空間に篭っていた。

異空間創造はアニメやゲームの世界で最上位である神様級が行使出来るイメージがあったから、こうも簡単に出来るとは正直にいうと思わなかった。


それはさておき、ドゲートの容体はここ3日程度で快復に向かっていた。

ルテミスさんの献身的な看病とアルテンの元神族としての知が結集された結果の表れだ。だけど未だ目は覚まさない。

もっともサートゥルヌスにはもう感謝を述べる事さえ出来ないが。


まぁ、傷を治すや誰かを癒すとかはあちらに丸投げして、僕は本職である魔王の本分に見合う様に成長しなければならない。


その成長の為に具体的には、相反する力の反発を統合し留める事によってその強烈な反応を火力に活かせないか、専ら試行錯誤中であった。

僕は相反する事象の間に、一つずつ落としどころともいえる点を置いていっていき、その中からその点の強弱の変化で影響をより薄くした。

その中で2つの力が完全に一致する状態を、さらにはある一定の次元の中で必要とし合う様な均衡を求めた。

それを繰り返し、火、水、雷、風、氷、土、光、闇そして無の全ての要素を内包する魔法属性、仮名“全”属性を創るに至った。


これが僕の理想の強さにおける初まりに過ぎない。

“全”属性、そのたった一つで属性上有利に立てるのだ。

それは、相手がどんな事象を得意としても初手で有利に立てる意味を持ち、相手の複雑な防護壁に対抗できる。

それは大きな有利を得る事になる。

相手の弱点が分かれば燃費も良く効果が高い

専門性のある単一属性魔法を使えば良いだけの事。


「ん?」


ここで僕はある事に気付く。


火、水、雷は光の

風、氷、土は闇の

性質を内包しているという事実に。


光が火、水、雷に

闇が風、氷、土に

弱点を突く事は出来ないが


逆はその強さの差によって軽減、無効、吸収していた。


よって光と闇そして無の3属性の中心こそが全属性のベースだと僕は検証に基づく実証を得、さらに続けた。


だけど、ここまでは既存の魔法の影響下だ。

僕が本当の意味でこの世界における特別に成れるかはこの先にあると考える。

特別という頂点に至る為の考察と実践を繰り返す中で自身の魔法に関して分かった事がある。

元々の魔法自体が世界に混在する何らかの絡み合う性質を束ねている事実だ。


それは通常の人間の五感では見えないし感じられない、簡単にいえば小さ過ぎるのだ。

単純に魔法発動時における詠唱は、魔力によってそれをすくう意味を持っている。

よって僕は細分化されたその物質を見る目を魔法で創る必要がある。


この世界に現実的に存在する魔法の総べてを超える密度の濃い魔法の方が、単純な力比べでは強い筈で水に沈む砂糖の様に貫くだろうと考察している。


その為に僕は同属性の魔法を二つ用意した。

一つはこの世界で通常使用される程度の力、

もう一つは属性の性質そのままに内部構造を弄り手を加えた魔法だ。


内部構造を薄くすればその分形成は早いが力負けし、逆に厚くすれば形成は遅いが吹き飛ばす程の魔法が形成された。


けれど僕はこの検証に一つ、絶対的なルールを与えたい。

同一時間で形成された、より圧縮された密度の魔法の完成だ。

時間がかかればそれは溜めという準強化魔法を無意識に使用しているのと変わらない。


では、どうすれば良いのか。

内部構造自体を見直し、火属性なら火の属性を形成する最低限の要素を割り出し最適化する他ないのだ。


僕が思うに通常魔法には無駄が多い。

それに魔力量や才能、更には経験を遥かに持つ者達を凌駕しなければならない。


だから常識の観点で僕に対して相手が予想出来る範囲の最大限放てるであろう魔法のパワーを遥かに上回る必要があるのだ。


それこそが努力や才能の差で片付けられる習熟度の早さの競合から抜けられると僕はふんだ。

そして僕自身の限界値を大きく超える唯一の方法とも僕は考察する。

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