第102階 悪魔達の国へ
鍋パーティに少し遅れて
グクさんとフラカンさんも登場した
ネロ大公の恋文の相手である
ティアさんと共に
そして鍋パーティを通して
シンガちゃんとネクさんも
仲良くなったみたい!?
「フゥ〜、食った食った」
と自身の突き出たお腹を
ポンポンするのはゼムさん
「本当に良く召し上がられましたね」
クスッと笑うフラカンさん
みんな満腹そうにしている
鍋はみんなで食べるのが一番ね
そんな風に思いながら
会は終わっていった
フラカンさんに皆寝室に案内された
私はちょっと複雑な気持ちかな?
私は旅の仲間達の寝顔を見ながら
嬉しくなって自然に笑みが零れた
「ハツミぃ....もう
食べられないよぉ」
イムったら...夢の中でも
食べているのね
そして私は接続した
「.....ふぅ、沢山使って来たわね
そろそろストックを増やさないと
これからの戦いをこなせなくなって
しまうかな?」
私の前にふわふわとした
空間がいくつも現れる
私はこの中にいくつも完成させた
私の魔法を入れている
火の力に...外皮効果無効を
混ぜ合わせ、魔法防壁削除を
練り合わせる
これに魔法発動削減や無効を加える
通常の魔を扱う者達は
パーティを組んで補い
火の効力を最大限に高めるのが
通説だったりする
あれも、これもというのは
容易い事ではないからというのと
魔法学の常識上、火の形の最大領域は
決まっており不可侵だったりする
それは世界すなわち精霊や
卓越した常識感がもたらした
便利に発展した安全性ともいえる
だけど私の扱う集然はその枠組みを
取っ払った、一切研究された資料などが
存在しない領域の魔法といえる
でも、誰も気付けない
そんな場所に秘密がある
魔法だったりする
現代魔法はレトルト魔法とも言える
短い単語で発動可能なのだから
私の魔法である集然は
要素さえストックしておけば
戦闘時に組み合わせ、放てばいい
私は溢れるほどに作ったところで
元の世界に戻りもそもそと布団に戻った
そして朝が来た
「もう出かけるのか...」
目のクマが目立つグクさん
とネクさんもクマが目立つ様に
見えるのはなんででしょうかね!
そこはあえて放って置く事に
しようかな?
「ふぅ....わ!?
いかん、いかん...威厳が
魔王としての責務を果たさねば」
1人悔しがるグクさん
「....いいよ、ふぅうわぁぁぁ
威厳無くてもグクだし」
睡眠欲求のページを開くネクさん
「僕は僕か、いい響きだ
素晴らしい、ふぅうわぁぁぁ」
「....送ったら寝て下さいね?」
「君と共に」
ニヤッとグクさん
「....子守唄歌ってあげます
レクイエムという名の...」
目を合わせずにそらす
フラカンさんは
そうは言いつつも
まんざらでは無い様子だった
照れてほのかに頬が赤かったから
「あぁ...待ってる」
グクさんはニコッと微笑んでいた
「アオナよぉ〜?」
「ん、今日でしばらくお別れだね
ゼムさん」
ゼムさんが下を向いて
いそいそしている
「?」
「あのなぁ、俺!楽しかったぜ
アオナと一緒にいたの!!」
「えぇ、私もよ」
「また、旅に出ような!」
「えぇ、是非」
ゼムさんはくぅーんと
なんだか嬉しそうだった
「さて....と、行こうか?」
ネクさんは既に大型クルーザーに
乗っていた
「てかさぁ、安全性は大丈夫な訳?」
乗り込みながらマユナが
ぴしゃりと言い放つ
マユナの横でシンガちゃんが
「お船だー」と言っていた
「...自動運転搭載なのです...実は
ふぅうわぁぁぁ...」
「魔力の提供だけって事ね?」
マテハの言葉にコクコクッと頷く
ネクさん
「お願いします」
命君がネクさんに頭を下げる
「こちらこそ」
とネクさんが答えていた
グクさんもフラカンさんも
ゼムさんも笑って見送ってくれた
私もニコッと微笑み返して
私が最後に乗り込んだ
少し距離がある...とはネクさん談
次に私達が向かっているのは
悪魔達の国だった
「悪魔ねぇ...」
ぼやいた私にネクさんが苦笑する
「...とっつきにくい感じはあるけど
いきなり呪ったりはしないから
安心して欲しい」
目?を擦りながらネクさんが
答えてくれた
「ふーん...」
と私は割と乗り気では無かった
悪魔が悪魔足る行動を起こした時に
私は自制するつもりがないから
というのも含まれていた
そんな私とは裏腹に
きゃっきゃと騒ぐ
うら若き乙女達と命君
「童心を取り戻さね.....?」
ぞくっと迸る寒気
そう死の臭いともいえる消失だった
私は向かっている悪魔達の国の方角に
悪魔と出会うに相応しいだけの
薄暗さと喪失感が漂ってくるのが
冷気の様に濃くなって立ち込めて
いく様に感じられた
「やけに重い...」
先程よりも時がそれなりに進んでいる
人の感覚で表すなら
4〜50分ぐらいだろうか?
ネクさんが急に呟いた
「....魔力による、
戦争ではないかしら?」
マテハは指導を終えて休息の為に
船内に戻って来ていた
「あぁ、間違いないよ
マテハ、襲われている」
空間に線が筋の様に入り
揺れている時空が
魔法の発動を物語っていた
別世界をそのまま魔界に
繋げる荒技で侵攻している
それなりの実力者が
いるということだった
「おそらく、フトゥールム」
私は全真カゲード・ゲイスダリゲードを
取り出した
「私達は何をすればいい?」
マユナも"リョウゲンノヒ"を構えた
「マユナはシンガちゃん
マテハは命君、マスカリアは
ネクさんにイムとターキッシュちゃんを
それぞれ死守ね!」
「悪魔達の国の場所は分かるのか!?」
「....ねぇ、ネクさん
その場所に死んだ神様とか
いないかしら?」
時が止まった様な気がした
魔界でもトップシークレットの様だった
無言のネクさんから
そんな空気が滲み出ている
「そ...だから、場所分かるわ
向かって来てね?
それまでには終わらすから...」
フォアローゼズ達だけが
強くコクッと頷いた