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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
神界攻略編
17/262

第16階 偉大なる神"シア"

強めの残酷描写あり。

「ぐぎゃあああああ!!!」


 ルーの雄叫びには、最早神としての威厳も誇りもない。

私によって、追い詰められていっているのがよく分かる。


"アサルト"


方向感覚が溶け出し、腕も足も動かせない世界に、ルーは恐怖と怯えの表情で私を凝視してくる。


「素晴らしいわね、あはははは!!」


 とても高揚する。漆黒の影響で。

私は気付いたみたい、私自身、神々の世界を脅かすに足る場所に、座している事を。


 まるで貴方達が殺した、エルフの幼子達みたいな怯えた目をしないで。

汚れるから。


 私は、何度も、何度も、愚剣ユグドラシルを突き刺し続けた。

神液と神液の間の神肉を裂く様に。


 恐怖の表情の合間に垣間見える"女"を辱めようとするその特徴的な攻撃的な表情。

堪らない。


 ふふふ。


 だってそれを壊していいもの。

貴方がどんな目に合おうとも。

貴方を助ける勇者は永劫、現れないからね。


存分に私は力を揮う。


「壊れちゃえ」


私は人差し指で空気を微かに撫でる。


ーー時圧縮

ーー逆人変

ーー不老死

ーー無限痛

ーー動繰返

ーー十一億


 6つの集然を行使してでも、私は今だけは漆黒の力に心を委ねて、際限無く湧き出てくる邪悪な欲望を満たして奏でたいの。


残虐な狂想曲を。


「ぎゃあああああ...ピギッ!!ピギャ......!!!」


 "ストーク"からの"アサルト"を十一億年間の間に何度も繰り返して頂いた訳で。

神心も神体も変化させて、人の身となって受ける様にしていたから、無惨にも目の焦点が合っていない。

 でもとても強い神の一柱というのは間違いないみたい。

そこは良かったと思う、手間が省けるからね。


 最期にはやっぱり、ルーの自慢の神であるスウが私の目の前で、絶望に打ち震えながら消滅するのを、見せてあげる楽しみがあるからね。

 そしたら良い感じで、ルーの何もかもが砕けると思う。


「スウが何とかしてくれると、思っているのでしょう?」


「.........」


ルーの時は止まっている様だった。


ーー土変化

ーー右脚蹴


私は無造作にルーを蹴る。


「ヒギィッ...ゲゥッ......」


反応から推測するに、生きてはいるけども。

もう無理だと思う。


 でもこれでいい。

 エルフの幼子を含めて、殺す事になんとも思わなかっただろうし。

きっと、楽しそうに殺していたと思うから。

エルフの幼子を殺すのが楽しいという気持ちは分からなかったけど。


ルー、お前を殺すのは楽しかった。


「ねぇ?誰にも仕返しされないって勝ち誇っていたでしょう?

死んだ者が弱いから悪いって、ねぇ!!

あと、大丈夫だよ。

貴方を慕って付いてきていた優族達にも同じ事をしたから!」


 止められない。

漆黒の憎悪、怒り、殺意、狂気が更に結合し結び付く、強く、強く、強く。


(「あは!あははははは!!!殺す奴を殺すの楽しいね!!何も罪悪感も無いし、一方的に甚振っても、何もどこも、痛くも悲しく無い!死が嬉しい!!


 もうエルフ達の尊厳を、奪う様な殺し方は出来ないよね!?

もっと殺してあげようか!?

それも楽しいよね。

ルー、お前を庇う奴等も殺してやるから


 私ね。沢山考えて、躊躇したよ。

 神祖が現れた時に。

そしたらねぇ!一瞬で殺すよりもこうした方が素敵に楽しめると思ったのよ!


