交じり合わない
私、アイリシア・ココレットと兄、アスタ・ココレットは確かに双子の兄妹でしたが、有様は全くといっていいほど違いました。
私は天才肌で冷たく、兄は努力家で温かい人でした。
とはいえ、私は別に兄さんに嫉妬だとかそういう感情はないですし、兄さんもまた同様なのでしょうね。というか屈託が無さすぎです。本当に調子が狂うというか……
話が逸れましたね。とにかく。私と兄さんはタイプが違ったんです。どうしようもないくらいに。私達自身はまあ問題なかったのですが……問題は周囲の反応でした。
兄さんは気付いていないみたいでしたけど、兄さんが一緒に遊んでいた、主に男友達は私が兄さんに着いていこうとすると、嫌そうな素振りを見せたのです。それはまあ仕方ないでしょうね。彼らからすればノリが悪く、いつも本ばかり読んでいる足手まとい……だと思っている私は目障りだったのでしょう。まあ、それもお互い様でしたけれどね。
反面、私は大人たちの覚えがよく、よく特別扱いされていました。
例えば、そうですね。余生を静かに過ごしたいという理由で故郷に来た学者の人がいたのですが、人手が足りないということで学校の先生を頼まれていたんです。その先生は、言うことを聞かない子供の煩わしさを嫌って、順調に知識を吸収する私をよき生徒であると褒めていました。
私の周りに集まる人と、兄さんの周りに集まる人は違ったんです。私を評価する人間は兄さんを評価しませんし、兄さんを好きな人は私を好きにはなりません。どちらかが正しいというわけでもなく、それを決めることは不毛と言えるでしょう。
つまり、住む世界が違う。兄さんはその辺りあまりにも無頓着でしたけれど、私は考えていました。
このまま私達が一緒にいては、お互いに不幸になる。その周囲ごとです。
まあ理解できなくとも仕方のないことだと思います。ただ、それは要するに、私と見ているものが違うということです。堂々巡りですね。
(出来ることであれば、シオンさんには理解を示してほしいのですが)
でなければ私が話をした意味がありません。私に賛同して、それとなく兄さんを説得してくれれば。
と、考えを走らせたところで気付きました。いつのまにか他者に期待をしているなんて、そんな可笑しさに。




