表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
神界攻略編
11/262

第10階 神々の祖

闇一族の城への道中


私達は小さな骨を見つける


マテハが怪訝そうな顔をしていた

小さな小さなまだ新しい骨だった

成長しきっていない...


「これって人間の子供の骨よね?」

私はオブラートに包まず聞いてみた


けれど


マユナとマテハからは笑みが

すでに消えていた


この先に何があるか分からない

闇一族が生きているのかさえも


「闇一族の子達のではないけども

この新しさからすると丁度

倶全君と城を出た直後......」


そうマテハが言い終わった直後

「分かっているね?...」

マスカリアが手をかざした


「それは...?」


マスカリアは短剣の

「キルミー(自己犠牲)」を


マテハは刀の

「パーフェクトオーダー(完璧主義)」を


マユナは大鎌の

「マイジャスティス(自己暴走)」を


イムは守護魔法の

「ワールドミー(世界中心)」を


「ハツミにも加護があります様に」

私の何かが変化した


「これは?」

私は私自身の心の奥底に

「オーバーラブ(犠牲愛)」を感じた


「これはマス姉の自分の欠点を

可視化し武具とする加護みたいな

もので名を天災(あまわざわ)

名付けたみたいです」

私はありがとうとニコッと

答えてくれたマテハに御礼をした

マスカリアもえへへと笑っていた


私は手にした瞬間に

“魔法の力”が上がった様な気がした

これであの時代を戦ってきたのね


それでも彼女達が戦慄を

消し去る事は出来なかった


衣服の薄い少年少女達が草原をかけてきた...

おそらく別の世界の人種だ


次の瞬間


消えた


後には草が揺れた


「前をみて」

私はただならぬ気配に

注意を促していた

それでもマユナとマテハは

下を俯いていた

見えてしまったのだろう


イムだけは突如消えた様に

感じられた様だった


「誰の差し金かしら?」

私が子供達を助けても

子供達は浮かばれない

死ぬ瞬間に心地好さそうに

眠りについたのが目に焼き付いていた

虚ろな表情で生きようとする

意思が微塵も感じられなかった


その様な状況に追いやった

何かに対して恨みや憎しみでも

もし抱いていれば

私は目の前の2人の男を殺しただろう


「ガハハハハハハハハハ!!!!」


1人は巨人族

通常の身体機能や

一般の魔法が使える種族では

可視化する事が

一切不可能な次元での光速移動が

可能なデタラメな種

あくまで巨人としてはだけど

それでも超越者に分類される

簡単に言うと神の神

もしくは神の絶対的な上位種って事


そしてもう1人は

人間の成人男性だった

背は低いが恐らく強い

放つオーラが違う


「今は急ぎたい...

どいてくれるかしら?」


無理だよ、ハツミ

そうマユナが呟いたのが耳に触れる

何に対しての無理だったのだろう

彼等が強いから単純に

通してくれないのか

子供をあっさりと殺した

彼等への煮え滾る思いを

ぶつけたかったのか


「あのバカ!!」

マテハも飛び出した


ガキン!!!


鎌と刀は短剣の二刀流によって

阻まれた


「マユナとマテハの2人がかりで

止められるなんて...」

マスカリアはとても驚いていた


...後ろにいる方々

殺せない事はないの

それでも動く...?

巨人の後ろには

人と巨人の混合部隊が

少数精鋭といった出で立ちで

並んでいる


今も二刀短剣の人間と

マユナ、マテハの戦いは

続いている


今は人間の男が防戦一方だ

見るからに攻めあぐねている

マテハとマユナのコンビネーションは

凄く良い

人間の男は武具の扱いに関して

マテハより僅かに秀でているけども

マユナがそれを完全にカバーしていて

双子の為せる技とでも言うべきなのかなぁ


でもこの戦いは私のこれからを

決める上で大切な戦いになる


なんせ子供を食った

あの巨人は神々の上位種だ

父に貰った神話と呼ばれる本に

巨人を殺して世界を創った話しが

あるけども

本当に創作物ってこういう事をいうのね

神々が殺せない鬱憤を綴ったのだと心底思う

だからこそ

この巨人を殺す事は

神々の世界の消失も意味する

だからこの戦いが動くという事は

神々を全て屠る意味も持つ

私個人は問題ない

私の大切な人は全て神の影響外だ

1番懸念していた

ハツミリムもハツミリフィも

魔皇ミラース・ラーバ・ラーサの

影響が強いみたい


相手の陣営もかなり驚いている

10代にも満たない少女が

2人がかりとはいえ

大人と互角に渡り合ってる

それも相当の修羅場を潜っているのが

動き、呼吸のテンポから分かった


メイユールの脅威が去って

一つだけ消えた言葉がある

"天才"

この言葉は安易に使用されなくなった

マテハが怒涛の勢いで強者の階段を

駆け上がる時に使ってしまい

誰に使ってもかすんでしまう

仕様となってしまったらしい

私もそう思う


「巨人!!!!!

