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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
西の大帝国編
141/263

第140階 第二次開戦

カツ...カツ....


響く複数の人の足音

一方は軽やかに

もう一方は規則正しく

音が弾む


「あら?次は何を話し合うのかしら?


トーラルカエには

客人をもてなすのに相応しい

部屋ばかりを集めた建物がある


「歴史を尊重する素晴らしい建物だ

...これ程懐かしい響きを感じる

建物は感慨深い


クインクゥエは目的を忘れた様に

染み染みと酔いしれ耽っていた


「それで?西とスルグレの重要な

方向性を決める...って使者より

手紙を頂いたのだけれども


時空に溶ける素材で出来た

機密用の手紙だ

ある決めた時空まで存在し続け

次元の狭間に消失する

機密保持性の高い丈夫な手紙だ


「それはそうと良いのか?一人でな


セプテムは隠す様に薄ら笑う


...そしてドゥオは急に歩みを

止めたかと思うと壁に背を預けた


アオナは用意していた椅子を勧め

ウーヌス、トレースと順々に椅子に座る


「...まぁ良い


クインクゥエも何か思いを含みながら

椅子に座る


「さぁ皇帝?先に座られては


ドゥオの声にセプテムは

威風堂々たる振る舞いで席に着いた


それからドゥオも続いた


「...皇帝は確か交代制でしたね?


眉がピクリと動くウーヌス、ドゥオ


「あぁ、そうだな!

余る程に優秀な人材が

ごまんといるのでな

更にいうと誰もが皇帝に相応しい

教育と鍛錬を怠らない...自発的にな!



「けれどスルグレは

まだまだ歴史が浅い

どうだね?私共の優秀な人材を

多数受け入れてみては?


セプテムに続いたのはウーヌスだ

そのウーヌスは満面の笑みで

交渉を進めていた


「私共も優秀なので

気になさらなくて大丈夫ですっ


アオナも笑顔で返す


「ならお互いに派遣し合うのも

宜しいですなぁ!!


「良い考えです!!!


身を乗り出したクインクゥエに

同意の意を示すトレース


「...私はあの男を探している

サーを殺したあの男だ


ドゥオの言葉にクスッと

笑みを瞬時に隠したアオナ


「私は知らないわ、

調査は行なっているけれども


「...うむ、此方からも

選りすぐりの調査部隊を派遣しよう!

それが良い!!!


穏やかな笑みを浮かべるウーヌス


「これは半強制だよ

西は重い腰を上げるべき

事態を危惧している


薄ら笑うクインクゥエ


「あら、愛国心の強い者達を殺した

サー・サマエルに

愛でも抱いていたのかしら?

非人道的だわ


穏やかさが消えるフトゥールム達


「口を謹め....倫理の話しを

わざわざ行ないにきたのではない


表情は笑っていたけれどセプテムは

憤怒を隠していた


「倫理という観点からすると

西の民に手を加えたあの男を

許す事が出来ないわね


トレースは静かにただ静かに

言葉を紡いだ


「あくまで西なのね、良いわ!

分かっているわよね?

一刻一刻ズレが発生している事を!

保てない程に大きな

傷にしてやるわ!!!


「何を言うておる....?


そう言葉では表現しつつも

ウーヌスは全てを知っていた

絶対的な力を得た西の大帝国の牙城に

傷が亀裂が入り始めた事を


「ここまで...だな、もう限界だ

これ以上は因果律が乱れる!!!


アオナと西の9人が関わる事で

未来への流れが少しずつ少しずつ

変わっていっていたのだ

西を本流とする流れが

アオナという大きな流れに

圧倒され始めていたのだった

その事を改めて噛み締める

クインクゥエ


それと反する様にアオナは

トーラルカエの更に中心へと

消えて行った


「本当に乱れてやがる...

なんとしてでもスルグレの主を討つ

だが奥へと逃げるとはな


セプテムは不敵な笑みを浮かべた


「いいや、違うな....

俺達は誘われたのさ....

死の乱舞へと


クインクゥエ達は覚悟を決めた

殺す覚悟を


そして歩を進める


永い永い時を過ごした様に

時空が刻んだ

そんな錯覚に陥る程に

静寂が続いた


「もう死んでいるのやもしれぬな


クインクゥエは笑顔で

仲間達に話しかけた


「生きていると思いたい


セプテムの声が

次元の狭間に吸い込まれる様に

消えていった


その直後、五人は歩を等しく止めた


「この先だな


ドゥオは勇しく構えた

他の4人もそれに続いていた

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