 さぁもうちょっとだね。

何って?貴方の死の記念日。

スウの目の前で、事切れた日はお祝いしなくちゃね。


 本来の私はエルフ達とは何も関係ないけど。

エルフ達のお墓の前で可愛く仇を取ったよって、呟くの。」)


 私は謎の高揚感と達成感、それに歓喜と狂気と憎悪と憤怒に満ち満ちていた。


 私は完璧な迄に、神ルーと配下の生きる可能性を潰した。

壊れた彼等はこれからも幾度と無く、壊され続ける、死ぬ事などない


 私はエンシェントルーラエルフとなった事で正当な理由で闇の欲望を満たす事が、行使する事が出来るようになった。


 私の戦闘技術は、飛躍する様に伸び続けると思う。

私はそれが何より嬉しい、敬愛する父に近付く為に。


 私には何が良いのか、正義なのかも決める権利は無いし、善悪というのは無数にある価値観の1つでしか無い。


 私はそれを1つの輝く星の様に、感じる事は出来るけども。


 私自身が、綺麗で可愛い私でいる為に、犠牲を払ってきた部分を、エンシェントルーラエルフ達を認める事によって、エルフ達を襲う者は死に値するという、新しい星が輝き初めている。


 私はその光を讃えようと思う、小さくとも愛おしい光として。



 ルーは物言わぬ神となった。

神スウへの絶対的な信頼だけが彼の心に希望として、一雫残っている様子で。

苦しみながらも、絶望に屈しながらも、可能性と希望をただ1つ残して。




「ねぇ?四武王のシア?」


 私を目の前にして、戦う為に綺麗な長髪をすいている、好奇心が滲み出る様に、不敵な笑みを浮かべている彼は、神々の戦闘狂にして破壊神。


剣を構えていた、仲間と共に。


「ルー、何という様だ。それではスウには勝てんぞ」


「あぐ...えぐ......」


 大いなる神の一柱が腕を捥がれて、人としてあらぬ方向に曲がっている。

その神の奇形にさえ動じなかった。


「ミリムに教えてくれていたそうね」


 シアは私と2人で話がしたいと、彼なりの

この状況への答えを出していた。


 私は微笑んだ。

そして、


「いいわ。貴方の首が飛ぶまでの間なら。」


と、告げた。


「いいよ」


 シア軍は反故にする様に剣を構えたが、当然シアに制止される。

覚悟を決めたシアの威厳の前に、悔し涙と怒りの表情を浮かべて敗走していった。


「私はシア!ルーを滅する程の少女よ、今宵は私の首だけで満足せぬか!?

神々の武の頂点に君臨し、全ての神々に武を教えている。

そこにくたばっているのも私の自慢の弟子だ!」


私は小さく微笑んで、応えを探す。


「今日はそれでいいわ、私の名はアオナ・エカルラート。

エンシェントルーラエルフの意思を受け継ぐ者。

それにしてもエルフの幼子を痛め付ける様に無残に殺すなんて、屑でクソな弟子ね。」


ーー土変化

ーー踏圧下


 私はルーの顔を思いっきり踏みつけて、構えるシアに飛び込む。


ーー光変化

ーー神殺死


「なんて娘だ...。全知全能で創造された結界を引き裂くなんて......。」


ーー十知未

 漆黒による荒々しいエクス・カリバーン。




「痛みは一瞬よ、ミリムに色々教えてくれてありがとう」


 魔力と斬撃が十字を描き、シアの首は綺麗に斬れる。

たった今、大きな力が、1つ潰える事を示している。


 武に生きた武の狂人シア。

神々の中でも悠然とした人格者だとハツミリムは語っていたわね。

そして神々の世を愛していると。


漆黒はシアの首を討ち取り、満足そうに鈍く淡く佇んでいた。


 そしてシアの死に顔は満ちていたかの様に思えた。


私はミリムの件があったからこそ、武で上回った。それが礼儀だと思うから。


 シアの神力を、愚剣ユグドラシルに吸収した事によって起こった急激な変化から、愚剣ユグドラシルを狂剣シアと名を改めている。

そして狂剣シアと漆黒を収め、帰路に着いた。

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