第123階 マユナと桜葉
星闇宮で私達は時間の認識が
遠のく程に圧倒されていた
そして私は自身の2つの力のうちの
1つに対して質問した
「カゲード...
そうですか、それこそミラースが
目指した最強の魔王の
原点でありますね、悪の王たる
魔王はその頂点に立つ者として
他の悪より強いという事が義務付けられると、
そういう風に考えられました。
だからこそ悪を雑魚の様に葬り去る力を
創り出せないかと思惑します」
サクラハはそして語り出した
...........
「カゲード?」
リツマラア、この部屋を
そう呼ぶらしい
「えぇそうです、ハツミ様を
最強足らしめている力の一翼を
担う力です」
「それは!!何!!!」
私も最強が良い!
私、マユナはお姉ちゃんこと
マテハに全戦全敗...
めっちゃ悔しい!!
「闇は実は全てを知って
全てを受け入れています、
それはどういう事でしょうか?、
それはすなわち善と悪の
全てを知り尽くしている
という事です。
ですから闇一族は最弱の種族ですが
闇という根幹の部分に一族の者達が
集め体験した全てが集まる、
それを元にカゲードすなわち、
強化闇一族は完成するのです」
「強化された、最弱種族...?」
「えぇ、ですが強化の過程で
様々な作用を盛り込みます
進化、反転、統合等、あらゆる要素を
ミラースは詰め込み、
最小の過程で最大の効果をという
非常に洗礼された状態を生み出します、
そしてそれはこの世界に記憶、
もしくは集められた闇、
そのものから力を
スムーズに引き出す事、
それを進化、反転、統合する
闇の効果を最大限に活かす
変換器の役割を担う力を
"カゲード"と呼びました
この実験の成功でプロトタイプの
カゲードを生み出します
それが倶全・ゲイスダリゲードの
父親たるカゲード・ゲイスダリゲードでございます」
「えぇ!倶全君の父親!?」
「はい、強化闇一族計画の
第二作目であり、その子供として
創られた神造人間は
より人に近付けて創られました、
そしてなんて素晴らしき事
でしょうか!!
人種の要素を加えただけで
到達してしまったのです!!!
ミラースの目指したカゲードに!!
残念ながらクゼンの方は
人種の要素を加えた上での
弊害である成長が必要な為に
実践投入されませんでしたが
しかし、カゲード・ゲイスダリゲードは
ミラースの首を狩る為に
神々の夢と謳われたキレ・ルイデが
単独でこの星闇宮を訪れた際に
"それとはやり合いたくねぇなあ
どうだ?俺達相討ちで
死んだ事に死ねぇか?"と
交渉を持ちかけられる程の
逸材でした!」
「ハツミの父...」
「そうです、全戦全勝
一撃で勝敗を決める
一刀両断のキレ、すなわち
勇者の中の勇者、"神々の夢"こと
大勇者キレ・ルイデです」
「なぜ、魔皇は神様達と
和平に持ち込まなかったの?」
「それはドゲートの竜族の滅亡と
エルエルの五大里滅亡から
元神の一柱である龍王が
心を痛めていた事と
その所業から神族=悪の構図、
悪を軽々と葬り去るは
強い魔王足る礎と考えられていた
模様です。
そもそも神界がキレ・ルイデに
ミラース討伐を任せたのも
魔皇軍がエルエルの里の
侵攻に加担した
軍の兵士を狩って圧力をかけたのが
起因でございます。
七大神王と四武王を合わせても
ルヴァイを退けられる魔皇軍は
未曾有の脅威そのものでしか
ありませんから」
「そのルヴァイはなんなのよ!」
「ルヴァイは剣聖と称される
"覚醒者"でございます」
「覚醒者?」
「はい、覚醒者は幻想と現世の
別存在が繋がっている状態にある者を
指します、それを意図的に行おうとしたのが
強化闇一族計画です、ミラースの方で
理論は完成されていましたが
なにせ、この魔界で使える許容を
軽く凌駕してしまったので
別の計画から着手いたしました」
「別の計画?」
「えぇ、ハツミリ計画です
ハツミリ計画はある素養を持った
存在を現世で既に活動出来る状態にして
あるという結果を創り出す計画です。
覚醒の相手である者を魔界から
"現世で創り出す"という破格の計画は
保留しておりますが
先の未来なら既に出来た状態に出来る、
故に魔界から行う事は繋げるだけと
負担も軽く済むのですね!」
「その先に一体何を目指すというの?」
「えぇ、ミラースが目指したのは
最強です!、現世で8人の天才たる
真の最強達にミラース自身の存在価値は
無に等しかったと彼は言います
血筋、容姿、才能、運動神経、
そして人を惹きつける力...その全てがトップ足る
彼等を超えたいと、この幻想世界にて
頂点を目指します。」
「そんな8人いるんだ
でもハツミが8人もいたら
そりゃ最強過ぎるわ」
「ふふふ、そうですね
あなたは成れるかもしれませんよ
ハツミリアと同次元の8人の
最強の1人に」
ニコッとサクラハは笑みを
浮かべていた
あなたは容姿はもうハツミだわ!
.........
「間違いないわ、確定事項よ
一度殺されているし」
「まさか、とは思いましたがキミリ、
その可能性は非常に高いといえますね」
「知っていたからこそ
対策はとれている
それにあるかもしれないわ
ステルラにはそれだけの力が」
「!!!!!」
「でもね、私はミラースの
計画の一端だったかもしれないけれど
本質足り得たのよ
確かに覚醒者は確かに強いわ、
私は2人知っている、
でも私の領域には辿り着いていない
それが勝てる以外がまるでないわの
答えよサクラハ!
成ったから最強ではない
足り得たから成るのよ、本来は」
サクラハは驚いた表情を
していたけれど
口元に笑みを浮かべて静かに涙した
まるで大願成就の様に