我が名はアオナ・エカルラート

一度だけ交代を許そう

私が出る!!!」

私はあの巨人と短剣の男の2人の力を削りたい


「小娘ぇぇええええええ!!!!

我が名は半完!!!!!!

ルヴァイの準備運動は

小娘2人で済んだ!!!

よかろう!!!」


ザシュッ


「餓鬼だな...」

ルヴァイと呼ばれた

男の声が響く


「マユナ....?」

イムが呟く


マユナから鮮血が散った


駆け寄ったマスカリアが悲痛に叫んでいた


「許しは貰った」

私はマテハの前に出た


マテハよりも少しだけ

この男の方が強い

だからマユナと2人で互角だった

それで良かったはず

でも見えたマユナは心を

揺さぶられていたのだろう

巨人が握り潰したまま

少年少女を食らう姿を...

イムも同じく。


私のゲイスダリゲードは

ルヴァイの剣と打ち合った

ルヴァイは驚いていたが

徐々に気付き始める

私の強さの本当の意味に


「とても信頼されているのね」

私はルヴァイと剣を交えていた

交代を半完と名乗った男が許したのも

私の雰囲気に押しやられたからではなかった

武人としての一騎打ちを許した自分自身と

葛藤していたのが目に見えた

実力がある故の煮え滾り切れない思い

それをあえて納得させてやるという事

選択肢を与えるという事で

これは納得のいく一騎打ちだと

してくれた様だった

彼は飛び出しそうだった気持ちを抑え

今はもう見守っていた

この男に心底託している

ご様子だった


「てめぇはデタラメだが

クソ強ぇ、まるで何重にも強化魔法の

かけられた剣士と戦っている様だ

底が見えない...これ程の強者

2度と出会えぬな」

ルヴァイは薄ら笑いを浮かべていた


ルヴァイの言葉は確信をついていた

私は剣の才能はまるで無かった

それは父から聞かせて貰った事だ

事実、私は剣を振る事さえ困難だった

でも私は最強の剣士は知っているし

焼き付いている

だから私はそのイメージに

魔法を超える自在性を持つ集然で

ただただなぞるだけ

速さが足りないなら

時を飛べばいいだけ

避けきれないなら風になるだけ

支えきれないなら大地になればいい

私は身体を様々な状況に合わせ

変化させる事で全てを補ってきた

ルヴァイは剣だけは一流だった

でも悲しいかな

この世界には魔法がある

父は剣しか使わないけども

神々にさえ解く事の出来なかった

父の閉ざされた魔力と現世を繋ぐ扉...

放出出来ない尋常ではなく膨大な

魔力がいつしか身体を巡り

血となり肉となり想いとなったと聞いた


私はいつでも殺せる実力で

神々の世を滅ぼすか生かすか

決めあぐねていた


私が面倒をこうむって

この巨人と神々の複雑かつ強固に

絡み合った運命と宿命の鎖を断ち切る事を

して差し上げる義務もないし


「ハツミーーーーーー!!!!

離れ............」

マスカリアが叫ぶ前に私はルヴァイの

迫る斬撃の力を利用して後ろに飛んだ


その直後、

ルヴァイと私の間で黒い衝撃が走った


もはや音さえ響かず地を抉り空間を蹂躙していった

私のもう一つの力が反応し瞼を開けそうだった


あぁこれは黒いんじゃない

ごっそりと持って逝かれたのだと


色も物質も何もかも。


右手に握っていたゲイスダリゲードが

その光景に微笑んだ様な気がしたのと同時に


更に白い衝撃が敵陣営に襲い掛かった

半完は呻きながらかすった神体から

全知全能の力が散っていくのが分かった


後ろをふり変えると

白い衝撃をイムが

黒い衝撃を仮面を被った

「倶全君...」

がこの力を放った正体だと分かった


ルヴァイは半完の一部を持って

仲間に指示しながら駆けていった

私に微笑みながら


私は彼が見えなくなるのを

確認してからイムの元へ急いだ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