第172界(階) 地獄の若葉
“冥のステルラ”プルートーさんを仲間に加えて次の目的地に向かっていた。
そんな中、僕は背中にルヴァイの気配を確かに感じた。しかし今は勝てるイメージが浮かばない。だけど必ず勝つ、そう心に誓った。
「...いいのか?」
アルテンに竜族の地へ向かう提案をし、その返事だ。
何処となく表情が穏やかではない、それもそうか。
アルテンの話ではどうやら神々は僕の仲間になってくれたアルテンの大切な竜族が滅ぶきっかけに関わっていた疑いがあるらしい。
それに魔王は神と戦うのが世の常だ。ならば竜族の生き残りを僕は探してみたいと思ったからだ、神々への嫌がらせの為に。
「竜族は他種族より強い!だからこそ神々の逆鱗に触れたのやも知れぬ...」
声のトーンが若干下がる程に落ち込んでいるのが分かる。
「神々は僕の逆鱗に触れた」
「そうか我が主であられる魔王様の逆鱗!!!それはなんとも可愛そうだな」
全天は僕とアルテンの言葉に不敵に笑う。
「魔王の逆鱗に触れたのか、なんと恐ろしい。それでは神々もただでは済まないな」
アルテンはそう言いつつ、顔を伏せた
見られたくない、何かでもあったのだろうなと、僕と全天は対照的に笑みを交わし合っていた。
そして僕等は時空を飛び僕等は目的の地に着いた。竜族の栄華が滅んだその地に。
見るまでもなくそこはとても生物の生息出来る地では最早無かった。
大地が抉られそして不自然に溶けていた。まるで巨大な世界蛇がうねり暴れ回った後の様だった。
僕等はその地の全容を確かめる為に上空から全体像を眺めていた。僕はアルテンの背に乗っている。
「一体どんな生物が存在したのだ?生命力が自慢の竜種が死ぬのだぞ」
「...分からぬ、大掛かりな召喚術でも行使したとしか言えぬ...それも魔神クラスのな」
全天に答えるアルテンの表情からは笑みが消えていた。
その時だった、僕は異質な反応を感じ周囲を見渡した。
「どうした?主よ」
「いる、そして呼んでる」
助けを呼ぶ消え入りそうな魔力を僕は確かに感じた。
僕は周囲から色々と異質な反応を集めて魔法に変えている感覚器官の様なものがある。
僕は親友の一人が持っていた繊細性に似ていると感じる事から魔感と呼んでいる。
周囲に何があるのか、魔法に例えるなら代表的な火の要素や水の要素。
だけど世界に漂うのは実際にはそれだけじゃない、もっと色んな要素がある。
けれどこれは明らかに異質だ。
自然に出来る物質ではなくて明らかに卓越した技術によって捻じ曲げられた事柄だ。
これが神々の力か。僕は内心に挑む敵の強大さをひしひしと感じていた。けれど絶望はまるで無い。希望を失う絶望にはもう慣れた、高き壁は常に側にあった、“8つ”も。




