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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
魔界観光編 −魔界の天皇の居城–

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121/263

第120階 星闇宮

星闇宮に向けて

皇の塔を遂に登り始めた私達は

頂上に光が差し込む場所まで

辿り着いていた

お互いがお互いに大切な"何か"を

握り締めながら光に飛び込んだ



桜の花びらが

ポツポツと道を示す様に

置かれて行く

その道を私達は迷わずに歩いた


.......


.......


.......


.......


私達は遂に訪れたのだった

かつての魔界の天皇の居城

星闇宮(せいあんきゅう)へと


大きな扉が開く


異様な静けさが震える空気を

なだめるかの様に包み込む

震えているのは

もう座っていないはずの

圧倒的な魔皇の生きているという

鼓動、息遣い、存在感...が

まるでそこに感じられる程に


「「「「対のりゅうが...」」」」

フォアローゼズの声が重なる


私も感じた

りゅうが

竜と龍、

西洋と東洋の"りゅう"が

そこにいて

襲い掛かって来る様な

迎えられた様に

荒々しい空気が流れていく


と同時に扉が音も無く閉まる


「....ようこそ

星闇宮、ウグイナの間へ」

訪れる闇晴れの日の様に

穏やかに包む声の響き


淡く薄暗い闇に包まれる

星闇宮の内部にろうそくの光が

灯る様に色が咲く


「"白巫女"の

安倍(あべの) 桜葉(さくらは)ね..」


「えぇ、そうですよ

"黒巫女"...初一(はつさね) 樹実梨(きみり)ちゃん」

私達の目の前には

雪の様にとても色白く

ショートボブに黒髪が整えられ

桜色を基調とし春を感じさせる

平安時代の貴族の様な

お召し物をその身に纏う少女がいた


「顔立ちがハツミに...似ている!」

マスカリアがふいに言葉を発する


それに同意する様に頷く

他のフォアローゼズ


「ボクもそう思う」

命君がそう言うと

ターキッシュちゃんに

シンガちゃん、闇星ちゃんも

コクっコクっと頷く


「えぇ、そうよね、だって

私でもあるのよね?」


サクラハは口元に手を添えて

ふふふと笑みを灯した


「そうでもありますね、

さて、何故この地を踏まれたかという

無粋な質問は控えておきましょう...

特にそちらの5人のお方達に

関係がある事も含めまして

私が知り得た事を語りましょう

もっともこの世界で

アオナ・エカルラートを

名乗られている

貴女は全てを御存知だと

私は思っておりますが」


皆がそれぞれの表情をしている


「私が言わない事があったのは

どれもこれも、突飛な事が多いからよ

....ごめんね」


「....では参りましょう」



サクラハに案内されて

一つの部屋に入る


「まずはこの星闇宮が建っているのは

"セイ"の地と魔皇様によって

名付けられております

そしてこの部屋が"メヒトマヤ"


...貴女は見る必要がないでしょう

だから今、1人です

でも安心なさって?

貴女も御存知の通り

魔皇様の創造魔法、集然で作った

私がこの場に導きますから」


「...」

確かに私は知っている


「私の巫女の力で繋がったのが

貴女だった

アオナ・エカルラートでも

ハツミリア・ルイデでもない貴女」


「えぇ、そうね

魔法の様な便利さが当たり前の世界で

奇跡的に魔法が使えない飛べない鳥よ?

地球が生まれてたった100億光年も

過ぎていない時代の原始的なね」


「...例えばそれが貴女の知らない

人為的な事であっても

魔皇様の願いは届けられた

だからこそ、貴女の中に私はいる

私は何度も転生を繰り返した

その記憶も貴女は持っているわね?」


私はコクっと頷いた


...........


キラキラ、キラキラと

目を輝かせているのは

「シン!!」


「お姉ちゃん?」

小さな顔が呼び声の方に

クイっと顔を向ける


「でも、まるで私達みたいに

巨大な台座が2つある

これってまさか、ステルラ?」

ウグイナの間から離れた

マタキオミタフの部屋に

案内されていた私とシン


「あら、魔人の王女様は

感が良いのね」


「え!?うそ!それって物語の世界の

お話じゃない!てか、イム達は!?」


「大丈夫よ?他の子達も魔皇様の

城を見学しているわ」


「ふ〜ん、なら良いけど」

調子狂うなぁ、ハツミお姉さんに

似ていて


「それはそうとステルラを

知っているなら話は早いわ

御存知の通り

ステルラは11種類あるわ

そのうち2つがこの城にあった」


「今はないのね?」


「えぇ、所持者がいるからね」


「ねぇ!お姉ちゃん!

ステルチャって願いが叶う凄い石?」


「ステルラね、シン

そうよ、本にはそう書いてあったわ

なんでも死者達の祀る石で

生ある者では触れられないとか!

うちの国で最近流行りだした

パワーストーンみたいだよね!」


「そうだね!」


「ふふふ、良くご存知で

そして此処には

土のステルラと冥のステルラが

安置してあったわ」

サクラハさんは指で一つずつ

台を指し示してくれる

私とシンは食い入る様に見ていた

まだほのかに残光が残っているから


「今は誰が持っているの?」


「今の所持者が誰かと言う事は

知らないわ

けれども冥のステルラは

アオナさんが持っているわ」


「へぇー!!お姉さん

だから強いのかなぁ!」


「ステルラ欲しい!」

シンの目が流星群の様に

きらめいている


「ふふふ、貴女は

生きているでしょう?」


「?」

私とシンは意味が分からず

コテンと首を傾げた


...........


「なぜ、転生者が力を得るのか?」


「それだけ、生は重いのよ

サクラハ」


「ふふふ、キミリ合っているわ」


「それに、いわば納得いかなった

魂を癒す為に死んだ人々の流れが

浄化の為にアプローチをかける

だから、規格外の力を得る

それがかつての第一世界の

アトランティスが生み出した

転生世界の高度理論を完成させた

貴女の曽祖父でもある

大陰陽師 安倍清明の考えよね?」


「えぇ、私のお爺様の父上が

大陰陽師であったわ」


「そして曽祖父以来の才と同時に

巫女としての才も兼ね備えていた

サクラハは泰山府君の祭を使って

何度も転生を繰り返している」


「えぇ、間違いないわ、

キミリも使ったわよね?

アオナに成る為に」


「そうよ、そして貴女は才能豊かな

稀代の穢れなき白巫女

私は才能がまるで芽ぶかない

穢れ多き黒巫女

しかも、私の巫女としての能力も

サクラハの"巫女創り"の儀式で

私を巫女に押し上げた

巫女の力を巫女に受け継がせる

私に翼を宿す為に」


サクラハはニコッと微笑み

コクっと頷いた

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