第162階 少女2人旅
私はキキョウと歩いていた。次元の海を。
これも集然の力だと説明しながら。
ーー次動
様々な記憶、過去、現在、未来が同じ軸に存在する私にとっては宝の山。
下位の存在は命はおろか高度な精神体を持ってしても保てずすり潰される。その為異世界では有り余る力を持つ最終的な強者をこの地に封印したりする。
次元の流れを遡り私は彼の記憶を辿る。
この場所に来るのは6度目。初めは一人で。
そしてフォアローゼズのますかりあ、まては、まゆな、いむを連れて。
「ここは、おそらく人の立てる地ではありませんよね、ラズ
不安を隠す様にキキョウは私に微笑みかけてくる。
「いずれ、自分の力で立つのよ、キキョウ。
それだけの力が貴女の魔法にはある
キキョウは冷や汗を流しながら後退る。
「ちょっ!ちょっ!!ちょっ!!!ちょっと!!!!それは聞き捨てなりません!わたくしもいずれこんな超高位魔法を使えるなんて!神々への冒瀆ですわ!
私は知らんぷりしようかとも思った。
けれど人類の常識はおろか、神々の常識さえ超越した私にとってもいずれそれらを全て超えて行く彼女の為にならないと思ったから、私は口を開く、ゆっくりと。
「神々は踏み潰したわ!少女の命一つ救えない神々なんていらなかったから、神々の存在意義なんて救えるか救えないか、その二択のみよ。そして救われない命が生まれた。信仰心とか敬うとかそんなものよりも“生きる”って大事な事なのよ
キキョウは強く唇を噛み締めていた。
言いたい事があるならぶつけて欲しい。
そう思いながら私は彼女を置いて行く様に
ゆっくりと歩いた。
「絶対に違います!ラズは間違っています!
私は敬うべきは敬う必要があります!そして運命を全うする必要があります!
「私は私の本当の父母に仲間達は底無しに敬っているわ、だからいいの。他人が創った神々なんて信用出来ないもの。それに神々が与えた運命なんて直ぐに解けるわ、その貴女の魔法で意図も容易くね
キキョウも歩み出した。
納得いかない表情で。
対照的に私は笑みで綻んでいた。
きっとキキョウも知るであろう天命も宿命も運命も全てこの手で切り拓けるって。
そして目的の場所へ辿り着いた。
これが集める自然=集然の創造者、
前魔界の天皇ことミラース・ラーバ・ラーサの辿った道筋の記憶。